2018/08/18
ネッド・ドヒニーとヘイミッシュ・スチュアート。ふたりの共演ライヴを見ながら思い出したのは、2011年12月の日本武道館での体験だった。
その時の武道館のステージにいたのは、エリック・クラプトンとスティーヴ・ウィンウッド。それぞれのレパートリーをお互いが交互に歌い、ギターでの演奏を重ねる。音楽的な両者のルーツは、米国のブラック・ミュージック。それとほとんど同じ光景が、今回のビルボードライブ東京で繰り広げられていったのだ。
つまり、今回の共演ライヴは、ヘイミッシュ・スチュアートの比重も相当に高いということになる。ネッドがシンガーでヘイミッシュがギタリストという立ち位置ではなく、ふたりが自分の代表曲を交互に歌うステージなのだ。ヘイミッシュ・スチュアートが歌うレパートリーは、もちろん、かつて彼が在籍したアヴェレイジ・ホワイト・バンドのナンバーになる。
タメの利いたリズム・セクションと、グルーヴィーなオルガン奏者を含むキーボード2名。その4人をバックに、ふたりの息の合ったステージが進んでいく。その様子は、ネッドとヘイミッシュのコンビが一朝一夕にでき上がったものではないことを存分に示していく。
彼らが楽曲の共作を通して、実りの多いコラボレーションを果たしてきたこと。今回のコンサートは何よりもそれをくっきりと映し出すものだ。ネッドの76年のセカンド・アルバム『ハード・キャンディ』に収録されている「ア・ラヴ・オブ・ユア・オウン」と、チャカ・カーンが歌って81年にヒットさせた「ワッチャ・ゴナ・ドゥ・フォー・ミー」。ふたりの共作によるその2曲はもちろん、今回のステージでもハイライトの一角をなすことになる。
ヘイミッシュ・スチュアートは終始エレクトリック・ギターを抱え、ネッド・ドヒニーは、自分が歌う曲ではアコースティック・ギターを、ヘイミッシュが歌う曲ではエレクトリック・ギターを、手にする。ヘイミッシュのレパートリーでは、アイズレー・ブラザーズとアル・グリーンの曲のカヴァーも披露されていく。
そういった選曲からも窺えるのだが、このふたりはやはり、米国のブラック・ミュージックへの愛情の傾け方に何よりも共通する視点があるのだろう。ネッドはカリフォルニア、ヘイミッシュはスコットランドのグラスゴー。生まれた場所は違っても、米国のブラック・ミュージックに対するスタンスが実に近しい。だからこそ、これぞブルー・アイド・ソウル!と思える、この夜のようなステージが可能になるのではないだろうか。
今回の彼らの来日公演は、本日開催されるサマーソニック2018(東京)のBillboard JAPAN Stageと、ビルボードライブ大阪と東京でそれぞれ1日ずつが残されている。鮮度の高さとコクの深さが一体になったようなステージ、それをひとりでも多くの音楽ファンにぜひ味わっていただきたい。
Photo:Yuma Totsuka
Text:宮子和眞
◎来日公演情報
【ネッド・ドヒニー&ヘイミッシュ・スチュアート】
2018年8月17日(金)※終了
2018年8月21日(火)
ビルボードライブ東京
1stステージ 開場17:30 開演19:00
2ndステージ 開場20:45 開演21:30
詳細:http://www.billboard-live.com/
2018年8月18日(土)
サマーソニック2018(東京)
Billboard JAPAN STAGE
http://www.billboard-japan.com/summersonic2018/
2018年8月20日(月)
ビルボードライブ大阪
1stステージ 開場17:30 開演18:30
2ndステージ 開場20:30 開演21:30
詳細:http://www.billboard-live.com/
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