2018/12/03
トラヴィス・スコットの『アストロワールド』が返り咲きの首位獲得を果たした、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。
初登場の2018年8月18日付チャートから翌25日付の2週No.1をキープした後、16週間TOP10に居座り続け、17週目となる今週、先週の7位から一気にジャンプアップした『アストロワールド』。再浮上した理由は、まず公式ウェブサイトでパーカーやTシャツなどのいくつかの商品が発売されたこと。これらの商品には、アルバムのデジタル・ダウンロードが付属されているため、商品の売上がセールスに繋がるようになっている。アルバムの発売日にも、それに合わせてグッズが販売されていた。こういったプロモーションに異論を唱える人も少なくないが、昨今ではグッズやライブ・チケットをセットにして売上に繋げるアーティストが大半を占めている。
それから、本作からの先行シングル「シッコ・モード」のスクリレックスによるリミックスが11月28日にリリースされ、同曲のセールス、ストリーミング・ポイントが上昇したこと。アルバムのロング・ヒットは、この曲の大ヒットが大きく貢献している。また、『アストロワールド』が今週獲得したユニット数は71,000で、2018年に1位を獲得したアルバムの中では高い数字とはいえない。つまり、今週は競合が少なかったことも返り咲いた理由として挙げられる。
2位にデビューしたのは、6ix9ine(シックスナイン)のデビュー・スタジオ・アルバム『ダミー・ボーイ』。週間ユニット数は66,000で、そのうちアルバムの売上枚数が10,000枚だった。
本作は、当初11月23日にリリースされる予定だったが、リリース直前の18日にアルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局(ATF)と国土安全保障省によって逮捕され、延期となった。しかし、翌27日に無事発売され、わずか3日間の集計期間で66,000ユニットを獲得したというのが、注目すべき点。予定通りリリースされていれば、トラヴィス・スコットを上回るユニット数を獲得していたことは間違いなさそうだが、この逮捕報道がヒットに繋がったという可能性も否めない。逮捕されたアーティストの作品が、わずか1週間後に発売され、さらにヒットするというのは、日本とアメリカの大きな違い。シックスナインは法廷で無罪を主張しており、公判は2019年9月に行われる。
先週2位に初登場したマイケル・ブーブレの『ラヴ』は、ひとつ順位を落としたが3位にTOP3をキープした。週間ユニットは58,000で、そのほとんどがセールス・ポイントによるもの。ストリーミングに頼らず、売上だけで上位をキープできるアーティストは珍しい。また、2011年にリリースしたNo.1アルバム『クリスマス』が、44,000ユニットを獲得して先週の20位から5位に再TOP10入りを果たしている。発売から7年が経過した本作だが、毎年この季節になると必ずTOP10入りする、2010年代ホリデー・アルバム最大のヒット作となった。
今年のアルバム・チャートで、同じアーティストがTOP5に2作を同時ランクインさせたのは、6月に死去したラッパーのエクスエクスエクステンタシオンと、マイケル・ブーブレの2人だけ。2016年12月以降では、2017年2月に2週連続でアルバムをリリースしたラッパーのフューチャーが、『HDRNXX』、『フューチャー』の2作を、2016年12月31日~2017年1月7日付チャートでは、ペンタトニックスが『ザッツ・クリスマス・トゥ・ミー』と『ペンタトニックス・クリスマス』を2週にわたってTOP5入りさせている。
その2作に続く、クリスマス・アルバム第3弾『クリスマス・イズ・ヒア!』を、今週のアルバム・チャートで7位にランクインさせたペンタトニックス。彼らは、2012年のEP盤『PTXmas』(最高7位)から9作連続のTOP10入りを果たしていて、6年間ランクインを逃したことはない。前2作は、10月の発売から徐々に売上を伸ばし上位にランクインしたため、本作もクリスマス当日までのランクアップが見込める。
4位をキープした『アリー/スター誕生』(53,000ユニット)、6位の『ボヘミアン・ラプソディ』(43,000ユニット)、先週の19位から9位に再びTOP10入りした『グレイテスト・ショーマン』(35,000ユニット)と、今週もサウンドトラックが好調。なお、先週3位に初登場した本編のカバー曲による『グレイテスト・ショーマン:リイマジンド』は、31位まで一気にランクダウンしている。
Text:本家一成
※関連リンク先の米ビルボード・チャートは、12月7日以降掲載予定となります。
◎【Billboard 200】トップ10
1位『アストロワールド』トラヴィス・スコット
2位『ダミー・ボーイ』シックスナイン
3位『ラヴ』マイケル・ブーブレ
4位『アリー/スター誕生』サウンドトラック
5位『クリスマス』マイケル・ブーブレ
6位『ボヘミアン・ラプソディ』サウンドトラック
7位『クリスマス・イズ・ヒア!』ペンタトニックス
8位『スコーピオン』ドレイク
9位『グレイテスト・ショーマン』サウンドトラック
10位『ドリップ・ハーダー』ガンナ
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