2018/09/28
大手ツアー・プロモーターのライブ・ネイションが、調査機関のCulture Co-opと共同で行った、ライブ音楽がもたらす効果などを調査した研究結果が公開された。<Power of Live>と題されたこの研究によると、ライブ音楽を好む調査対象者の71%が“最も生きる力を与えてくれるのはライブ体験(コンサート)である”と回答し、セックスよりもライブ体験を尊重する傾向が10%強いことが判明した。
この調査は、世界11か国の13歳から65歳までのライブ音楽愛好者22,500人を対象に行われた。調査対象者の73%がデジタル生活ではなく現実を体験したいと感じており、これはライブ・ネイションが“Sensation Deprivation”(知覚欠乏)と呼ぶトレンドが影響しているとされる。
18歳から34歳までの大人の2/3以上が、少なくとも年に1回はコンサートやフェスティバルに行っており、本格的なデジタル時代において対人交流が不足していることからライブ音楽がその穴埋めをしていると調査報告書に記されている。2016年から2017年にかけてライブ・イベントの動員数が21%上昇し8,600万人になったことからも、デジタル生活がより浸透しつつある現代において人々が実体験を求める傾向が強くなっていることがうかがえる。
調査対象者に、最近行ったライブを思い出した上で、その感情強度を0から10までの間で評価してもらった結果、78%が8か9か10と回答した。これはスポーツ観戦より26%、音楽をストリーミングで聴くより27%、そしてビデオゲームをするより31%高い結果だ。
また調査対象者がセイント・ヴィンセントのコンサートで生体測定実験に協力した際、ライブ音楽を体験すると平均で53%感情強度が向上することも分かった。これは録音された音楽を聴いた時の2.8倍で、コンサート開始前と終了後を比較すると気分が5倍も向上する結果となった。
さらに、ライブ・ネイションが【ボナルー・フェスティバル】などの巨大音楽フェスで行った調査によると、音楽は文化的なコネクタとしての重要度も増しているという。5大陸に広がる3世代の調査対象者が、自分がどのような人物であるかということは、自分の故郷、宗教、政治理念、民族、文化、SNSのプロフィールよりも音楽の方が良く表していると回答している。
<Power of Live>の報告書には、「SNS、スマホ、そしてテクノロジーは、地理的条件を超えて人々がお互いを見つけてつながることを容易にしたが、人間味がある方法でそうすることがより困難になっている。私たちはスマホを1日に2,617回も操作し、各コンテンツにかける時間は平均で2.5秒である」とあり、「生活の質の向上に現実世界が重要であるということに人々が気付き、意図的に生き方を再調整し始めている」と記されている。こうしたなか、ライブ・イベントの需要が“ソーシャル・カレンシー”(社会的貨幣、情報を共有することで本人の社会的価値が上がること)から、人とのつながりを望むより深い気持ちにシフトしていることが調査結果から見えてくる。
◎THE POWER OF LIVE: GLOBAL LIVE MUSIC FAN STUDY(英語)
https://livenationforbrands.com/
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