2019/11/14
真冬の一夜に聴きたい実力派の「歌声と音色」
冬の寒さに身体が芯まで凍える季節に自然と耳が求めるのは、温かで深く心に染み入る歌声と音色だ、と思うのは筆者だけではないはず。そんな真冬の一夜に聴きたい実力派シンガー・ソングライター2組の来日が1月に決定した。
ジェイソン・イズベルは、“ アメリカーナ” という言葉が多種多様に解釈されるようになった現代においても、とりわけその源流直系の出自を持つ最高峰のシンガー・ソングライターだ。アメリカ南部はアラバマ出身のジェイソン。サザン・ロック・バンド=ドライヴ・バイ・タッカーズのメンバーを経て2007年からはソロのシンガー・ソングライターに転向。ソロ初期の作品はバンド時代の名残か、パワフルなサウンドをバックに従えていた彼ではあるが、よりシンガー・ソングライターとしての深みに到達したと言えるのは『Southeastern』(2013年)やグラミー賞ベスト・アメリカーナ・アルバムを獲得し『Something More Than Free』(2015年)からだろう。アメリカ南部的な乾いたサウンドとシンプルなアコースティック・ギターの音色が紡ぐカントリー~ブルー・グラス由来のグッド・メロディー。
そして、ハスキーさと甘さを兼ね備えた伸びやかな声で歌いあげられる郷愁や孤独を感じさせるリリックに胸を打たれるのは、決してカントリー・ファンだけではないはずだ。そんな昨今の彼のソングライターとしての普遍性は、直近では、映画『アリー/スター誕生』への楽曲提供(ブラッドリー・クーパー歌唱の「Maybe It's Time」)という事実にも表れているだろう。
一方のルーシー・ローズは、ロンドンが拠点のブリティッシュ・フォークの担い手だ。2012年にアルバム『Like I Used To』でソロのシンガー・ソングライターとしてコロムビア・レコードからデビュー。先にデビューを果たしていた同世代のローラ・マーリングなどと比較されることもあるが、ルーシーの楽曲スタイルは単に“ フォーク” とは片づけられない。特に初期の楽曲は、掻き鳴らされるアコースティック・ギターを主軸に、変拍子やエレクトロニック・ビートを組み合わせた、ファンタジックかつ民族色の強いアレンジが特徴的であった。ただ、2017年の3rd アルバム『Something’s Changing』以降は本人たっての希望によりインディーレーベルからのリリースとなり、より落ち着いたソング・ライティングを志向するようになっている。ハープや弦楽器を取り入れたり、ピアノをメインに据えたりしながら追求された肩肘張らない楽曲には、彼女の着飾らない素朴な人間性が素直ににじみ出ているようだ。そして今年は4枚目のアルバム『No Words Left』をリリース。ジャズの影響をも感じさせるメロディーと透明感あふれる歌声に頭を掠めるのはやはり、ジョニ・ミッチェルだ。
2組とも今回が[ビルボードライブ]初登場。身も心も温まる極上のシンガー・ソングライターの演奏にじっくり耳を傾けひたることのできる、今冬のまたとないチャンスになることだろう。
Text:井草七海
◎公演情報
【ジェイソン・イズベル】
2020年1月13日(月・祝)
ビルボードライブ東京
1stステージ開場15:30 開演16:30
2ndステージ開場18:30 開演19:30
【ルーシー・ローズ】
2020年1月29日(水)
ビルボードライブ大阪
1stステージ開場17:30 開演18:30
2ndステージ開場20:30 開演21:30
2020年1月31日(金)
ビルボードライブ東京
1stステージ開場17:30 開演18:30
2ndステージ開場20:30 開演21:30
詳細:http://www.billboard-live.com/
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