2019/02/14
シンガー・ソングライターのライアン・アダムスから性的嫌がらせ、精神的虐待、操作的行動などの被害を受けたとして、元妻のマンディ・ムーアや若手インディーズ・アーティストのフィービー・ブリジャーズを含む複数の女性が米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)で告発している。
2019年2月13日に公開された記事では、アダムスがこの女性たちを口説く前にキャリアアップの手助けを申し出て近づき、親しくなってからは私生活を支配しようとし、場合によっては破局した際に報復までしたと報じられている。彼はこれらの主張をすべて否定している。
彼にとってとりわけ不都合なのは、Avaと名乗るファンによる報告で、彼女がまだ14歳だった2013年からアダムスとネットのやり取りが始まったと語っている。それから数年にわたり交流が続くにつれ、話題は音楽から性的な内容へと変化し、Avaが16歳でアダムスが40歳だったころにスカイプでテレフォン・セックスをしていた時に彼が陰部を露出したと彼女は述べている。アダムスは彼女が未成年だったとは知らなかったと主張している。
ブリジャーズの場合、20歳だった2014年にアダムスのスタジオへ招かれたことから仕事上の付き合いが始まり、彼女の曲を自身のレーベルから出さないかと提案されたそうだ。ところが二人が恋愛関係になった途端、彼は強迫観念に駆られ、彼女を精神的に虐待するようになった。アダムスは執拗なまでにメールを送り、彼女の居場所を証明させたり、テレフォン・セックスをするために用事を途中で切り上げさせたり、彼女がすぐに反応しないと自殺をすると脅迫したと彼女は語っている。
ブリジャーズがアダムスと別れると、彼は二人でレコーディングした音楽のリリースについて態度を変化させ、約束していた自身のツアーのオープニング・アクトとしてのオファーも取り下げた。最終的に一部の曲はリリースされ、2017年にはツアーの前座も実現したが、ツアー初日にホテルの部屋に呼び出され、やむなく行ってみると彼が全裸で待ち構えていたと彼女は証言している。
元妻のムーアは、「彼の支配の特徴は音楽だった」と振り返っている。アダムスは彼女と一緒に仕事をすると提案し、ほかのプロデューサーやマネージャーとの仕事を諦めさせながら、実際にはレコーディングをしなかった。一緒に曲を作り、スタジオのスケジュールを抑えても、結局はほかの女性アーティストを代わりに起用した。「私は彼にいつも、“お前は楽器を弾けないから本物のミュージシャンじゃない”って言われていた」と彼女は明かしている。
ムーアが6thアルバムをリリースしたのは2009年に二人が結婚した直後で、この作品は結婚前に完成していた。だがそれからは1枚も新作を発表していない。二人の離婚は2016年に成立した。ムーアは、「私にとって極めて重要で、実入りがよかったかもしれない、20代半ばから後半のすべての時期に、彼の支配行動は実質的に私が人脈を広げる能力の妨げになっていた」とNYTに語っている。
アダムスは弁護士を通じ、二人の結婚生活に関するムーアの主張は自分の認識とは異なっているとコメントし、彼女がほかの人と仕事をする邪魔をしたことはなく、喜んで彼女のキャリアをサポートしていたと主張している。
また、NYTの記事が公開されたあとに彼は、「僕は完璧な男ではないし、多くの間違いを犯してきた」とツイートし、傷つけてしまった人に「深く、素直に謝る」と綴ったが、一方で「この記事が描いている内容は動揺するほど不正確だ」と反論している。詳細には誤り、誇張、そして虚偽があるとし、特に「未成年だと思った人と不適切な交流をするなんてありえない」と主張している。
別のツイートでは、「自分の音楽や人生を通じて喜びを広めようとしてきた者として、僕に傷つけられたと信じている人がいると聞くととても悲しい気持ちになる。僕はできる限り最高の男になる努力をしようと決意している。そしてすべての人に慈悲と理解と癒しを願っている」と彼は綴っている。
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