2019/05/04
5月3日から始まった【ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2019】に、フェリシアン・ブリュ (アコーディオン)とエドゥアール・マカレス (コントラバス)のデュオが初来日。今年のLFJテーマである『旅から生まれた音楽(ものがたり)』ならぬ『旅から生まれた楽器たち』が奏でる旅情に、客席は大いなる拍手をもって応えた。
ブリュとマカレスの初日初公演は、わずか153席の会場『ラ・ペルーズ』で行われた。ブリュは独クリゲンタール、伊カステルフィダルド、露サマーラの三大国際コンクール優勝という快挙を成し遂げた実力をもち、マカレスも国際コンクールで連続、連年優勝を勝ち取ってきた。手を伸ばせば届きそうな距離で、1曲目から全開で繰り広げられる両者の超絶技巧に、観客は大ホールもかくやという拍手で興奮を伝えた。
ブリュは「このアコーディオンとコントラバスという2つの楽器は、航海をしたり国から国へと移っていった、まさに『旅する楽器』といえます」と楽器を紹介。2曲目はボッテジーニによるコントラバス・コンチェルトをアレンジしてデュオで披露。1曲目とは一転し、穏やかな曲想に耳をすませ、コントラバスの繊細な高音のピアニッシモを堪能する。3曲目は有名なアコーディオン奏者であるアゾーラ作曲の「カプリス・マズルカ」で、アコーディオンならではの息づかいあふれる歌声に耳をかたむけた。
「次はラテン・アメリカの曲をいくつか演奏します。フランス人はアコーディオンはフランスで発明された楽器だと思い込んでますけど(笑)実際にはアコーディオンはイタリアで生まれた楽器で、ラテン・アメリカで発展を遂げたんです」ジョークを交えながら楽曲紹介をするブリュのトークに客席はドッと笑いが起こり、終始暖かな雰囲気に。アストル・ピアソラなど3曲を披露して客席を沸かせた。
得意のミュゼットやショスタコーヴィチ、ガリアーノなど多彩なプログラムを、ゆったりと親密な空気の中おこなったコンサートは、演奏終了時点で45分のはずが10分弱長くなっていたが、割れんばかりの拍手にニコニコと笑顔を見せたブリュとマカレスは、おもむろにアンコール演奏を開始。いつまでも回り続けるメリーゴーランドのように、二人で目を見合わせながらその幸せなデュオを聴かせ続けてくれた。
本デュオの二人は初日から3日間、毎日1~2公演という登場数の多さ。今回の【ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2019】をきっかけに日本にも多くのファンを獲得する、注目のアーティストになるのではないだろうか。text:yokano
◎公演情報
ラ・フォル・ジュルネ・TOKYO 2019
【Vagabonds 放浪者たち】
2019年5月3日 (金・祝) 15:15~16:00
東京国際フォーラム ホールG409:ラ・ペルーズ
<演奏曲目>
ブレル/ペリーヌ:ヴズール(お前の言いなり)
ボッテジーニ:カプリッチョ ディ ブラヴーラ
アゾーラ/アスティエ:カプリス・マズルカ
ピアソラ:ブエルボ・アル・スール(南へ帰ろう)
ナザレス:カヴァキーニョ
ボッテジーニ:エレジー
プリヴァ:Nuit Blanche
プリヴァ:ラ・ソルシエール(魔女)
プリヴァ:黒い蝶
ディニコフ:ルーマニア舞曲
ショスタコーヴィチ:バレエ「明るい小川」から アダージョ
ガリアーノ:クロードのタンゴ
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