2017/05/19
2016年に発売した最新アルバム『ディストピア』で初のグラミー賞を受賞したメガデスが、最新アルバムを引っさげて1年7か月ぶりの来日公演を開催、ライブレポートが到着した。
今回の来日公演は、間違いなく、これまでの彼らのジャパン・ツアーのなかでも1、2を争う素晴らしい内容だった。まさに1987年の初来日公演に匹敵する衝撃だ。大阪を含めて全3公演。とくに東京は2公演とも完全ソールドアウト状態。会場の中も超満員だったが、会場の外にもチケットを求めるファンで溢れかえる大盛況ぶりだった。
18日の東京公演初日は、日本のTHE冠がオープニング・アクトをつとめ、その後に約1時間のアンスラックスの白熱したライブ経て、20時40分過ぎにメガデスがステージに登場。「Hangar 18」から始まった今回のライブは、まさに“これぞメガデス”ともいうべき代表曲と名曲、ヒット曲を矢継ぎ早に放つ、選曲もまさにベリー・ベストといえる内容だった。とくに今年2月の第59回グラミー賞で“最優秀メタル・パフォーマンス”を受賞したタイトル曲を含むメガデスの最新アルバム『ディストピア』からは、合計7曲を披露。自分たちのニュー・アルバムからの曲をこれほど多くライブで演奏するあたりにも、いまのバンドの好調さと自信が表れているといえるだろう。
実際、90分を超えるメガデスの今回のステージは、メンバー全員が自由自在にいきいきと演奏するシーンがとても印象的で、最初から最後まで躍動感と閃きと力強さと強烈なエネルギーに溢れた、本当に素晴らしい内容だった。
実は、この日、デイヴ・ムステインが「大切な友人」と語るサウンドガーデンのクリス・コーネルが急死。その訃報を公演前に知ったムステインは、「今日、デトロイトで俺の大切な友人が亡くなった。とても悲しい。ロックの歴史上、最も美しい声の持ち主だったんだ。クリスのために次の曲を演奏するから、もしも知ってたら、みんなも一緒に歌ってほしい。知らなくてもmake noiseしてくれよな」と語って、アンコールでサウンドガーデンの「Outshined」を熱唱。おそらく公演前に、それほどリハーサル時間もなかったと思われるこの曲をムステインは熱唱し、会場を埋め尽くした超満員の観客から大歓声を受けた。
そして、コンサートの最後には、「I'll see you again soon, Chris. みんなも気をつけて帰るんだぞ。また会いたいから……」と、ムステインのこの気の利いた発言は、超満員の観客の大歓声にかき消されて、その場ですぐにわかったファンがどれくらいいたのか、僕は知らない。しかし、ムステインのこうしたファン思いなところもまた、メガデスの大きな魅力であることを実感させてくれた、本当に実にすばらしい最高の夜だった。
TEXT:冨倉 信(音楽ライター)
◎Megadeth 2017 MAY 18
at Zepp DiverCity Tokyo
1. Hangar 18
2. Wake Up Dead
3. In My Darkest Hour
4. The Threat Is Real
5. Sweating Bullets
6. She-Wolf
7. Conquer or Die!
8. Lying In State
9. Trust
10. Poisonous Shadows
11. Tornado Of Souls
12. Fatal Illusion
13. A Tout Le Monde
14. Post American World
15. Dystopia
16. Symphony Of Destruction
Encore
17. Peace Sells
18. Outshined
19. Holy Wars... The Punishment Due
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