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2017/06/02

全米1位濃厚! 2017年R&Bシーン最重要アルバム / 『トゥルー・トゥ・セルフ』ブライソン・ティラー(Album Review)

 米ケンタッキー州ルイビル出身、24歳のR&Bシンガー、ブライソン・ティラーの2ndアルバム『トゥルー・トゥ・セルフ』が、2017年5月26日にリリースされた。

 ブライソン・ティラーは、2015年リリースのデビュー曲「ドント」が、全米ソング・チャート最高位13位、R&Bチャート最高位2位のスマッシュヒットとなり、続く2ndシングル「エクスチェンジ」もR&Bチャート4位を記録、両曲が収録されたデビュー・アルバム『トラップソウル』は、全米アルバム・チャート最高位8位、R&Bチャート2位まで上昇し、プラチナレコードに認定された。

 その『トラップソウル』からおよそ1年半ぶりにリリースされた2ndアルバム『トゥルー・トゥ・セルフ』は、前作の流れをそのままに、トラップとヒップ・ホップをブレンドした質の高いR&Bソングが、全19曲収録されている。インタールードを挟みながら曲が展開していくので、中だるみもなくラストまで楽しむことができる。

 プロデュースは、ドレイクやリアーナの全米No.1ソングなどを手掛けるボーイ・ワンダや、2016年大活躍をみせたフランク・デュークス、前作『トラップソウル』でも活躍したキーズやイルマインドなど、昨今のヒット曲には欠かせない売れっ子たちが参加している。

 本作は、サンプリング・ネタが充実していて、オープニングのイントロ「レイン・オン・ミー」はSWVの「レイン」、「ウィ・ボス・ノウ」はチェンジング・フェイシスの「ストローク・ユー・アップ」、「ステイ・ブレスト」はメアリー・J・ブライジの「ドント・ゴー」、「セット・イット・オフ」はフェイス・エヴァンスの「ユー・アー・マイ・ジョイ」など、90年代アーティストの楽曲が多数起用されている。

 また、70年代を代表するボーカル・グループ、スピナーズの「ノー・ワン・ダズ・イット・ベター」もあれば、2000年代初期にミッシー・エリオットのプロデュースでデビューしたR&Bシンガー、トゥイートの「マイ・プレイス」も使われている。ドレイクやケンドリック・ラマーのフレーズも登場し、思わずニヤリとする場面の連発だ。

 「ドント・ゲット・トゥ・ハイ」や「イン・チェック」、「ハイ・ステークス」など、ラップと歌を絡ませる楽曲を中心に、ラップのみで構成された「ブローイング・スモーク」や、ずっしり重たいトラップ・サウンド「セルフメイド」、「マネー・プロブレムズ」など、男気溢れるヒップホップ・ソングも充実。「ウィ・ボス・ノウ」や「セット・イット・オフ」など、お得意のスロウジャムも完成度が高い。

 ここ最近は、ドレイクのトラックや歌い方をそっくり真似るアーティストが頻出しているが、そのドレイク・フォロワーの中でも、ブライソン・ティラーの実力は正しく折り紙付きといっていい。セクシー系ともヤンチャ系ともまた違う、独特の声質も彼の魅力のひとつ。ポップ要素は皆無だが、2017年のR&Bシーンにおいては、欠かしてはいけない1枚だと断言できる。グラミー賞ノミネートも濃厚か。

 本作『トゥルー・トゥ・セルフ』は、次週の全米アルバム・チャート(2017年6月17日付)で、No.1デビューする可能性が高い。


Text: 本家 一成

◎リリース情報
『トゥルー・トゥ・セルフ』
ブライソン・ティラー
2017/5/26 RELEASE

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