2018/12/06
ゴーストの視点から見た「死後の世界」をテーマにした、デヴィッド・ロウリー監督の映画『A GHOST STORY』の本編映像が解禁された。
現在公開中の本作は、自分のいなくなった世界で、残された妻を見守り続ける、ひとりの男の切なくも美しい物語。不慮の事故死を遂げ、シーツ姿のゴーストとなって彷徨い続ける夫を演じるのは、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したケイシー・アフレック。また、『キャロル』でカンヌ国際映画祭女優賞を受賞したルーニー・マーラが、夫に先立たれ、悲しみに暮れる妻を演じている。
今回解禁された映像は、セリフの少ない本作の中でも、特に印象的な音楽が奏でられる美しいシーン。作曲家である夫のCが、自分で作った曲を妻のMに聞かせる様子が描かれた後、どこか寂しげで切ないメロディが流れ始める。一見、夫婦の生活を切り取ったかのような映像となっているが、実はCを亡くしたMが曲を聞きながら、過去のCとの思い出を振り返っているというシーンでもある。音楽が流れ始めてからは一切セリフを挟まず、現在と過去を行き来しながらルーニー演じるMの表情だけで感情をみせる斬新な映像となっている。
可能な限りのセリフと音を排除しているこの映画において、特に重要な要素となる「音楽」を手がけたのは、デヴィッド・ロウリー作品ではお馴染みのダニエル・ハート。これまで、ロウリー監督の過去の映画作品すべてで音楽を担当してきたダニエルに、ロウリー監督は今回「これまでのコラボレーションとは全く違う感じのスコアを作って欲しい」とオーダーを出したそう。そして監督は「彼は、星のようなサウンドと宇宙的な視点を持つ、永遠への恐怖をすこしやわらげてくれるようなスコアを作り上げた」と音楽を絶賛している。
また、このシーンで使われている「I Get Overwhelmed」は、ダニエル・ハートのバンド、ダーク・ルームズによるゴージャスなトラックで、本作のためだけに作られた特別な1曲。ロウリー監督が初めてこの曲を聞いたのは、本作の撮影に入ってから3か月目のことで「その頃、30ページからなる映画の脚本はほとんど完成していた。私は、たちまちこの曲に取り付かれてしまった。車や家でも、何度も何度も繰り返して聴いていた」と明かしている。ロウリー監督は、この曲の使用が正式に決まった瞬間に今回解禁されたシーンを書き上げてており、曲を最初から最後まで流しながら5分間の1テイクで撮影することも決めていたという。極端にセリフが少なく、ゴーストの視点に焦点をあてた本作だからこそ、通常の映画よりも音楽が印象深い本作。それはきっと、映画のエンドロールが終わった後も ずっと観たものの心に憑りついているだろう。
◎『A GHOST STORY』本編シーン:
https://youtu.be/OMLVf_cePio
◎公開情報
『A GHOST STORY』
現在上映中
監督:デヴィッド・ロウリー
出演:ケイシー・アフレック、ルーニー・マーラ
音楽:ダニエル・ハート
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