2017/12/23 17:30
2014年にEP盤『NF』でデビューした、米ミシガン州グラッドウィン出身の白人クリスチャン・ラッパー=NF。本作は、全米クリスチャン・アルバム・チャートで12位を記録し、ゴスペル・チャートでは無名の新人にもかかわらず、最高4位をマークした。翌2015年には初のスタジオ・アルバム『マンション』をリリースし、クリスチャン・チャートで初のNo.1を獲得。2016年の2ndアルバム『セラピー・セッション』も同チャートで2作連続の首位に輝き、今年の10月6日に発売したばかりの3rdアルバム『パーセプション』は、10月28付の全米アルバム・チャートで初登場1位にデビューし、ラップ・チャートでも首位獲得を果たした。
「レット・ユー・ダウン」は、本作『パーセプション』からの3rdシングル。最新の全米ソング・チャート(2017年12月28日付)では、登場9週目にして16位まで上昇している。NFは、これまでに9曲のシングルをリリースしていて、デビュー曲から全てがクリスチャン・シングル・チャートでTOP40にランクインし、前曲「グリーン・ライツ」(2017年8月発売)では11位まで上り詰めたが、総合(HOT100チャート)では初のランクインとなる。
タイトルが示す通り、自分の意思を貫いて誰かを“ガッカリさせてしまった”という内容のこの曲。一見、失恋ソングのようにも思えるが、「見下さないで」、「指導されているみたい」などの歌詞から、親や上司、友人に対しての不満や皮肉を言っている、という解釈もできなくもない。また、自分が目の前で溺れているのに、ただ見ているだけの年配男性が登場するミュージック・ビデオからも、訴えたいのは失恋の痛みなどではなく、誰かに助けてもらいたかったのに手を差し伸べてくれなかった、自分のことを認めてもらえなかった……ということを、歌っているように思える。同ビデオは、炎に包まれた車に閉じ込められたままのNFが、男性の目の前で亡くなってしまうというバッド・エンドで幕を閉じる。
物悲しいピアノ演奏やゴスペルっぽい旋律など、切ない歌詞に乗せたサウンドは、ウィズ・カリファの「シー・ユー・アゲインfeat.チャーリー・プース」を彷彿させる、泣かせのメロウ・チューン。巧みなラップのみならず、サビで聴かせるNFの哀愁漂うボーカルもすばらしい。楽曲はNF自身が制作し、プロデュースは2014年の【第56回グラミー賞】で<最優秀コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック楽曲賞>を受賞した音楽プロデューサー、デイビット・ガーシアが担当している。
今年は、マシンガン・ケリーの「バッド・シングスfeat.カミラ・カベロ」や、ロジックの「1-800-273-8255feat.アレッシア・カーラ&カリード」が大ヒットし、何かと比較されがちなエミネムも、4年振りとなる復帰作『リバイバル』をリリースするなど、白人ラッパーたちの活躍が目覚ましかった1年。この勢いを受けて、「レット・ユー・ダウン」の全米TOP10入りとNFのブレイクにも期待したいところ。ちなみに、NFというアーティスト・ネームは、本名=ネイサン・フォイアスタインのイニシャルのようで、2010年にはこの名前で『モーメンツ』というアルバムを自主制作している。
◎リリース情報
「レット・ユー・ダウン」
NF
2017/9/15 RELEASE
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