2018/11/07
46年以上前に撮影され、長らくお蔵入りになっていた故アレサ・フランクリンのコンサート・フィルム『Amazing Grace (原題)』がようやく日の目を見ることになりそうだ。
2018年11月5日にフランクリンの管理財団と映画プロデューサーたちが発表したところによると、『Amazing Grace』は11月8日から15日まで開催される米国最大のドキュメンタリー映画祭【DOC NYC】で、管理財団の全面協力のもと12日に初上映される。『トッツィー』や『愛と哀しみの果て』などで知られる故シドニー・ポラック監督が主に撮影を担当したこのライブ映画は、1972年1月に米ロサンゼルスのワッツ地区にあるNew Temple Missionary Baptist Church(ニュー・テンプル・ミッショナリー・バプティスト教会)で行われたフランクリンのパフォーマンスを記録している。
このコンサートの模様は1972年に『アメイジング・グレイス』と題された2枚組ライブ・アルバムとしてリリースされているが、ポラックが撮影した映像は音が同期されていなかったため、編集がほぼ不可能とされてきた。2007年にポラックから映画の権利を買い取ったプロデューサーのアラン・エリオットは、“labor of love”(好きだからやれる仕事)として映像を組み立てるためのチームを雇い入れたと話している。
「アレサのファンはこの映画の一瞬一瞬に魅せられるだろう。彼女の類いまれな能力、神への信仰心、そして精神がすべてのフレームに存在しているからだ」と彼は声明でコメントしている。
フランクリンは2011年に自分の許可なく映画をリリースしようとしていたエリオットを訴えた。2015年にも【テルライド映画祭】と【トロント国際映画祭】で上映予定だったものの、直前にフランクリンの弁護士が公開の差し止め命令を出したため中止となった。フランクリンの弁護側は、この映画を上映するのは“アレサ・フランクリンのコンサートを丸ごとリプレイするのと機能的に同等”であるとし、彼女の許可なく上映されるべきではないと主張した。
さらに2016年に米コロラド州の裁判所で、このコンサート・フィルムは“フェア・ユース”(公正使用)に相当しないとの判決が出されたため、公開への交渉が再び振り出しに戻った。同年【テルライド映画祭】で再び上映が企画されたがまたもや中止に追い込まれ、同映画祭のエグゼクティブ・ディレクターのジュリー・ハンツィンジャー(Julie Huntsinger)は昨年、「これを上映させまいとする(フランクリンの)決意はあまりにも強烈で、(その理由について)私たちの誰もが完全に理解できていないのではないか」と米バラエティ誌に語っていた。
アレサ・フランクリンは今年8月に死去した。シドニー・ポラック監督は2008年に亡くなっている。
フランクリンの管理財団は、『Amazing Grace』は彼女が残した功績の大切な一部だとコメントしている。姪のサブリナ・オーウェンズは、「“Amazing Grace”はアレサ・フランクリンの心と魂だ。この映像は本物であり、私のおばの芯の部分(を捉えている)。彼女は教会の娘であり、ゴスペル音楽を愛し、コンサートに何らかの神聖な音楽を取り入れていた」と語った。
『Amazing Grace』は【アカデミー賞】の選考に間に合うよう秋に公開が予定されており、一般公開は2019年になるとのことだ。
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