2019/03/19
トラヴィス・スコットとナズが、2019年3月18日に公開された米誌プレイボーイの“The Speech Issue”と題された最新号で対談している。ヒップホップの新世代を代表するトラヴィスが、尊敬する先輩として対談相手にナズを指名し、ラップが辿ってきた道のりと現状、そして今後の展望についてそれぞれの見解を語り合っている。
スコットは先駆者たちが築いてきたヒップホップについて、「過去の世代は多くの扉をぶち破ってきたから、痛みをたくさん吐き出していた。警察との問題にも対処しなければならなかったし。そこに関しては今もまだ対処中だけれど、当時は今ほど自由じゃなかった。今はレーベルでの存在感が増したから」と、米ラップ界の変化を指摘している。
ナズは彼の意見に同意し、現代のラップについて、「現在は痛みが変化した。俺らは違うものを追い求めているんだ」と感想を述べ、「俺らは境界を突破した。何をすべきか理解しているし、していることの主導権を握っている。もう誰にも止められない。何かをやれだとか、それはできないだとか、誰も俺らに指図できない。もうラップ音楽は止められないんだ」と語っている。
政治性を作品に取り入れることについてスコットは、「俺は政治的な問題について発言したくならないとは言わない」と自分の考えを持っていることは認めつつも、「自分がよく知らないことについてあまり発言する気にならないこともある。世の中で何が起こっているのかについて考えていないわけじゃない。俺は表現力豊かなアーティストだけど、メディアやら何やらに(発言内容が)誤解される」と慎重な姿勢を示した。
政治発言についてナズは、自然にやらなければ、やらされた感が出てしまうと意見を述べた。彼は、「政治に心を支配されて、(政治家の)やり方に乗せられることだけは避けなければならない。ニュースで起きていることに人生を支配されてしまう可能性がある。そうなれば、人生は続かない」と警告している。
そして彼は、今後も恵まれない地域から次世代のラッパーたちが声を上げ続けるだろうと語っている。「それらのフッド(低所得者層地域)は、ずっと大声を出して現状を語り続ける。もっとフライ(魅力的)で未来的になる。でもそのメッセージは常に、食料、住まい、医療、そして奪われているすべてのものがほしい、ということだ。警察による暴力はごめんだ。これらすべてを俺たちは求めている。ヒップホップが言っているのはそういうことなんだ」と彼は結論づけている。
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