Billboard JAPAN


NEWS

2018/01/11

<インタビュー>DAOKOが語る、音楽と映像の関係性「動画ありきで音楽を聴く」

 2017年の夏を最も彩った楽曲として、映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』主題歌の「打上花火」を真っ先に思い浮かべる者は多いはずだ。DAOKOと米津玄師という、今をときめく新世代アーティスト2組によるこのコラボ・ソングは、先日ビルボードジャパンが発表した年間チャート“Billboard JAPAN HOT100 of the Year 2017”で3位を獲得。2017年にリリースされた邦楽曲の中では最高位となることから、この「打上花火」が名実ともに2017年の代表曲であることに異論はないだろう。

 そんな「打上花火」が、2017年12月17日に東京ビッグサイトで開催された【YouTube FanFest 2017】の最中、“YouTube Rewind 国内トップトレンド音楽動画 2017”で堂々の1位を獲得したことが発表されると、美しい浴衣姿で登壇したDAOKOは、「打上花火」を歌唱。どこか隔世的な雰囲気と、楽曲の世界観を丁寧に汲み取った表現力でもって、約7,000人の観客を魅了したのだった。

 Billboard JAPANでは、【YouTube FanFest 2017】終演後のDAOKOにインタビューを実施。YouTubeのイベントということで、彼女のアーティスト活動でも重要な役割を果たす映像と音楽の関係性、そもそもの活動のきっかけ、自身が惹かれるアーティストについてなど、話を訊いた。


――【YouTube FanFest 2017】のステージお疲れ様でした。出演の感想をお聞かせください。

DAOKO:2017年は「打上花火」を色んな機会で歌わせてもらったんですけど、改めて今日、YouTubeの2017年もっとも注目された音楽動画1位ということが発表されて、その曲をYouTubeファンの皆様の前で歌ってみたら、やっぱり熱量がすごくて、今年の夏を彩る曲になれたんだなぁと思いました。

――周囲からの反響も大きかった?

DAOKO:自分がそういうのに疎いっていうのもあるんですけど、周りの方の見る目が変わったりとか、お仕事としても色んなアーティストの方に声をかけていただける機会が増えたりとか、そういうところで「あ、すごく街鳴りしてた曲なんだな」っていうのを実感できました。実際、自分がうどん屋さんでうどんを啜ってる時に聞こえてきたりしたので。

――そんな「打上花火」ですが、ビルボードジャパンの発表する年間チャートでは総合3位を獲得しました。その大きな要因となったのが動画再生回数だったのですが、DAOKOさん自身、YouTubeのような動画投稿サイトで音楽と出会う機会は多いですか?

DAOKO:そうですね。まぁ音楽との出会い方は色々あります。Twitterで好きなアーティストさんの紹介から入ることもあれば、自分でCDショップに行ってディグる、みたいな探し方もあるんですけど、動画サイトには関連動画とか、自分の趣味嗜好に合った動画を自動的にオススメしてくれる機能があるので、結構出会いやすかったりしますね。

――DAOKOさんの世代的に、YouTubeのような動画サイトって小中学生の頃からすでに生活の中にあったかと思うのですが、当時からそういったサイトはよくご覧になってましたか?

DAOKO:そうですね。小学校高学年くらいの時に初めてYouTubeに出会って、衝撃を受けたのを覚えてますね。

――どういった動画を?

DAOKO:当時はおもしろフラッシュみたいなものが流行ってて(笑)。そういうギャグ動画みたいなのに出会って、「なんだこのおもしろすぎるものは」みたいな。友達とか家族も見てましたね。

――DAOKOさんはご自身の音楽活動の中でも映像をすごく重視されてますよね。音楽と映像の関係性を意識し出したのはいつ頃でしょう?

DAOKO:もともとニコニコ動画に楽曲をアップしてて、動画を撮ったり編集もしたり、自分でPVを作っているような感覚でした。今の若い子とか特にそうですけど、動画ありきで音楽を聴くような形が一番スタンダードかなと思いますし、視覚的な情報はバズる要因の一つになるし、そういった意味で映像ってすごく大事。アーティストとして大切にするものの中で音楽と同じくらい大切かなと思います。

――そもそも動画投稿サイトで自分の音楽を発信していこうと思ったきっかけは?

DAOKO:YouTubeにしてもそうですけど、アマチュアの人がおもしろいと思ったジャンルに対して投稿していけるっていう手軽さみたいなのがおもしろいと思って。

――そこからプロとして活動の幅を広げていったり。

DAOKO:そうですね。私もその一人ではあるんですけど、やってみようっていう精神で。当時は今ほど女性でラップをしている方がいらっしゃらないなぁと思って、今自分の声でやったらもしかしたら注目してもらえるのかなぁみたいな勘といいますか、おもしろそうだなと思って投稿してみたのがきっかけですね。

――音楽/映像制作において、一番インスピレーションを受けるところは?

DAOKO:ふっと舞い降りてきたりするものではあるんですけど、私はライブを観に行って、音楽を自分の身体をもってして体感するのが好きなんです。ライブでしか感じられない感動があるし、ストレス発散にもなったりするので、積極的に好きなバンドを観にライブハウスに行って踊ったり。クリエイティブな音楽を作っている人の生演奏を聴くと、「自分も創作しなきゃ」みたいなのは自然と思ったりしますね。

――最近ご覧になったライブで刺激的だったものはありましたか?

DAOKO:ベックのオープニング・アクトで出てたコーネリアス。何年も何十年もやられている方々のスペシャルなショーを観たなって感覚で、びっくしたというか、圧倒されました。あとはインディーズ・バンド、ドミコとかTempalayとか、その辺りはよく観に行ってますね。

――やはりライブがかっこいいアーティストに惹かれる?

DAOKO:それはやっぱりありますね。CDが売れない時代で、ライブに力を注いでいるアーティストは好印象ですし、どれだけ真摯にライブと向き合ってるかはライブを観たら分かります。

――そんなCDが売れない時代で、動画サイトやダウンロード、ストリーミング・サービス等、音楽の楽しみ方はますます多岐に渡ってきていますが、DAOKOさんはデジタル・メディアを介して音楽を聴くことに抵抗はありませんか?

DAOKO:アーティストへの還元も大きいし、本当に好きな音楽に関しては盤で欲しいなって気持ちはあるので、そういったものはCDを買いに行くんですけど、やっぱり常日頃から色んな音楽をたくさん聴きたいっていう気持ちもあるので、そういう時はApple Musicとかでわーって落として溜めて聴いたりとか。広く浅くにはなってしまうんですけど、そういう聴き方もしてます。速いですしね。わざわざ足を運ぶ必要がないっていうのは大きいと思います。

――それでは最後に、12月20日にリリースされた約3年ぶりとなるアルバム『THANK YOU BLUE』、そして2018年の活動について、コメントをお願いします。

DAOKO:3年間空いてしまったんですけど、1年1年で自分が聴く音楽も変化していく中で、その瞬間の自分を切り取って凝縮した集大成のアルバムになってます。中にはタイアップの曲とかコラボした曲っていうものがありながら、個人的に好きなバンド、TempalayとかD.A.N.とか色んな客演もしてもらって作り上げたアルバムですごく色とりどりです。なので来年に関しては、自分のオリジナルっていうものを頑張りたいなって気持ちになりました。自分が一番美しいと思う音楽を追求していく年にしたいなと思ってます。

◎リリース情報
DAOKO
New Album『THANK YOU BLUE』
Available now
<初回限定盤(CD+DVD)>
TFCC-86624 / 3,600円(tax out)
<通常盤(CD)>
TFCC-86625 / 2,800円(tax out)

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