2019/05/24 15:15
デクスター・フレッチャー監督の映画『ロケットマン』で、若き日のエルトン・ジョンを熱演している俳優のタロン・エガートンが、米誌ビルボードで役作りについて詳細に語っている。存命の人物を演じるにあたり、“エルトン・ジョン”のペルソナや演奏スタイルをただ忠実に再現するだけでなく、自分なりの解釈もプラスすることに腐心したという。「誰かへのトリビュートである映画の中で、創造性を発揮しようと試みた。伝記的ではあるけれど、伝記映画ではないからね」と彼は語っている。
ステージ上での存在感
エルトン・ジョンがピアノに向かっている時の体勢についてエガートンは、「彼は王立音楽アカデミーで勉強していたから、本物のクラシック音楽の影響を受けている。背筋はピンと伸び、肘は体に近い位置にある。そこがスタート地点だったんだ、彼が若いころに培ったピアノとの関係が」と説明している。
エルトンは、影響を受けたリトル・リチャードやジェリー・リー・ルイスがそうしたように、ピアノを客との間にある障害物ではなく、ショーの一部にしたいという思いからスタイルを進化させていった。エガートンは、「(あるシーンで)僕の足はピアノ(の鍵盤)を叩きつけていると同時に、跳ねまわりながら椅子を蹴飛ばしたりしているんだ。そういうのは全部すごくジェリー・リーでリトル・リチャード的だ。ピアノの後ろでいかに無秩序を作り出せるかってことなんだ」と話している。
鍵盤のスキル
エガートンはピアノの練習を3か月間毎日数時間続けた。「やりにくかったよ」と彼は認め、「映画で実際に演奏したなんて偽ることはできないけれど、努力を重ねたことでピアノに慣れることができて、もっともらしく演奏しているかのように見せることはできた。それだって難しいんだよ」と話している。練習したことで実際に上達もしたそうで、「“Your Song (僕の歌は君の歌)”をごまかしながら弾けるようにはなったよ」と彼は明かしている。
ファッション
エルトン・ジョンの代名詞とも言える奇抜なステージ衣装や普段のスタイルの中でもエガートンが特に気に入っていたのは、「大きなヒール、翼がついているもの、王冠、大きなスカートとか、気持ちがより大きく強くなれる効果があるものだった」そうで、「エルトンがそれを着ていた理由の一部もそこにあったんじゃないかな。彼はいつも同世代(のほかのスター)ほど自分は美しくないと感じていたと話していた。(デヴィッド・)ボウイや(ミック・)ジャガーやマーク・ボランとかね」と彼は分析している。
衣装を着ることで、心の中にいるロック・スターを引き出すことができたとエガートンは言う。「とても力が湧いてくるし、堂々とした気分になれる。彼の弱さだけでなく力強さも表現したかったんだ。特にステージ上の優れた能力をね」と彼は語っている。
ボーカル
劇中歌をすべて自分で歌っているエガートンは、ボイス・トレーニングを受けて撮影に挑み、たとえば「クロコダイル・ロック」の高いファルセットなども見事にクリアしている。
だがエルトン・ジョンの声はその長いキャリアの間に変化しており、声域だけでなく発音までもが変わった。エガートンはその変化について、「間大西洋アクセント(米国と英国両方の要素が入った)が濃くなり、ロンドン(訛り)が薄くなった」と形容している。映画ではエルトンの楽曲を年代順に出していないため、エガートンも、「彼の声をまったく同じようには再現できなかった。僕の声域が安定しなかったんだ」と明かしている。
エガートンは「Your Song」が一番歌いやすかったと話している。自身の演劇学校のオーディションでも実際に歌った曲で、最近も友人の結婚式で披露したのだという。「僕の声域に楽に収まっていて、歌っていて楽しい。あれはセットでもライブでやったんだ」と彼は語っている。
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