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2018/07/29 12:00

『Head in the Clouds』88rising(Album Review)

 88risingは、サンフランシスコ出身の日系アメリカ人、ショーン・ミヤシロが立ち上げたニューヨーク拠点のマスメディア企業で、 ヒップホップやファッション、食など、アジアのカルチャーシーンを発信している。流行には相当敏感なようで、SNSやYouTubeチャンネルをうまく利用し、所属するアーティストを続々とブレイクさせた。その中でも最も知名度が高いのは、リッチ・チガだろう。

 リッチ・チガ(ブライアン)は、インドネシア・ジャカルタ出身の19歳。ラッパー/シンガー・ソングライター、コメディアンとしても活躍していて、今年2月には全米デビュー・アルバム『Amen』をリリースし、米ビルボード・アルバム・チャート(Billboard200)で最高18位をマークするスマッシュヒットを記録した。昨年は、初のアジアツアーも成功させ全世界で注目されている、アジア系アーティストの1人だ。インドネシアからは、 『Amen』 にも参加したR&Bシンガーのニキも、メンバーにクレジットされている。

 それから、MaSiWei、DZ、Psy.P、Meloの男子4人で結成された中国・四川省出身のヒップホップ・グループ=HIGHER BROTHERS(ハイヤー・ブラザーズ)もクオリティ高い作品をリリースしている。流行のトラップを取り入れ、アジア人とは思えないラップスキルを披露。アメリカのみならず日本でも人気を高めていて、 8月に開催される【SUMMER SONIC 2018】にも出演が決定している。

 韓国人ラッパーのキース・エイプも、ヒップホップ・ファンの間では大絶賛されているアーティストだ。これまでには、ヤング・サグや故エクスエクスエクステンタシオンといった人気ラッパーのショーに出演し、2015年にニューヨークの老舗ライブハウス「SOB's」で開催したライブは、 ニューヨーク・タイムズにも取り上げられるほど高く評価された。英語率の高ラップも、アメリカでの人気の要因。

 そして、ピンクの被り物を着て踊り狂う動画も話題となった、大阪市出身のラッパーの“ジョージ”ことフィルシー・フランクもいる。彼が“ピンク・ガイ”の名前でリリースした2017年の『ピンク・シーズン』は、米R&B/ヒップホップ・チャート9位、ラップ・チャート7位のヒットとなり、お下劣なリリックやビデオも話題となった。日本だったら即配信停止だろうが、こういったリリックや動画もまかり通ってしまうから、アメリカのミュージック・シーンは自由で面白い。

 個々での活躍は目覚ましい彼らだが、本作『Head in the Clouds』はグループ・プロジェクトとして初のアルバムとなる。ジャケットは、海をバックにメンバーが揃って映る爽やかな仕上がりだが、音の方はずっしり重く、「なぜ、このアートワーク?」と問いたくなるような違和感も、ある意味ユニークな作品。

 ニキとフィルシーがコラボしたオルタナティブR&Bの「La Cienega」や「Poolside Manor」、AUGUST 08という所属アーティストが参加したメロウ・チューン「Midsummer Madness」などの歌モノから、ミーゴスをそっくり真似た「Red Rubies」や、ジョージア州出身の人気ラッパー、プレイボーイ・カルティが参加した「Beam」など、トラップ~ヒップホップも配分良く収録されている。

 タイのシンガーソングライター=プム・ヴィプリットをフューチャーした「Lover Boy 88」や、トロピカル・ハウス風の「Plans」、ブロックボーイJBとフィルシーがデュエットしたレゲエ・ チューン「Peach Jam」など、夏らしいサウンドも満載。ハイヤー・ブラザーズがカリフォルニア出身のラッパー=03 Greedoとコラボした「Swimming Pool」も好曲。

 今年は、韓国のボーイズグループ=BTS (防弾少年団)が、全米アルバム・チャートでNo,1デビューを果たし大ブレイクした。「アジア勢がアメリカで成功することはない」と言われたのも今は昔。韓国のみならず、アジア各国の奇才たちが、全米チャートを荒らす時代が来るのも目前だ。そういった意味では、アメリカ受けするサウンドを放つ88risingは、その実現を果たすに最も近いアーティストといえるだろう。Text: 本家 一成

◎リリース情報
88rising『Head in the Clouds』
https://youtu.be/PmfxQHo_Fy4

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