2017/04/09 15:00
バイエルン国立歌劇場が、9月に6年ぶりの来日公演を行う。演目は長く愛されてきたエヴァーディング演出『魔笛』、そしてワーグナーの本場であるこの地からベルリン・フィル次期音楽総監督キリル・ペトレンコ指揮による『タンホイザー』の2つだ。
バイエルン国立歌劇場は、モーツァルト、ワーグナー、R.シュトラウスを上演の3本柱としており、モーツァルト作品の多くも次々と新制作が行われているが、アウグスト・エヴァーディングの演出による『魔笛』だけは例外だ。物語がもつメルヘン性とファンタジー性をしっかりと描きだし、天才ユルゲン・ローゼの美術と相まって、幻想的な美しさをたたえ、天上の夢を見させてくれる。バイエルン国立歌劇場「伝家の宝刀」が、初めて海をわたり日本で抜かれようとしているのだ。
ザラストロにはバイエルン国立歌劇場宮廷歌手の称号を与えられているマッティ・サルミネン。ハンブルク生まれのダニエル・ベーレは、世界の注目を集めるきっかけとなったタミーノで出演。“疲れを知らない黄金のソプラノ”とメディアで注目を集めるコロラトゥーラ、ブレンダ・ラエが夜の女王。ザルツブルク復活祭音楽祭、メトロポリタン歌劇場、ミラノ・スカラ座など一流の舞台からオファーの絶えないハンナ=エリザベス・ミュラーがパミーナをつとめる。
またワーグナーの本場であるバイエルン歌劇場の『タンホイザー』にも注目が集まっている。今回演出を手がけるロメオ・カステルッチは、バイエルン国立歌劇場のバッハラー総裁が“舞台美術と演出における魔術師”と呼ぶイタリア人。そしてベルリン・フィル次期音楽総監督として名をとどろかせ、ワーグナー作品において既に絶大な評価を得ている指揮者、ペトレンコはこれが初来日となる。
さらにタイトルロールには人気実力ともに世界の最高峰に立つワーグナー・テノール、クラウス・フロリアン・フォークトが登場。このプロダクションで初めてのタンホイザー役に挑む。エッシェンバッハ役には歌曲によるリサイタルで深い解釈を示すマティアス・ゲルネ、領主ヘルマン役にはドレスデン国立歌劇場の宮廷歌手の称号を得たゲオルク・ゼッペンフェルト、エリーザベト役には現在最も活躍しているソプラノの一人として、世界の重要な歌劇場に出演を重ねているアンネッテ・ダッシュと、聞き逃せない歌手陣ばかりとなっている。text by yokano
◎公演情報【バイエルン国立歌劇場 2017年来日公演】
ワーグナー作曲『タンホイザー』全3幕
9月21日~9月28日 全3公演
指揮:キリル・ペトレンコ
演出:ロメオ・カステルッチ
会場:NHKホール
モーツァルト作曲『魔笛』全2幕
9月23日~9月29日 全4公演
指揮:アッシャー・フィッシュ
演出:アウグスト・エヴァーディング
会場:東京文化会館
Photo by Wilfried Höesl
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