2019/10/05
今週もHot100は激戦状態。IZ*ONEが首位を勝ち取ったが、米津玄師、Official髭男dism、あいみょんといったロングヒット・アーティストはまだまだ粘り続けるだろう。そんな中で今週注目したいのが、21位にランクインしているLiSAの「紅蓮華」だ(【表1】)。上位曲に紛れてあまり目立たないが、この曲はすでに5ヶ月もの間、Hot100にチャートインし続けている。
4月から始まったTVアニメ『鬼滅の刃』のオープニングテーマであるこの曲の最初の大きなアクションは、4月22日に先行ダウンロードされ、各音楽配信サービスで1位を獲得したことだろう。もともとLiSAの楽曲はダウンロードに強く、この時も初登場1位となり、Hot100でも5位を記録した。ダウンロードでは2週連続で首位となったが、その他のポイントが今ひとつ伸びず、次週以降はトップ10圏外となっている。しかし、粘り強さを見せたのはここから。7月3日にフィジカルのCDをリリースし、売上数では3位を記録。ツイッターやラジオのオンエア回数なども手伝って、Hot100で5位にまで再浮上した。
そしてさらにこの曲が面白いのは、これで終わらなかったことだ。ダウンロードは依然強く、20位圏内を推移していく。そして、ツイッターでの話題性やフィジカルの売上も横ばいで安定するのと同時に、ここに来てカラオケのポイントがじわじわと上昇してきた。きっかけはアニメタイアップかもしれないが、もともとのLiSAのアーティストとしてのポテンシャルに加え、楽曲の認知度がタイアップとの相乗効果で広がっていることがよくわかる。『鬼滅の刃』は劇場公開版の製作も決まったため、そのプロモーション次第では、今後のチャートにさらなる影響を与えることも予想される。まだまだここから上位を狙える可能性はあるのだ。
アニメのタイアップは注目されやすいが、どんな曲でもハマるというわけではない。ただ、LiSAに関しては、すべてがうまく連動できた好例といえるだろう。今後タイアップを考える上で、彼女の売れ方は参考になるに違いない。Text:栗本斉
栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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