2017/12/25
高木正勝が、世界遺産の京都・本願寺で12月9日に開催された【スクール・ナーランダ特別編】に出演し、国宝である本願寺阿弥陀堂でソロ・ピアノコンサートを開催した。
当日、阿弥陀堂ではまずおつとめを実施。厳かに響き渡る雅楽のなかで、一同静かに手を合わせる。しばらく鳴り響いていた雅楽がやむと、僧侶の方々の散華(念佛)がスタート。コール・アンド・レスポンスの要領で、頭発の僧侶の方が南無阿弥陀仏を唱えたのち、その他の僧侶が声を揃えて南無阿弥陀仏を唱えていく。メロディーのついた南無阿弥陀仏、そして続く和讃の調べは美しく、満席の来場者の胸に響いていた。
続いて、高木正勝が登場し映像とピアノによるコンサートを開催。公演前のおつとめにも参加していた高木は「幸福な響きは自分次第」とコメント。その日のおつとめのみならず、日頃からその想いを感じながら音を奏でていると語った。演奏がスタートすると、歌う喜びにあふれたピアノの音色と歌声が、色彩豊かな高木の映像と一体となって静謐な空間に響きわたる。それはまるで、光につつまれた極楽浄土の世界に聴衆を誘ってくれるかのようだ。京都生まれの高木は、4年前からは京都と兵庫の県境にある、山奥の小さな村に暮らしている。たくさんの動物や自然、村の人々との暮らしを表現する、どこか懐かしさや原風景を思い出させてくれるような音や歌もあわせて披露した。
また、最後は高木正勝と車兪澈(生物学者)、藤丸智雄(浄土真宗本願寺派僧侶)が「自己と他者・世界との境界」をテーマに鼎談を実施。小さな村で、自然や動物たちとともに音楽を奏でる高木は、ピアノを弾いていると、セミなどの動物たちも、一緒に盛り上がったり静かになったりするそう。あるいは、盛り上がってから少し静かに弾こうとすると、その一瞬前にセミたちが静かになる、という現象も起こるとか。演奏中は、自己と他者の感覚がなくなるというよりも、一瞬建物自体、空間自体で演奏しているという感じになり、演奏しているときはどんどんその意識が遠へと広がっていくと述べた。
そして浄土真宗本願寺派僧侶の藤丸は、インドの話を例に挙げた。その辺を歩いているヤギが明日にはカレーの材料になったりするけれど、ヤギはその日をただ、ゆったりと歩いている。インドではあらゆる命が救われるようにと願われていて、食べるということが「殺す」「命を奪う」ということではなく、自然の入れたり出したりすることがバランスよく行われていて、それが素晴らしい。そういう環境のなかで仏教が生まれてきたのだと語った。最後に、藤丸は「私たちが生きている現代の生活はあまりに人工的で、いのちの繋がりをともすれば忘れて日常を送ってしまいがちですが、自我を乗り越えるなかでいろんな世界がよくなるのではないでしょうか?」と締めくくった。
その他、境内では日本各地で開催されている【サイレントフェスTM】を開催。参加者それぞれが、ワイヤレスヘッドフォンを通じてDJブースから流れる音楽を楽しむプログラムで、「テクノ法要」や「向源」など、全国のお寺でイベントを主催する僧侶がとっておきの音楽を披露した。
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