2017/12/30
今週のHot100では、意外にもスピッツの「楓」が9位にランクイン(【表1】)。この曲は1998年のヒット曲で当時もチャートの上位に入った名曲だが、今回は「午後の紅茶」の印象的なCMにおいて主演の上白石萌歌によってカヴァーされたことで、再びチャートを急上昇している。特にストリーミングでの再生数は圧倒的で各音楽サービスでは軒並み1位を獲得。フィジカルやダウンロードも含めたセールスチャートの動きを追えば、その勢いも見えてくるはずだ(紫のグラフ)。またYouTubeでのミュージックビデオの再生数も急激にアップし、12/18付では94位だったのが翌週12/25付では13位、そして今週は10位にまで上昇している(赤のグラフ)。加えてラジオのオンエア回数(緑のグラフ)や、Twitterのつぶやき数(水色のグラフ)も含め、この3週間でかなりの盛り上がりを見せているのだ。
この「楓」の人気は、楽曲だけでなくアルバムにも波及している。今週15位にランクインされたアルバム『CYCLE HIT 1991~2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX-』は、今年の7月にリリースされたベスト盤。ロングセラー中ではあるが、セールス的には12月の頭までは右肩下がりだった(【表2】)。12/11付のセールスチャートでは60位にまで下降したが、翌週12/18付では22位まで再浮上。もともと息の長い商品ではあるとはいえ、さらにこれからも伸び続けることが予測される。CMはあくまでもカヴァーだが、こういったきっかけでも過去の曲に注目され、カタログが売れるというのも面白い。
このようなリバイバル・ヒットは、最近だと荻野目洋子の「ダンシング・ヒーロー」が挙げられる。このスピッツの「楓」は話題性という意味ではまた種類が違うが、じわじわと広がっているのは同様。すでに20年近く前の楽曲が若い世代に響くということも、音楽業界の活性化を考えると大きな意味があるのではないだろうか。Text:栗本斉
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