2017/11/23
神奈川県川崎市を舞台に11月10日よりおこなわれていた都市型音楽フェス【かわさきジャズ2017】。10日間にわたって開催された同フェスのフィナーレを飾る、サックス・プレイヤー本田雅人による公演『MASATO HONDA SPECIAL AFTERNOON LIVE』が11月19日、昭和音楽大学テアトロ・ジーリオ・ショウワにて開催された。
デュオ、バンド、ビッグバンドと編成を変えての3部構成でおこなわれる同公演。オープニングを飾ったのは、本田とジャズ・ピアニスト佐山雅弘とのデュオ・セット。ステージに現れた2人は客席に大きく一礼し、ビル・エヴァンスの名曲「ワルツ・フォー・デビイ」でショーの口火を切る。数年前から共演を重ねてきた2人は、時折顔を見合わせながらPONTA BOXの「サンドウィッチ3-2-3」やニコライ・カプースチンの「8つの演奏会用エチュード」などを絶妙なコンビネーションで演じていく。2つのセンスと個性が正面からぶつかり合い、融和し合う瞬間はまさに“魂の共演”といった様相。お互い「キツイ相手」「楽しくない」などと共演を皮肉りながらも、その才能を讃え合う一幕も。終盤には、2部以降に出演予定のピアノ/キーボード奏者、新澤健一郎との連弾も披露した佐山。久々のステージということで体調面も心配されたが、柔らかく繊細なタッチと独創性溢れる演奏で聴衆を魅了し、笑顔でステージを後にした。
続く2部は本田が90年代に在籍したT-SQUARE時代の盟友・和泉宏隆(ピアノ)、則竹裕之(ドラム)らを迎えてのバンド・セット。ファン垂涎の名手が集結した同パートは、オープニングから和泉の代表曲でありT-SQUARE(THE SQUARE)の代表曲「宝島」のパフォーマンスで観客を圧倒。本田に“2部の主役”と紹介された和泉は、1部で芸術性の高い演奏を披露した佐山と自身の演奏スタイルを比較し「かつお風味」と「背脂」、また、T-SQUAREを「四角いバンド」と形容するなど、持ち前の明るいキャラクターで観客を和ませる。その後も「メロディーを弾いているだけで楽しめる」と本田が語る、和泉の美メロ・バラード・ナンバー「Twilight In Upper West」に、ドライヴ感が心地よい則竹ナンバー「勇者(YUH-JA)」とファンの期待通り、T-SQUARE時代のナンバーが立て続けに披露されていく。個々の高いテクニックに裏付けられた圧倒的なグルーヴもさることながら、盟友たちをバックにリラックスした様子でプレイする本田の姿が印象的。本田と和泉のデュオ・スタイルで披露された「11月の雨」で一息ついた後は、ふたたび「和泉さんのヒット曲を楽しむ会」と本田が客席を煽り、ここ一番の盛大な拍手が巻き起こるなか、「EL MIRAGE」「OMENS OF LOVE」と盛り上がり必至の名曲で2部を盛大に締めくくった。
そして、フィナーレとなる3部は自身のビッグバンドB.B.Stationを率いてのステージ。同ビッグバンドのテーマ曲を皮切りに「Condolence」「Fair Affection」と本田のオリジナル・ナンバーのほか、ジャズ・スタンダード「After You’ve Gone」や、おなじみ「ルパン三世のテーマ」がビッグバンドならではの華やかなサウンドで繰り出されていく。そして、本田の代表曲「Megalith」をもって本編は終了。約3時間、まさに“ハイパー・サックスプレイヤー”たる所以をこれでもかと見せつけてくれた本田雅人。「次はもう出来ないでしょうね。」との自虐を挟みつつも「第2回ができるように頑張ります。」とファンに誓うと、最後に“2部の主役”和泉をステージへと呼び戻し、ビッグバンドとともに「宝島」を再演。今やT-SQUAREの代表曲という枠を超え、吹奏楽の定番曲としても愛されている「宝島」を、オリジナル・メンバーたちが新たなアレンジで披露する、なんとも貴重なアンコールはファンにとって最高のサプライズ・プレゼントとなったに違いない。
神奈川県川崎市を舞台に、<ジャズは橋を架ける~Jazz overcomes differences.~>というコンセプトのもと、ジャズを通じた様々な出会いと交流を演出する【かわさきジャズ2017】。今年は本田雅人による圧巻のステージにより、盛大にフィナーレを迎えた。
◎公演情報
かわさきジャズ2017
【MASATO HONDA SPECIAL AFTERNOON LIVE】
2017年11月19日(日)
神奈川・昭和音楽大学テアトロ・ジーリオ・ショウワ
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