2017/07/13 13:00
2017年7月5日、東京・SPACE ODDにて【Spotify Early Noise Night vol.2】が開催され、向井太一、chelmico、大比良瑞希、YonYon(DJ)が出演した。
“飛躍が期待される新進気鋭のアーティストや新たな音楽トレンドをいち早くキャッチできる場”の提供を目指すSpotifyが贈るこのイベント。向井、chelmico、大比良はそれぞれR&B/ヒップホップ/J-POPと、ジャンルは三者三様ながら、どこかブラック・ミュージック寄りのモダン・アーバンな魅力を放っているという点で共通点がある。WONK、RIRI、JABBA DA HUTT FOOTBALL CLUBが出演したvol.1に続き、そうした音楽が今の東京の気分ということなのだろう。数年前はAIRという名前のクラブとして知られていたSPACE ODDは、吹き抜けの構造となっており、この日は最下階のフロアの中央にライブ用のステージが設置された。
定刻を過ぎると、ライブ・アクトのトップバッターとして大比良瑞希が登場した。この日は、ギター・ボーカルをつとめる大比良に加え、キーボード(井上惇志)、ベース(越智俊介)、ドラムス(櫃田良輔)、チェロ(伊藤修平)も加わった5人編成。きわめてポップでありつつ、ところどころにソウルやR&Bなどのテイストを感じさせる大比良の歌を、バンドの演奏がサポートする。特に、こうした歌伴のバンドとしては珍しい伊藤のチェロの響きが、サウンドのレンジを拡げていた。途中のMCでは、大比良が自身の物販エリアでCD販売を行っていることを紹介しつつ、「でも、全部Spotifyで聴けるんですけどね!」と自ら注釈し、メンバーからツッコミを受ける場面も。ラストの「Sunday Monday」まで、ステージは終始爽やかに進んだ。
ライブ・アクトの合間には、YonYonがDJプレイを披露。トラップやヒップホップの影響下にある最新のエレクトロ・ミュージックを中心に、ブルーノ・マーズ「That's What I Like」などのポップスも織り交ぜ、アッパーになり過ぎない心地よいプレイでフロアを揺らした。
この日、2組目のライブ・アクトとなったchelmicoは、編成の身軽さと2MCの掛け合いを武器に、ステージを360度に上手く使いながら、フロアのオーディエンスに力強くアピール。MC RACHELとMC MAMIKOのラップは、アッパーであると同時にチアフルで、こうした共演イベントにはもってこい。一方で、各々のラップのスキルの高さや、曲によってコーラス・パートを高音と低音に振り分ける細やかな工夫などを通して、ポップ・ミュージックとしての強度をも感じさせた。最後は「みんなで声を出せる曲を選びました!」と宣言し「Love Is Over」でオーディエンスとコール&レスポンス。今後も注目の的となりそうな、勢いを感じるライブだった。
そして、この日のトリを飾った向井太一は、キーボード/ラップトップ+ドラムスという3人編成で登場。1曲目から持ち前のソウルフルな歌声で一気にオーディエンスを自身の世界観に引き込む。陶酔的で艶やかな音楽性、そしてそれを支える抜群の歌唱力は、この世代のアクトとしてはやはり随一のものだろう。yahyelやstarRoといった個性的なプロデューサー達と共作した楽曲を乗りこなしつつ、パフォーマンスのカラーをしっかりと“向井太一的”なものに引き寄せているところに、アーティスとしての器の大きさを感じる。ダンサブルな曲からアコースティックなスロー・ジャムまで力強い歌と演奏で聴かせた。8月には東阪ビルボードライブでの公演が控えるなど、今まさに飛躍の真っ只中にある彼の今後の活躍にも期待したくなるステージだった。
今まさに注目したい3組の共演により、現在進行系の東京のミュージック・シーンの有り様まで写す【Spotify Early Noise Night】。vol.2も盛況のうちに終了したばかりだが、次なるvol.3では、果たしてどんなアクトが集結し、どんなライブを繰り広げるのか。今後の展開にもぜひ注目したい。
◎公演情報
【Spotify Early Noise Night vol.2】
2017年7月5日(水)東京・SPACE ODD
出演:向井太一、chelmico、大比良瑞希、YonYon(DJ)
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