2018/09/07
イタリアを代表する歌劇場のひとつ、ローマ歌劇場が9月9日より4年ぶり4度目の日本公演にむけて、開幕記者会見を開催した。
会見にはアレッシオ・ウラド芸術監督の他、『椿姫』、『マノン・レスコー』に出演する主要な歌手、指揮者が出席。公演への抱負を語った。映画監督ソフィア・コッポラが、初めてオペラを演出し、昨年映画化もされた『椿姫』。日本公演では映画と同じくフランチェスカ・ドット(ヴィオレッタ役)、アントニオ・ポーリ(アルフレード役)が主演する。初来日となるドットは、「愛のために生き、そのために愛をあきらめる、ヴィオレッタはとても強いがか弱い女性。お客さまにも演じる私と同じく彼女に共感してもらえるようつとめたい」と語り、相手役のポーリは「2年前にローマ歌劇場でアルフレード役デビューし、以後飛躍的にこの役のオファーが増え、これまで100回以上歌いこんできた役。経験を重ねてきた成果をおみせしたい」と意気込んだ。
一方、『マノン・レスコー』の演出を担当したキアラ・ムーティは女優からオペラ演出家に転向したキャリアの持ち主だ。演出のコンセプトについて「マノンは全てを手に入れたいと願っている女性。そのマノンの欲望を表すモチーフをして“砂漠”を意識した。フランス・オペラにも『マノン』はあるが、プッチーニの作曲した『マノン・レスコー』の方がより悲劇性が際立つように作曲されている。それをしっかりと表現したい」と語る。タイトル・ロールを歌うのはクリスティーネ・オポライス。オポライスにとってマノン役は、これまでメトロポリタン・オペラ、英国ロイヤル・オペラなど、世界一流の歌劇場で3つの新演出初演キャストに選ばれた当たり役だ。「私にとってプッチーニはとても重要な作曲家。マノン役はこれまでに何度も歌ってきたが、今回キアラ・ムーティとの仕事は私にとって新しい世界を開いてくれた。イタリアを代表する劇場で、重要なイタリア・オペラの主役を与えてくれたローマ歌劇場にとても感謝している」と同作への熱い想いを語った。
記者からは演出のムーティに対し、「女性としての観点が演出にどう活かされたか?」という質問が向けられ、「若い女性の愛、を表現することに役だった面ももちろんあるが、全体的にみれば当時の社会的な問題など、様々な要素をこのオペラは含んでいる。私の師(故ジョルジョ・ストレーレル)が話していたように、大事なものは“作品の中に入っていくこと”。性別は演出においてそんなに重要ではないと思っている」と答えた。
そんなローマ歌劇場日本公演、『椿姫』は9月9日から東京文化会館、『マノン・レスコー』は9月16日が神奈川県民ホール、20日、22日に東京文化会館にて上演される。
◎公演情報
【ローマ歌劇場 2018年日本公演】
『椿姫』全3幕
東京文化会館
2018年9月9日(日)
2018年9月12日(水)
2018年9月15(土)
2018年9月17日(月・祝)
『マノン・レスコー』
2018年9月16日(日)神奈川県民ホール
2018年9月20日(木)東京文化会館
2018年9月22日(土)東京文化会館
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