2018/08/22
2018年7月20日に海外で公開された、ユニバーサル・ピクチャーズのミュージカル映画『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』。本作は、2008年の同名映画『マンマ・ミーア!』の10年後を描いた続編で、メリル・ストリープやアマンダ・サイフリッドなど、主要メンバーが続役している。脚本と監督はオル・パーカー。
本作は同映画のサウンドトラック盤で、映画公開の1週間前、7月13日に先行リリースされた(日本盤は8月22日発売)。米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”では翌週に3位まで上昇し、サウンドトラック・チャートでは1位を記録。UK(イギリス)チャートでは現在まで4週連続のNo.1をマークし、ニュージーランドやオーストラリアなどの主要国でも同1位に輝いている。
アルバム(映画音楽)のプロデュースは、ABBA(アバ)の元メンバーでソングライターのベニー・アンダーソン、同メンバーのビョルン・ウルヴァース、そして前作に引き続き製作総指揮を務めるジュディ・クレイマーが担当した。言うまでもなく、本作もABBAのヒット曲を基にした構成となっている。
中でも、最もすばらしい出来栄えだったのが、メリル・ストリープによる「ザ・デイ・ビフォア・ユー・ケイム」と、シェール&アンディ・ガルシアによる「悲しきフェルナンド」。前者は、数あるABBAのタイトルの中でも知名度はあまり高くない曲だが、このメリル・バージョンにより多くのファンを獲得しただろう。後者はオリジナル・アルバム未収録だが、米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”では最高13位をマークした、ファンからも人気の高いナンバー。シェールの圧倒的存在感を放つボーカルに魅了される。
そのシェールがメインを務める「スーパー・トゥルーパー」(全英1位)には、メリル・ストリープやクリスティーン・バランスキーなど、全キャストが終結。ミュージカル映画ならではの、“歌に後押しされる”パワーが詰まっている。同名アルバム『スーパー・トゥルーパー』(1980年)からは、リリー・ジェームスが丁寧に繋ぐロマンチック・バラード「アンダンテ、アンダンテ」も選曲された。リリーが歌うタイトルでは、ロック調の「きらめきの序曲」(全米12位)と、原曲を充実に再現した「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」(全英2位)も優秀。
日本でも大ヒットした、彼らの4thアルバム『アライヴァル』(1976年)からは、アルバムの幕開けとなる「ホエン・アイ・キッスト・ザ・ティーチャー」をはじめ、計5曲が選曲されている。中でも、アマンダ・サイフリッド、リリー・ジェームズ、メリル・ストリープによる「マイ・ラヴ、マイ・ライフ」は、バーブラ・ストライサンドを彷彿させる鳥肌モノの美しさ。
「キッシィズ・オブ・ファイア」や「エンジェルアイズ」といった、アバの代名詞であるディスコ調のアップも無論悪くないが、個人的にはバラード曲の完成度が高かったように思える。アマンダ・サイフリッド&ドミニク・クーパーによるミッド・チューン「ワン・オブ・アス」や、リリー・ジェームズ、ジェシカ・キーナン・ウィン、アレクサ・デイビーズが歌う「アイ・ワンダー(デパーチャー)」がその代表例。
選曲は、ダンス&メロウがバランス良く配置されていて、映画のテンポ同様、非常に聴きやすい構成になっている。前作に続き収録された「ダンシング・クイーン」や「マンマ・ミーア」など、誰もが知る大ヒットだけでなく、後世に受け継がれるべく名曲も収録された本作。マンネリ化しがちな大ヒット作の“続編”というプレッシャーをはねのけ、アバ・フォロワーの期待を裏切らないアルバムに仕上がったといえるだろう。
映画を観ていなくても、音楽だけで十分に楽しめる作品だが、映画を観たその余韻で聴けば、楽しさが倍増すること間違いない。日本では2018年8月24日に公開される。
Text: 本家 一成
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