2018/06/15
西海岸ロック・シーンのリーダー的存在、クーチことダニー・コーチマーが2017年7月以来の来日公演を開催中だ。
1960年代はジェイムス・テイラーとの「フライング・マシーン」やキャロル・キングとの「ザ・シティ」のメンバーとして、70年代は「ザ・セクション」として活動しながら、ギタリストとして、ソングライターとして、そしてプロデューサーとして、ボブ・ディラン、ニール・ヤング、ビリー・ジョエル、ドン・ヘンリー、ジェイムス・テイラー、キャロル・キング、ジャクソン・ブラウンと言った名立たるアーティストの数々の傑作に関わってきたクーチ。今年5月には37年ぶりの新作『ハニー・ドント・リーヴ・LA』を発表。今作にはジェイムス・テイラーやジャクソン・ブラウンといったゲストたちも花を添え、彼らと作り上げた名曲の数々に加えて新曲も収録している。
今回はアルバムのレコーディングメンバーでもある「Immediate Family」の名のもと、元「ザ・セクション」のリズム隊、ラス・カンケル(ds)とリーランド・スクラー(b)が参加。さらに、ワディ・ワクテル(g)、スティーヴ・ポステル(g)という、鉄壁の布陣が集結している。
開演の時を迎え、会場を震わせる大きな歓声と拍手の中、メンバーがステージに登場。『ハニー・ドント・リーヴ・LA』にも収録されている楽曲を始め、クーチ、ワディ、スティーヴの3人が交互にボーカルを取りながら、ウェストコースト・ロックを代表するロックナンバーの数々が披露されていく。
時折、向かい合い、呼吸やリズムを確かめ合うように頷きながらプレイする5人。時代を、国境を、更には世代を越えて、胸を打つ不朽のメロディ。心を震わせる魂のリズム。幾度も奏でられてきたフレーズ、刻まれたコードだけが持つ深み、重みがそこにあった。まさに"生ける伝説"とも言えるヒーローたちを前に、オーディエンスたちはロックを愛した少年少女の頃にタイムトリップしたかのように、頬を紅潮させ、目をキラキラと輝かせながら、ステージに見入っていたのが印象的であった。
パフォーマンスが終わった瞬間、再び大きな拍手と歓声が飛び交い、スタンディング・オベーションが沸き起こる。握手を求めるファンに応えながら、満面の笑みでステージを降りるメンバー。「Thank you!」と最後まで手を振りながら、ステージ袖へと去る5人に向けて、最後まで拍手が鳴り止まなかった。
元「ザ・セクション」のメンバーでもあったクーチと、ラス・カンケル(ds)、リーランド・スクラー(b)が日本のステージで揃うのは、1973年のジェイムス・テイラーの初来日公演、2014年のジェイムスとキャロル・キングとのトルバドール・リユニオン・ツアーでの来日公演以来と、実に貴重な機会であることは言うまでもない。この後控える東京公演を、ぜひ見逃すことなくチェックして欲しい。
Photo by Kenju Uyama
Text by 杉本ゆかり
◎公演情報
【ダニー・コーチマー and Immediate Family
featuring original "The Section" members Danny Kortchmar, Russ Kunkel, Leland Sklar plus Waddy Wachtel and Steve Postell】
ビルボードライブ大阪
2018年6月14日(木)※終了
ビルボードライブ東京
2018年6月16日(土)・18日(月)
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