2018/12/31
2018年もまもなく終わろうとしている。今年もまた、音楽の発展に貢献し、歴史の1ページにその名を刻む偉大なミュージシャン達、現在そして未来の音楽シーンをリードするはずだった若き才能が帰らぬ人となった。
アメリカの音楽界を代表する大御所女性シンガー、アレサ・フランクリンが旅立ったのは2018年8月16日のこと。享年76。1960年に全米ビルボード・チャート初登場を果たして以降、73もの楽曲を全米ビルボード・チャートに送り込んできた“クイーン・オブ・ソウル”の訃報に、全世界のファンが哀しみに暮れた。そして、彼女に影響を受けた多くのミュージシャンが自身のSNSを通じて哀悼の意を表し、葬儀ではスティーヴィー・ワンダーやアリアナ・グランデ、ジェニファー・ハドソン、チャカ・カーンらが追悼パフォーマンスをおこなった。
今年旅立ったレジェンド・シンガーはアレサだけではない。1月には“サザン・ソウルの女王”として70年代から活躍を続けてきたベテラン女性シンガー、デニス・ラサールが死去。享年78。また、4月には70年代にザ・ステイプル・シンガーズとして活躍したイヴォンヌ・ステイプルズが80歳で帰らぬ人に。イヴォンヌは80年代以降は第一線から退いていたものの、近年まで国民的シンガーとなった妹メイヴィスのソロ活動をコーラス/マネジメント面でサポートし続けていた。そして、12月には3度のグラミー受賞歴を持つ女性ジャズ・シンガー、ナンシー・ウィルソンも81歳で死去している。
また、国民的シンガーの訃報はフランスからも。10月1日、同国を代表するシャンソン歌手のシャルル・アズナヴールが死去。5月に94歳の誕生日を迎えていたアズナヴールは9月に来日公演をおこなったばかりで、10月にもコンサートが予定されていた。パリでおこなわれた国葬には、マクロン大統領をはじめフランス歴代大統領が参列した。
アメリカ音楽の発展に貢献した多くの名手たちも今年、帰らぬ人に。ベンチャーズのリード・ギタリストとして独自の演奏法を生み出し、日本でも絶大な人気を誇ったノーキー・エドワーズ(享年82)、フリー・ジャズのパイオニアとして知られるセシル・テイラー(享年89)、長きにわたりニューオーリンズの音楽シーンをリードしてきたネヴィル・ブラザーズのサックス奏者チャールズ・ネヴィル(享年79)、シカゴ・ブルースの第一人者であるオーティス・ラッシュ(享年83)、ジェファーソン・エアプレインの創設メンバーであるマーティ・バリン(享年76)、モータウンのハウスバンド、ファンク・ブラザーズの一員としてそのサウンドを牽引した名ギタリストのワー・ワー・ワトソン(享年67)。そして、数年前からパーキンソン病を患っていることを公表していたMR.BIGのパット・トーピーが合併症により2月7日に64歳で死去。近年はパーカッションの演奏などをメインにツアーに参加しながら闘病を続けていたが、メンバーや多くのファンが望んでいた“完全復活”の夢は残念ながら叶わなかった。トーピーの死を受け、5月にはMR.BIGのメンバーが中心となり、米・カリフォルニアでトリビュート・ライヴを開催している。さらに、現ジャズ・シーン最高峰のトランぺッターとして日本でも高い人気を誇ったロイ・ハーグローヴが心不全のため49歳という若さで逝去。ハーグローヴは腎障害を患っており、長年にわたり透析治療を受けていた。
また、UK音楽界においては、キンクスやゾンビーズでの活躍で知られるレジェンド・ベーシスト、ジム・ロッドフォードが階段から転落し死去(享年76)。近年もゾンビーズとして精力的にツアーをおこなっていただけに、不慮の事故による突然の訃報に多くの音楽ファンが衝撃を受けた。また、UKパンク・ロックのパイオニア、バズコックスのピート・シェリー(享年63)、80年代ディスコ・ブームの到来とともに人日本でも気を博したデッド・オア・アライヴのドラマー、スティーヴ・コイ(享年56)との早過ぎる別れも。そのほか、90年代に世界的人気を博したアイルランドのロック・バンド、クランベリーズのリード・シンガー、ドロレス・オリオーダンもまた、46歳という若さで帰らぬ人となった。
さらに、アヴィーチー(享年28)、マック・ミラー(享年26)、XXXテンタシオン(享年20)と、若き才能たちもこの世を去った2018年。シーンの現在~未来を担うはずだった彼らとの早過ぎる別れに、世界中の若者達が悲しみに暮れた。
彼らを失った悲しみは簡単に癒えるものではないが、私たちはいつでも、彼らの遺した音楽を通じてその存在を感じ、才能に触れることができる。
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