2017/04/22
米カリフォルニア州インディオにて毎年開催されている世界的野外音楽フェスティバル【コーチェラ・バレー・ミュージック&アートフェスティバル】。今年は、レディオヘッド、レディー・ガガ、そしてケンドリック・ラマーがヘッドライナーを務め、他にもボン・イヴェール、The xx、フューチャー、ロード、DJキャレドなど、米ビルボード・チャートを賑わすアーティストが大勢出演した。
昨年に続きBillboard JAPANの特派員が、2017年4月14日~16日にかけて行われたウィークエンド1に参加。圧巻のステージを繰り広げたケンドリック・ラマー、6月発売のニュー・アルバムから新曲を披露したロード、珠玉の映画音楽で観客を沸かせたハンス・ジマーらが出演した最終日の模様を写真とともに振り返る。
◎Caveman
今年から新設されたSonoraテントは扉があり、ソファーやビーンズクッションが置かれた寛ぎながらアーティストのライブを観られる環境で、ありがたいのは冷房が効いていること。ブルックリン出身のオルタナバンドのまったりとしたロックを涼しみながら楽しんでいると、砂漠の真ん中にいることを忘れてしまうような他のステージとは全く異なる空間。(Photo: Brian Willette / Courtesy of Coachella)
◎Ezra Furman
叙情詩のような楽曲とロックバンドの編成ながらサックスがいいアクセントに。(Photo: Charles Reagan Hackleman / Courtesy of Coachella)
◎Skepta
本来であれば去年の【コーチェラ】に出演のはずだったが、どうやらパスポートを落として入国できなかったようで今回がリベンジ。オンステージはDJとの2名のみで、ステップを踏みながらリズム良いラップでオーディエンスを煽り、後半はオーディエンスが中指を立てて盛り上がるという海外ライブならではの醍醐味を体験。(Photo: Julian Bajsel / Courtesy of Coachella)
◎Whitney
ドラムを叩きながら高音で歌うという特徴的なスタイルで、確かな演奏力とレトロなサウンドでまるでレコードを聴いている感じがするライブ。まだ完成していないし3回ぐらいしか演奏したことのない新曲「Rolling Blackout」を演奏。フェスでその度胸は凄いし、今後の活躍に注目したい。(Photo: Charles Reagan Hackleman / Courtesy of Coachella)
◎Devendra Banhart
メローなライブスタートだったが、途中からこれぞDevendraというシャウトやエキセントリックでユニーク、それでいてどこか危なっかしい冷や冷やさせられるパフォーマンス全開。フェスティバルだとこのスタイルはオーディエンスの一部を置いてきぼりにするのだろうが、途中で小学生低学年ぐらいの少女が登場してこれといってうまくもない歌唱なのだから、そのセンスはもうギリギリ。フェスティバルのような環境には向かないかもしれないが、自身の単独公演では独特の世界観が惜しみなく発揮されるだろうから次回は単独公演で彼のパフォーマンスを観たい。
◎Honne
満員のMojaveテントで「Treat You Right」でスタートし、冒頭からの盛り上がりは凄かった。最初はオーディエンスに圧倒されたいたのか物足りなさを感じたが、4曲目の「Good Togehter」から彼らのパフォーマンスも熱を帯びだし「I know You Stand By My Side」の大合唱や「Someone That Loves You」ではIzzy Bizuの代わりにバックヴォーカルが歌ったサビ部分の盛り上がりがハイライトだった。(Photo: Roger Ho / Courtesy of Coachella)
◎Jack Garratt
キーボード、ギター、ドラムパッド、ドラムを自由自在に巧みに操る本人の両脇に女性ヴォーカリスト2名の編成。演奏力と歌唱力は抜群で、頻繁に変わる複雑なリズムをこなし、Gobiテント満員のオーディエンスから曲が終わるたびに絶賛の拍手。演奏の最後でブッ倒れるほどエネルギーに溢れたパフォーマンスだった。(Photo: Brian Willette / Courtesy of Coachella)
◎Porter Robinson & Madeon
昨年のカルヴィン・ハリスのようにメインステージが巨大なクラブと化し、Porterの甘くて優しい歌声が引き立つ楽曲もあれば、ステージ上に炎が燃え上がる演出まで幅広い内容。この【コーチェラ】が二人で一緒にする最後のショーで、「こんなにたくさんの人を人生で見たことがない」とステージからその場にいたオーディエンスに心から感謝しているPorterの言葉が非常に印象的だった。
◎Hans Zimmer
砂漠にオーケストラを連れてくるという、個人的にはこの日のハイライトのパフォーマンス。【コーチェラ】にかけて、チェロのコンチェルトと偏差値高めの演奏でオーディエンスが静まりかえってからの『パイレーツ・オブ・カリビアン』の「He’s Pirate」の演奏でのオーディエンスの盛り上がりのギャップはこの【コーチェラ】で見た一番の振れ幅だった。『ライオン・キング』の「Circle of Life」ではLebo Mが登場し、その後『グラディエーター』という流れ。【コーチェラ】のオーディエンスにすれば彼らが子供の頃から親しみのある映画のサントラをHans Zimmerが手掛けていることを考えると彼のステージに集まったオーディエンスの多さに納得ができる。セット後半では「Freedom」でPharrell Williamsがゲストで飛び入り!(Photo: Charles Reagan Hackleman / Courtesy of Coachella)
◎Lorde
転換中にステージ中央に現れた巨大な箱の中にLordeがいるのか、それともバンドがその中で演奏するのかという想像は見事に裏切られ、「Green Light」の演奏とともにLordeはステージ下手から登場。カメラマンに向かってアップがスクリーンに映しだされるLordeは3年前の【コーチェラ】から比べるともっと自然なメイクでぐっと大人になったように感じた。そして彼女が歌い始めるとその場の空気がLorde色に一瞬にして変わるのは以前と変わらない。後ろ髪を引かれるなか、別のステージに筆者は移動。最後までパフォーマンを見たいと思ったのはLordeが一番強かった。(Photo: Roger Ho / Courtesy of Coachella)
◎Kehlani
ドラム、キーボード、DJという演奏者に加え、ダンサー2名との振り付けが特徴的だった。ダンスがこんなにメインなアーティストだという予習が抜けていたがゆえにKehlaniのパフォーマンスに最初から圧倒される。途中機材トラブルがあったが、キーボードとドラムのアドリブで対応するという肝の座ったところや、オーディエンスに対してとても誠意な姿勢を感じた。StormzyとG-Eazyがスペシャル・ゲストというサプライズもあり、その歌唱力、ダンス、ラップも含め全体のパフォーマンスのレベルが非常に高かった。(Photo: Greg Noire / Courtesy of Coachella)
◎Kendrick Lamar
この2日前に新作をリリースしたKendrick。注目度と期待度の高さからか、3組のヘッドライナーで一番オーディエンスが集まっていたのは彼だった。セットリストは新作『DAMN.』をメインに、初パフォーマンス曲も多く貴重なライブだったと言える。バンドはステージ上にはおらず、オンステージにはKendrickのみで、水平になった上下に移動する巨大スクリーンが一枚。曲によってはケンドリックの頭上50センチぐらいまで下がったり、スクリーンのアングルが変わってそれだけでステージの印象が随分と変わるものだった。冒頭やセット中盤にはKendrick出演のカンフー映画仕立ての映像が流れ、闘志溢れる彼のライブパフォーマンスの合間に茶目っ気のあるユーモアなセンスでリセットできるのは良い構成だったと思う。ゲストもさすがに豪華でTravis Scott、ScHoolboy Q、そしてFuture。Futureとの共演時にはスクリーンに「未来」や「HUMBLE.」演奏時には「要謙虚」の漢字が映し出されて、日本人にはどこか違和感を感じすにはいられないが、その違和感を吹っ飛ばすぐらい力強く実直でポジティブなパフォーマンスは圧巻だった。(Photo: Greg Noire / Courtesy of Coachella)
◎公演情報
【コーチェラ・バレー・ミュージック&アートフェスティバル】
米カリフォルニア州インディオ
エンパイア・ポロ・フィールド
ウィークエンド1:2017年4月14日~16日
ウィークエンド2:2017年4月21日~23日
INFO: http://www.coachella.com
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