2019/08/03 15:00
夏の新曲が続々とチャートインしている中、Hot100の順位も変動が激しい。特に、Official髭男dismやあいみょんのようにロングセールスとなるのはそう簡単なことではない。トップになっても次週にはガクンと下降するのは珍しくないが、再浮上する楽曲もあるので何がヒットするのかわからない状況ではある。
そんな激戦の中、今回注目したいのは、WANIMAの新曲「夏のどこかへ」だ(【表1】)。この曲を収録したシングル「Summer Trap!」の発売週だった先週はHot100で8位を記録したが、今週は19位まで下降した。フィジカルのCDはやはり瞬発力が高いので次週には落ち込むのはやむを得ないし、ダウンロードもそこに追随してしまうのもわかる。しかし、だからといってこのまま下がっていくのかどうかはわからない。というのも、様々な可能性があるからだ。
例えば、ラジオのオンエア回数の好調は特筆すべきだろう。先週は2位で、今週も7位を記録している。この曲自体、清涼飲料水のCMソングということもあり、サビは非常にキャッチーだ。そのため、ラジオでのオンエアがしやすいというのも頷ける。また、彼らのようなロックバンドでラジオフレンドリーなポップな楽曲は意外と少ないので、その点においても需要は高いのだろう。季節モノであるため気温が涼しくなると下がっていくだろうが、しばらくはラジオから聞こえることは多いはずだ。
加えて、ルックアップ(PCによるCD読取数)も非常に好調なのも気になるところ。先週は2位、今週は6位と、ラジオのオンエア同様に調子がいい。この背景にはレンタルでの回転数が高いことが想像される。WANIMAは2017年にNHK紅白歌合戦にも出場したこともあり、メディアでの露出も多いので、認知度は非常に高い。よってコアファンだけでなくグレーユーザーの割合も高いのだろう。これには、地道であるがストリーミングが安定していることにも通じる。このように幅広く聴かれている楽曲はロングセールスになりやすいのは間違いない。最初に「可能性がある」と書いたのは、これらの要素があるからだ。
もちろんロングヒットするかどうかはなんともいえないし、そんなに簡単なことではない。ただ、WANIMAのアーティストパワーだと、その可能性は大いにあるといえるのではないだろうか。Text:栗本斉
栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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