2017/11/12 18:00
日本では、2015年に全世界で大ヒットした映画『ワイルド・スピード SKY MISSION』のテーマ曲「シー・ユー・アゲインfeat.チャーリー・プース」で知られる、米ペンシルベニア州ピッツバーグ出身のラッパー、ウィズ・カリファ。昨年は、映画『スーサイド・スクワッド』のサントラ盤に収録された「サッカー・フォー・ペイン」で、リル・ウェイン、イマジン・ドラゴンズ、タイダラー・サイン、ロジック等と共演し、こちらも大ヒットを記録した。
泣かせのメロウ「シー・ユー・アゲイン」や、ヒップホップというよりはポップに近い「サッカー・フォー・ペイン」の延長線で聴くには、あまりにも違和感がある最新ミックステープ『ラフ・ナウ、フライ・レイター』。しかし、「いい音楽を求めているだけ」とウィズ・カリファ本人がコメントしているように、彼が本来やりたいことは、売れ線を一切無視したこういう音楽なのだろう。昨年2月にリリースした『カリファ』も、男気溢れるクールな仕上がりだった。
L.A.の若手ラッパー、ケイシー・ヴェジーズが参加した冒頭の「Royal Highness」や、弦の音が後ろで不気味に響くトラップ・ソング「Letterman」、エフェクトをかけてひたすらアルファベットを並べる「No Dirt」、攻撃的でハードな「Global Access」~「Weed Farm」など、上品さや聴きやすさとはおよそ無縁の曲もあれば、夜のドライブに合いそうなジャジー・ヒップホップ「Figure It Out」や、部屋でまったり聴けそうな「Plane 4 U」など、メロウ・チューンもバランス良く配置されている。
また、生音感のある90年代っぽい作りの「Long Way To Go」や「City Of Steel」もいい。ハモりをきかせたラストの「Stay Focused」も、そんな感じだ。決して今風ではないが、もう少しこの路線の曲があっても良かった気がする。しかし、売れ線も、ハードコアもスロウも、懐かしさを感じさせる曲まで、サラっと作ってしまう持ち前のセンスには恐れ入る。
ウィズ・カリファは、2014年に全米首位をマークした5thアルバム『ブラック・ハリウッド』以来となる、通算6作目のスタジオ・アルバム『ローリング・ペイパーズ2』を現在制作中。これまでに、リル・ウージー・ヴァートが参加した「プル・アップ」や、タイ・ダラー・サインをゲストに招いた「サムシング・ニュー」などのシングル曲をリリースしているが、次作に収録されるかは明らかになっていない。
ちなみに、本作『ラフ・ナウ、フライ・レイター』のジャケットにウィズ・カリファと一緒に写っている赤いガウンの女性は、現在のガールフレンド、イザベラ・ゲデスとのこと。一瞬、リアーナかと……。
Text: 本家 一成
◎リリース情報
『ラフ・ナウ、フライ・レイター』
ウィズ・カリファ
2017/11/10 RELEASE
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