2019/11/15
米メリーランド出身のシンガー・ソングライター、Arizona Zervas (アリゾナ・ザーヴァス)の「Roxanne」が、2019年11月16日付の米ビルボード・ソング・チャート”Hot 100”で34位に初登場した。このキャッチーなナンバーは、記念すべき初全米チャート入りを果たしただけでなく、メジャー・レーベルに属さないインディーズ・アーティストとして少なくとも約2年ぶりにSpotifyの全米TOP50チャート1位も獲得している。
このアリゾナ・ザーヴァスなるアーティストだが、突如としてどこからともなく現れた無名の新人なのかと思いきや、実は何年もかけてコツコツと実績を積み上げてきた努力家だった。積極的にツアーをし、戦略的にシングルを発表し続け、そしてプレイリスト・サポートを受けることにより、最初のシングル・リリースから3年目にしてようやく全米チャートに手が届き始めた若手の注目株だ。
アリゾナ・ザーヴァスのインスタグラムとTwitterのプロフィール欄には一言、”ノンフィクション”とだけ記載されている。この言葉どおり、彼は実体験を音楽を通じて記録し続けてきた。現在米ロサンゼルス在住の彼は、作詞作曲とエンジニアリングを全て自分で手掛けており、RedLightMuzik、J-Glad、そして「Roxanne」を担当した94skrtなどをプロデューサーに据えて曲作りをしている。
ザーヴァスは3年前の2016年から曲をリリースしており、徐々にカルト人気を獲得してきた。最初の曲はトラップ風味の「Don’t Hit My Line」で、そこからは途切れることなくインディーズで30曲以上を発表している。その全てに「Uber」、「FML」、「Homies」など、世相を反映したキャッチーなタイトルが付けられており、3曲入りEP『Living Facts』も2018年にリリースしている。
ストリーミングが主流の米音楽マーケットにおいて、彼のように数か月おきに曲をドロップする戦略は効果的だったようで、ほぼ全ての楽曲がSpotifyで100万回以上再生されており、「Roxanne」に至っては現時点で4,600万回を突破している。また、Spotifyにおける彼のリスナー・カウントは、504,009だった2018年10月から、現在は約1,090万人、全世界で286位という位置にまで跳ね上がっている。
彼はツアーも積極的に行っている。ニューヨークのWebster Hallや地元メリーランド州のThe Fillmoreなど、これまで全米で50公演以上を開催し、Twitterのフォロワー数は31,000人、インスタグラムは53,000人にまで伸ばしてきた。
「Roxanne」がヒットした要因の一つにはプレイリスト入りやラジオによるサポートもあったが、それ以上にコア・ファンの力が大きかった。2019年10月10日にリリースされた同曲は、Spotifyの”Today’s Top Hits”や”Pop Rising”などの主要プレイリストで紹介され、全米TOP50チャートで首位に輝いたのは11月8日だった。2位がトラヴィス・スコットの「Highest In the Room」、3位がポスト・マローンの「Circles」という、ビッグ・アーティストを抑えた上での1位獲得だった。Distrokidを通じて流通している同曲だが、メジャー契約をしていない、完全にインディペンデントなアーティストによる楽曲がSpotify全米TOP50で首位を獲得するのは、現存するSpotifyのオンライン・アーカイブで一番古い日付である2017年初頭から初の快挙となった。
とはいえ、Spotifyにおけるザーヴァスの再生数の内、プレイリストから聴かれているのは全体の28%だけであることから、彼の音楽を求めて積極的に再生しているのはほとんどが彼のファンであると、米ビルボードの取材で明らかになっている。
ラジオに関しては、SiriusXMのHits1、The Heat、Hip-Hop Nationといった局で紹介されていると同社の代理人は話している。また、TiKTokでも人気が爆発しており、現時点で32万本の動画で楽曲が使用されている。
そして「Roxanne」は海外でも人気が出始めている。Spotifyの代理人によると、マレーシア、イタリア、スイス、ドイツ、日本、イスラエル、ベルギー、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、フィンランド、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、南アフリカ、アイスランドの主要プレイリストでも紹介されている。
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