2018/07/07
日本語の響きを、外国人はどのように感じているか。
これまで、世界中を訪れるたびに、同じ質問をしてきた。
最も多かったのは「エレガントな響き」だ。
パリ・ジェンヌがそう言った時は「いや、あなたの言葉の方がエレガントです」と返したが、マドモアゼルは真顔でこう続けた。
「日本語の方が優雅です」
もっとも、20か国ほどで、訪れた際に私が訊いた範囲だ。
社会学的調査を世界的に実施した訳ではない。
そのことはご留意頂きたい。
J-MELOの視聴者調査では、日本文化で最も関心があることは、常に「言葉」、つまり「日本語」だ。
2011年の調査によると、実に96%が歌詞に興味があると答えた。
そのうちの約半数は「興味があり、意味を翻訳する」。
しかし、残りの半分は「興味はあるが、特に何もしていない」。
つまり、サウンドの一要素としての日本語が好きなのだ。
オペラにはイタリア語。
シャンソンにはフランス語。
ロックには英語。
音楽には相性の良い言語がある。
最近では、韓国語とダンスポップミュージックの相性が抜群だ。
PSYの「江南スタイル」(2013)、BTS(防弾少年団)の「LOVE YOURSELF 轉 “Tear”」(2018)は、どちらも韓国語の歌唱のままで、アメリカで大ヒットした。
韓流ファンだけなら、ここまでの成功は収めなかったに違いない。
多くのアメリカ人に、韓国語が心地よく響いたのだと拝察する。
母国語のことを考える。
1つの音節に常に母音を有し、「間」が特徴である日本語。
まさに「行間を読む」言語。
世界中の人々が「耳心地が良い」と感じるものが見つけられたら、そのまま世界のスタンダードになる可能性がある。
私は、その音色を、いつも探し続けている。Text:原田悦志
原田悦志:NHK放送総局ラジオセンター チーフ・ディレクター、明大・武蔵大講師、慶大アートセンター訪問研究員。2018年5月まで日本の音楽を世界に伝える『J-MELO』(NHKワールドJAPAN)のプロデューサーを務めるなど、多数の音楽番組の制作に携わるかたわら、国内外で行われているイベントやフェスを通じ、多種多様な音楽に触れる機会多数。
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