2018/08/27
WANIMAが8月25・26日にわたって【Everybody!! Tour Final】を埼玉・メットライフドームにて行った。
本公演は今年1月に発表したメジャー1stフルアルバム『Everybody!!』を引っさげ、2月1日の神奈川・CLUB CITTA’川崎を皮切りにライヴハウスからスタートしたリリースツアーの締めくくりであり、ツアー中の3月から4月にかけて幕張メッセや大阪城ホールをはじめとしたアリーナ公演も行ってきたが、”WANIMA×7万人”と銘打たれた本公演はバンド史上初のドーム公演かつ最大規模のワンマン。バンドの勢いを物語るように、チケットは即完。
メットライフドーム史上初のアリーナスタンディング、会場内・外問わずの趣向を凝らした演出、これまでの歩みを総括しながら未来を提示するセットリストも相まって、バンド自身にとってもターニングポイントとなるような記念すべき夜となった。
開場前からファンが多数メットライフドームに詰めかけたが、そこはファンへ楽しみを作り続けていくWANIMAだけあって、会場横には”ワンチャン広場”と名付けられたスペースを提供。暑い中、各地から足を運んでくれたファンに対してのおもてなしだろう。
ロッテ「爽」、LIVEDAM STADIUM、カーセンサー、ESPといったWANIMAとコラボレーションした企業ブースのみならず、KO-SHINが子供時代に憧れたお祭りには欠かせないテキ屋やWANIMA直筆のメッセージボードも掲示されている至れり尽くせりの内容。また、彼らの地元である熊本の名物を提供するワンチャン食堂!!に、ファンを気遣ってのレストスペースや巨大冷風機も完備し、午前中から開演直前まで、両日にわたって大いに賑わいを見せていた。
そして、注目のライブステージ。アリーナツアーではフロア中央にステージを組み、さながらアミューズメントパークのような装いであったが、本公演では南国の島をイメージした作りになっており、開演前では巨大スクリーンに様々な魚介類に扮したWANIMAが延々とスクロール。ライヴ前からニヤッとさせる仕掛けは彼らならでは。また、こういった大規模な公演ではひとつの完成形を両日にわたって提供するのが常だが、ライヴハウスから叩き上げで育ってきたWANIMAはそこに満足せず、ガラッとセットリストを変え、両日ともに巧みなアプローチを施し、素晴らしきパフォーマンスを披露してくれた。
まずは初日となった25日。KENTAのタイトルコールで始まった「夏の面影」でいきなり駆け出す彼らのドライブ感によって、いきなりクライマックスのような熱気が充満。バンド史上初のドーム公演かつ最大規模のワンマンではあるが、緊張した様子はなく、時折笑みを浮かべながら、語りかけるよう、問いかけるように強烈なサウンドを放っていく。思わず手を伸ばして近づきたくなる、この圧倒的なオーラ。WANIMAが性別も年齢も問わず、多くの人を惹きつける要素のひとつだ。
そのスタートダッシュから「CHEEKY」でさらに勢いを増したかと思えば、スイッチを切り替えて「つづくもの」を心地よく響かせる。FUJIの合いの手も絶好調であり、会場全体の温度を上げていく。
KENTAが「みなさんのためにメットライフドームを貸し切りました!」と力強く口にしてから、ステージ上でのスイカ割り(!!)を挟み、「ララバイ」や「やってみよう」と畳み掛けてからの「Drive」。みんなそれぞれの歌になっていることがわかる大合唱、泣き出しそうな表情で歌うKENTAは印象的な名場面だった。
驚愕したのがFUJIが恒例のあの人に扮して「出航だー!!」と声を挙げ、なんとイカダに見立てたステージの一部が会場中央へ移動し、回転もしながらそこで披露した「オドルヨル」。その後のMCで「いちばん遠い人の近くへ行きたかった」とKENTAは語っていたが、予想の遥か上をいく、WANIMAのアイデアとサービス精神の賜物に違いない。
その後も客席内の特設ステージへ移動しながらプレイし、下手側ではアリーナシリーズからおなじみになったアコースティックスタイルで「HOME」を披露。終盤、歌いながらKO-SHINの膝を叩くKENTA。上京したてのKO-SHINの部屋を模したステージ上でのこの仕草から、2人の絆を感じざるを得なかった。中盤を過ぎても「ともに」では会場が揺れるほどの歓声と歌声が客席から響き渡り、気持ちを共有した嬉しさからか、メンバーも実にいい表情を見せる。終盤、KENTAが「楽しみを作る為に(メットライフドームを)貸し切った。いろんなところを貸し切って、みんなのことを待ってるから、未完成でも不器用でもいいけん、いつでも戻ってきてください」と思いの丈をぶつけて曲へなだれ込んだ「シグナル」。自らの存在意義を宣言するような立ち姿も美しく、鮮やかな光を放っていた。
本編ラストは「Everybody!!」。名残惜しそうにするかと思いきや、今この瞬間にすべてを届けることが何よりも大事なのだろう。ガムシャラで必死にプレイ。彼らの純粋さがそこには表れていた。アンコールは彼ららしい活発で笑いを交えた映像から「20曲分を1曲にこめて」とKENTAが叫び「OLE」。きらびやかな銀テープも舞い、まさしく大団円となった。
そして、最終日となった26日。爆発的な歓声に会場が揺れ、メンバーが登場すれば、客席は波打ち、その溢れ出る期待感にドームが埋め尽くされる。そんな想いを受けての「OLE!!」で口火を切ったのだが、アリーナへ特大水鉄砲が発射されるサプライズもあり、スタードタッシュの勢いは尋常ではなかった。KENTAもはちきれんばかりの気持ちを歌に込め、声を張り上げ、KO-SHINも全身をしならせながらギターをかき鳴らす。しっかりと2人を見つめつつ、リズムで支えるFUJIも自然と笑みがこぼれるようなムード。
続いてゴキゲンなノリで突き上げる「BIG UP」を投下し、オーディエンスは感じるがままに体を動かし、巨大なドームがライヴハウスさながらの熱気に包まれ、温度もとんでもなく上昇していくのだが、KENTAはまだまだとアジテートし、バンドとしても一音一音を強く響かせていくのだ。ここで改めて「迷いなら捨てて、後腐れなしで、助け合っていきましょう!」とKENTAが告げ、全員が一体となるよう、アリーナとスタンドのすべてへ呼びかけ、感謝の気持ちをこめた「THANX」。ステージの端から端まで駆け回り、高く手を突き上げたKO-SHINの姿も頼もしかった。
WANIMAだからこそのエロかっこよさを誇る「CHEEKY」をプレイし、ギラついたスピード感で会場を湧かせていき、上手側の特設ステージでは、会場中がオーディエンスによって掲げられた色とりどりのWANIMAタオルで埋め尽くされ、波間に漂うような心地よさを持つ「SLOW」を奏でていく。そして、歌い出しからドームの屋根を突き抜けるような凄まじい大合唱が巻き起こり、この曲を抱きしめて過ごす人の多さに圧倒されたのがやはり代表曲「ともに」だった。オーディエンスが放つ愛の濃さをしっかり受け止め、それ以上のモノとして必死に返そうとするメンバー。今ここで生まれているエネルギーがライヴを彩っているという、非常に美しい光景だ。
後半戦に入ってもそのテンションや勢いは衰えることはなく、シンプルな照明と客席から照らされた数多のスマホライトの輝きでより雰囲気が作り上げられた「ヒューマン」、そこら中のオーディエンスが楽しさに突き動かされ、メンバー自身が驚くほどの勢いで青い炎も上がった「サブマリン」と絶妙な流れが描かれていった。この日のクライマックスであり、ハイライトだったのは何と言っても「シグナル」であろう。両日にわたって際立った存在感を放ち、WANIMAのライヴではもはや欠かすことのできない存在となっている曲だ。KENTAは「待ってるから、いつでも戻ってこいよー!!」と語りかけ、オーディエンスもその気持ちに応えようと大声を上げ、ステージへ必死に手をのばす。そこには得難い温かさがあり、WANIMAがこの曲で歌う”君”が、駆けつけたオーディエンスのひとりひとりに届いてる証に他ならないはず。アンコールでは、まずは再加速すると言わんばかりの疾走感で突き進む「花火」を鳴らし、リクエストを募って「TRACE」、締めくくりは「これだけは」だった。何度も何度も「ありがとう!!」と告げ、最後は「またみんなで歌おうよ。だから、元気にしとってね。愛してるよ!」とKENTAが大声で叫ぶほど、愛に溢れ、胸を打つ瞬間ばかりに埋め尽くされた最高の夜だった。
アンコール終了後にメンバーから告知があったように、本公演の模様は11月28日にライブDVD『Everybody!! TOUR FINAL』としてリリースされることが決定。参加したファンは熱き思い出の追体験として、惜しくも参加できなかった方でも映像を通して伝わってくる真っ直ぐな決意と気概に触れて欲しい。Text: ヤコウリュウジ
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