サザンオールスターズ、40周年を迎えてなお“現在進行形”のバンドが圧巻のステージを見せたNHKホール公演

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2018/07/02

　1978年6月25日に「勝手にシンドバッド」でデビューしたサザンオールスターズが40周年を迎えた6月25日、そして翌26日。東京・渋谷のNHKホールで、サザンオールスターズキックオフライブ2018「ちょっとエッチなラララのおじさん」が開催された。

　2日間合計で約7,200名というキャパシティーはもちろんプレミアム（26日は全国の130の映画館でライブビューイングが行われ、約70,000人が集った）。

　開演前から熱気に溢れていた客席からは、開幕を彩るナレーションにも歓声が上がる。声の主は、元NHKの有働由美子アナウンサー。彼女のアナウンスで桑田佳祐、関口和之、松田弘、原由子、野沢秀行の5人が登場するや、恐らくNHKホール史上でも類を見ないであろう大歓声が轟く。有働アナのナレーションに仕掛けられていた小ネタもかき消されてしまうほどだ。

　その大歓声に迎えられてのオープニングは、この日のために微妙に歌詞を変えた「茅ヶ崎に背を向けて」から「女呼んでブギ」。共にデビュー前からのレパートリーであり、「女呼んでブギ」はコンテスト「EastWest '77」でレコード会社の目にとまった記念すべきナンバー。スクリーンには40周年への感謝の言葉が映し出され、桑田佳祐は「ラララのおじさん」ならぬ「レレレのおじさん」のポーズをちらっと披露する小技も。まさにサザンらしくハッピーにライブがスタート。

　そこからの約2時間30分。圧巻という言葉はこの日のためにあった。

「いとしのエリー」「愛の言霊(ことだま)～Spiritual Message～」「わたしはピアノ」「真夏の果実」「太陽は罪な奴」といった誰もが待っていた曲に加えて、「汚れた台所(キッチン)」「My Foreplay Music」など、40年間紡ぎ続けてきたナンバーを絶妙なポジションで繰り出す。

　最新曲「闘う戦士（もの）たちへ愛を込めて」にも歓声が上がる。さらに2015年の最新アルバム『葡萄』からセレクトされた「はっぴいえんど」「栄光の男」「東京VICTORY」が中盤にスパイスを効かせる。メンバー全員が60代となったサザンだが、今もなお現在進行形であることをあらためて感じる瞬間だ。

　特筆したいのは、ほぼ全曲で「原曲通り」を意識した、この日のアレンジ。どのナンバーも耳に染みこんだフレーズで始まるので、インロトで客席から声が上がる。聴き覚えのある間奏が会場を満たして、全員が「サザン・サウンド」でつながる。それはもう半端ない一体感。サポートメンバーであるギターの斎藤誠、キーボードの片山敦夫、コーラスのTiger、そしてホーン・セクションの山本拓夫、吉田治、菅坡雅彦も、その一体感に欠かせない辣腕を発揮して印象的だ。

　ちなみに今回、ダンサーとステージバックの映像以外にはアリーナやスタジアムでのサザンのライブに付きものの大がかりな演出は用意されていない。神輿や山車や被り物（!?）がない分、「バンド」としてステージに立った彼らの音楽だけがそこにあった。

　後半は、「ミス・ブランニュー・デイ（MISS BRAND-NEW DAY）」から「匂艶 THE NIGHT CLUB」、ベンチャーズ曲の小ネタをはさんでの「HOTEL PACIFIC」、そしてラスト・ナンバー「みんなのうた」へとたたみ込んで、客席は最高潮。

　大きな手拍子に迎えられてのアンコールは「DIRTY OLD MAN～さらば夏よ～」「LOVE AFFAIR～秘密のデート～」「ロックンロール・スーパーマン～Rock'n Roll Superman～」、そしてもちろんデビュー曲「勝手にシンドバッド」。

　圧巻に圧巻を重ねた、あっと言う間の計25曲。夏のナンバーを軸にヒストリーを辿ったセレクション。桑田ボーカルとサザン・サウンドに滲む、喜怒哀楽とユーモアと感謝の気持ち。酸いも甘いも噛み分けてきた40年間の轍。どこを切っても「これぞサザンオールスターズ」。

　桑田佳祐は、ステージの去り際に「また会おうねー！」と叫んだ。8月1日にリリースされるプレミアムアルバム『海のOh, Yeah!!』、そして2019年春の全国ドーム＆アリーナ・ツアーに向けての最高のキックオフであると同時に、40年間＝約14,600日、1日も欠かさずに耳と心でサザンオールスターズを聴いてきたファンにとっては、ここからもまた「サザンが鳴っている日々」が続いていく、そんな思いを胸に刻んだ夜だったに違いない。

text：渡辺祐
photo：岸田哲平

◎リリース情報
アルバム『海のOh, Yeah!!』
※タイトルの読み方は「海の“オヤー”」
2018/08/01　RELEASE

完全生産限定盤(2CD)
VICL-66000～1
通常盤(2CD)
VICL-67000～1
完全生産限定盤＆通常盤共通　　3,704円(tax out)
※完全生産限定盤のみデジパック仕様 / Bonus Track 1曲
＜収録内容＞
DISC-1：“Daddy”side
1.TSUNAMI
2.LOVE AFFAIR～秘密のデート～
3.BLUE HEAVEN
4.イエローマン～星の王子様～　*
5.SEA SIDE WOMAN BLUES
6.彩～Aja～
7.HOTEL PACIFIC　*
8.唐人物語(ラシャメンのうた)　
9.SAUDADE～真冬の蜃気楼～
10.涙の海で抱かれたい～SEA OF LOVE～
11.私の世紀末カルテ
12.OH!! SUMMER QUEEN～夏の女王様～　*
13.LONELY WOMAN
14.01MESSENGER～電子狂の詩(うた)～ ※0の枠内に/
15.限りなき永遠(とわ)の愛
16.素敵な夢を叶えましょう

DISC-2：“Mommy”side
1.東京VICTORY
2.ロックンロール・スーパーマン～Rock’n Roll Superman～
3.愛と欲望の日々
4.DIRTY OLD MAN～さらば夏よ～　*
5.I AM YOUR SINGER　*
6.はっぴいえんど
7.北鎌倉の思い出　〈新曲〉
8.FRIENDS
9.ピースとハイライト
10.アロエ
11.神の島遥か国
12.栄光の男
13.BOHBO No.5
14.蛍
15.闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて　〈新曲〉
16.壮年JUMP　〈新曲〉
《完全生産限定盤 Bonus Track》
初音源化楽曲収録