2018/11/16
2018年11月15日、ニールセン・ミュージックが2018年の米ライブ音楽ビジネスを分析した<Music 360 Report>を公開した。約3,100人から寄せられたアンケート回答に基づいたこのレポートによると、米国人の約52%が何らかのライブ音楽イベントに毎年足を運んでいる結果が出ている。
米ビルボードの【Billboard Live Music Summit】で、このレポートの詳細を発表したニールセン・ミュージックの副社長兼ブランド・パートナーシップ部長のMatthew Yazgeは、米ライブ音楽業界の今後について、「確実に成長している」と強気な発言をしている。「アーティストはツアーに大きく依存している。特にフェスティバルは成長を続けており、(フェス動員の)ピークにはまだ到達していないと思うので、今後も成長を続けていくと予測している」と彼は述べている。
ライブ・イベントに足を運んだ者のうち、68%がコンサート、66%が音楽がらみの無料屋外地域イベント、51%がバーやカフェなどで開催された小規模なライブ・セッション、44%がミュージック・フェスティバル、43%がクラブでのDJイベントに参加していた。これらの参加者は一般人口よりも若く(“ミレニアル世代”である可能性が26%高い)、ヒスパニック系である可能性が32%高かった。また、ライブ参加者の収入は年間8万ドル(約900万円)以上である可能性が35%高く、年平均で247ドル(約28,000円)をライブのチケット代に費やしている(一般的には平均147ドル、約17,000円)。
この数字についてYazgeは、「この人たちはチケット購入を躊躇しない。経験がすべてだからだ」と述べ、ライブ参加者は週平均で33.5時間音楽を聴いて過ごしていることに触れ、「彼らは平均して週にまる1日以上音楽を聴いている」と指摘した。
人口全体として見ると、過去12か月の間でコンサートに行った人の割合は35%で昨年の33%から上昇、またフェスに行った人は23%で、昨年の18%から過去最高の伸び率を記録した。10代の参加は44%から40%に減少したものの、ミレニアル世代とヒスパニック系の参加者はそれぞれ60%から66%、62%から69%に増加した。
新しい音楽を発見する手段はSNSが最多で、53%のライブ参加者たちがソーシャル・ネットワークを使って音楽を見つけている実情が浮かび上がっている。次いで友人や親戚(37%)で、以下ラジオ(32%)、アーティストの公式サイト(27%)と続く。コンサート会場でSNSにアクセスしている人の割合も多く、ミレニアル世代の74%がライブ会場で情報を発信しており、参加者の33%が写真、25%が動画をシェアしている。
また、ライブ参加者はチケット代だけでなく、23%が会場でアーティストのグッズを購入し、19%が音楽を入手またはアーティストのサイトにアクセスしている。会場での消費行動はドリンクにも及んでおり、21歳以上のライブ参加者は一般よりも飲酒率が高いことも判明している。詳しく見ていくと、参加者の34%がリカー(ジンとテキーラが最多)、34%がワイン(特にスパークリング)、27%がビールを一般より消費する可能性が高い。「(来場者は)スマホを片手に、ドリンクをもう片方に持っている」とYazgeは述べ、イベントにおいて特定のアルコール飲料の協賛が増えているのは彼らの消費傾向が影響していると付け加えた。
最後にYazgeは、「音楽は自分を表現し、自分の仲間を見つける手段になっている」と締めくくった。ライブ参加者の79%が音楽は過去を追体験させてくれると回答、73%が“音楽がなければ何もできない”という意見に賛成、70%が音楽は自らのアイデンティティーを形成する要素であると述べ、67%が友人や家族と音楽を通じてつながりを持つと答えている。
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