2012/10/05
ニコニコ動画で活躍する歌い手やボカロPを招き、初音ミクなどボーカロイドを使った人気曲をカバーするコンピ盤を先月末にリリースしたHoneyWorks(ハニーワークス)。そのサウンド面を手掛ける2人、ゴムと使徒に話を訊いた。
HoneyWorksとは、ニコ動の人気歌い手として名を上げていたゴムと、同じくベーシストとしても活躍する使徒。2人の音楽クリエイターに、イラストを担当するヤマコを加えた3人からなる音楽制作サークルだ。
2人がボカロを使用して制作した楽曲は、ヤマコの手掛ける動画と合わせた"オリジナルPV"として発表。その殆どはニコ動で再生数10万以上を記録したボーカロイド曲に冠される"殿堂入り"に選ばれており、過去には一連の作品をまとめた自主制作CDの販売も。彼らは音楽活動に必要とされる様々な技術を兼ね揃えたクリエイター集団なのだ。
<何故『BabyPod』はメジャーからリリースされたのか>
そんな彼らが9月26日にリリースしたのが、冒頭で紹介したコンピ盤『BabyPod ~VocaloidP × 歌い手 collaboration collection~』だ。本作には、ニコ動で人気のボーカロイドP(Pはプロデューサーの略)や人気歌い手たちが30人以上参加。同サイトの人気ボカロ楽曲のカバーに挑戦しているのだが、同作をメジャーメーカーからリリースした理由はどこにあるのだろうか。
「ニコニコ動画以外の世界にも発信できるっていうメリットはありますよね。メジャーから出ると色んな雑誌に出られたり、ショップにポスターを貼って頂けたりしますし。同人だと、どうしてもニコニコ動画で知っている人だけになりますよね」
使徒の言葉に続くように、ゴムも「全体のクオリティを見たら、メジャーの方がクオリティは高いと思います。予算を使って作れるのは大きいですね、機材面とかマスタリングとか」と加えた。彼は昨年にソロシンガーとしてもメジャーデビューを果たしているが、そうした現場に触れることで見えてきた違いというのもあるのだろう。
<その歌い方はボカロにはできない>
また、今回のアルバム『BabyPod』では生音にこだわったという点も注目だ。ゴムと使徒は共にバンド経験者で、現在もメビウスというバンドのメンバーとして活動しているのだが、例えば11曲目「からくりピエロ(アリエP REMIX)」におけるhalyosyという歌い手の歌い方を、ゴムは「ボカロにはできない。逆も然りなんですが。」と評価する。
「やっぱり人間は人間なりのニュアンスが出せますよね」とは使徒の談。ボーカロイドの特性や魅力を熟知する2人だ。神曲と愛されているボカロ楽曲を人間が歌い直すことの難しさは十分に理解している。それらを踏まえた上で、「やっぱり生楽器の良さをできるだけパッケージしたい」と取り組んだのがアルバム『BabyPod』なのだ。
<ボカロPが抱く将来の夢>
最後に将来の展望を尋ねてみた。「ライブができるクリエイターになりたいと思ってますね! 生でお客さんの声が聴けるようなステージもやりたいです」と笑顔を見せた使徒に対し、ゴムは「次はもう一回、自分の中に入っていくような1枚を作りたい。自分の内面を鍛えつつ外へのアプローチも繰り返し、世界中から聴いてもらえる曲を作りたいです」と語った。
こうした両者のコントラストが面白いのもHoneyWorksの魅力だろう。アルバム『BabyPod』にはアレンジされた既存曲の他に、彼らがプロデュースや歌唱を担当した新曲が多数収録されている。1つの文化になりつつあるボカロ曲の魅力と、それを手掛けるボカロPや歌い手たちの実力。双方を一挙に楽しめる本作は、一連の文化に抵抗を感じている人にも打ってつけの1枚といえるだろう。
◎アルバム『BabyPod ~VocaloidP × 歌い手 collaboration collection~』
2012/09/26 RELEASE
CRCP-40329 2300円(tax in.)
◎『BabyPod ~VocaloidP × 歌い手 collaboration collection~』リリース記念イベント
10月6日(土) アニメイト新宿店
1回目 13:00~ / 2回目 15:00~
参加:使徒、ゴム、ヤマコ、Gero、halyosy
※握手会
11月25日(日) 都内某所
参加:ゴム、使徒、ヤマコ、あやぽんず*、あり、ブロンズアームドライブ、松下、れるりり、アリエP、halyosy、みうめ、ゆうゆ
※トーク&ミニライブ
info:http://www.crownrecord.co.jp/artist/babypod/whats.html
取材・文 杉岡祐樹
関連記事
最新News
関連商品
アクセスランキング
インタビュー・タイムマシン
注目の画像