2018/09/14
【SUMMER SONIC 2018】の「Billboard JAPAN STAGE」に出演したCharlie Lim(チャーリー・リム)。2016年12月以来となった日本でのパフォーマンスはバンド形態で行われ、ポップ、ソウル、ジャズ、ダンス・ミュージックなど、ジャンルを超越した心地よいサウンドでオーディエンスを魅了した。プライベートでも日本に遊びに来るほどの親日家である彼は、最近本格的に日本語の勉強を始めたという。
高い評価を得たアルバム『TIME/SPACE』より3年。ニュー・シングル「Welcome Home」に続き、ニュー・アルバムのリリースが年内に予定されている。ここ日本でも着々とファンが増えている彼の最新インタビューを、ぜひお楽しみいただきたい。(取材・文:岡村有里子)
――まずは、音楽との出会いについて教えて下さい。
子供の頃から家にあったピアノをいつも触っていました。クラシックピアノを習っていたのですが、ラジオで聞いた音楽を「耳コピ」してピアノで弾いてみる方が好きでしたね。教会で演奏する機会もたくさんありました。14歳でオーストラリアに引っ越した後は、学校でバンドを組んだり、コーラスに入ったりもしました。また、当時シンガポールにはなかった「ミュージック・パフォーマンス」という授業では、(オーストラリア)ビクトリア州で1位を取ることが出来たんです。その時に、こんな風に自分の歌と演奏を良いと思ってくれる人がいるならやってみたいと思い、ミュージシャンになることを決意しました。
――現在はシンガポールをベースに活動されているということですが、オーストラリアに残ろうとは思わなかったのですか?
14歳の頃は、シンガポールの教育システムは柔軟性がないし、面白くないと思っていたのですが、音楽フェスもどんどん増え、政府が若いアーティストやバンドをバックアップしたりと、状況が変わってきています。シンガポールからオファーをたくさん貰えるようになったということもありますが、日本や東南アジアの国をツアーしやすいのでシンガポールを拠点にしています。
――どのようなアーティストの音楽を聴いていたのですか?
ジェフ・バックリィ、ジョン・メイヤー、ダミアン・ライスなど、コンテンポラリー・シンガー・ソングライターと言われるアーティストの音楽をよく聞いていました。
――曲づくりは、ほぼ一人でされるのですか?
前作『TIME/SPACE』は、そうですね。サウンドの方向性がなかなか決まらなかったので、作るのにとても時間がかかりました。ソングライティングの面で言うと、新作の方が進みは速かったです。プロデューサーの友人と一緒にジャムセッションを行うように楽しみながらビートを作り、良いテイクを選んで、僕がその上にメロディーや歌詞を乗せるなどして発展させていきました。
――新作はどのようなサウンドになりましたか?
ゆったりとして、メランコリックな雰囲気の『TIME/SPACE』とは随分違うサウンドに仕上がっています。これまでとはちょっと違うことにチャレンジしたいと思っていて、トレンドに乗るのではなく、自分が音楽的に面白いと思うことを探す必要がありました。僕はクラブに行かないし、パーティーに行くのも好きじゃないのですが(笑)、(新作は)そんな僕が聴きたいと思うダンス・ミュージックです。ディスクロージャー、ジェイムス・ブレイクなど、ダークな面があるダンス・ミュージックから多大な影響を受けています。あと、コーネリアスからもを影響を受けていますね。
――ニューシングル「Welcome Home」を聴いて、2000年代初頭のクレイグ・デイヴィッドのサウンドをちょっと思い出し、「懐かしいけど新しい」、そんな印象を受けました。
はい! オートチューンとかもそうですよね。歌詞は変わらず内省的な面があるので、アップテンポな曲ですがダークな部分は残っています(笑)。
――今作もサウンドのイメージを明確にしてから作り始めたのですか?
今回は「感覚」で作りました。シンガー・ソングライターである僕からはあまり想像できないサウンドかもしれませんが、自分の違う側面も表現してみたいと思ったんです。アルバムの仕上がりにはとても満足しています。
――ニュー・アルバムについて、現段階で他に教えていただけることはありますか?
7曲入りの短いアルバムです。カニエ・ウェスト的な長さ……ですね(笑)。ストーリー性があって、良い流れのアルバムに仕上がりました。近々アルバムのタイトルを発表して、年内のリリースを予定しています。
――今後コラボしてみたい人はいますか?
たくさんいます!
――先ほど影響を受けたとおっしゃってたコーネリアスとか?
はい! もし出来たら、夢のようですね。プロデューサーの方とコラボするのはとても好きです。フランク・オーシャン、ジェイムス・ブレイク、ディアンジェロなどは、僕のヒーローです。でも、(自分にとって偉大すぎて)これらの人と同じ部屋の中にいる状況が想像できないので、一緒に曲づくりをするのは難しいかもしれないですね(笑)。今は音楽のテイストが似た色々な方とコラボしてみたいと思っていますし、ヒップホップ・アーティストの方とも一緒に曲づくりをしてみたいです。日本のラッパー、KOHHも大好きです。
――アルバムがリリースされた後、また日本でライヴを行う予定はありますか?
来年はまたフルバンドで日本に戻ってきてクラブ・ショウを行いたいと思っています。今からとても楽しみです!
◎Charlie Lim バイオグラフィー
東南アジアで最もユニークな現代ポップスの声として注目を浴びる、シンガポールを中心に活躍するシンガー・ソングライター。シンガポールのiTunesチャートで1位を獲得したデビュー・アルバム『TIME/SPACE』でR&B、エレクトロポップ、ポストロックとネオソウルのジャンルを超え、The Straits Times上その年のベスト・ポップ・アルバムと称され、Apple Music Singaporeではベスト・ソング賞を受賞し、2018年シンガポール建国記念パレードを含む主要なフェスティバルで賞賛を集めている。
◎リリース情報
ニュー・シングル「ウェルカム・ホーム」発売中
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