2017/03/23 08:00
作詞・松本隆と作曲・つんく♂が初のタッグを組んだ、クミコ with 風街レビューの第2弾シングル「砂時計」が、4月19日にリリースされることが分かった。
2016年、16年ぶりに歌手のクミコと作詞家の松本隆が本格的にタッグを組み、新進気鋭のシンガーソングライターが楽曲を提供するプロジェクト『クミコ with 風街レビュー』が始動。クミコのデビュー35周年企画となる第2弾シングル「砂時計」で、松本とつんく♂が初めてタッグを組む。カップリングには、シューベルトの名曲「セレナーデ」を収録。なお、サウンドプロデューサーとして、第1弾に続き冨田恵一が参加する。
レコーディングは2月中旬に都内のスタジオで行われた。この日初対面となった松本とつんく♂は互いに緊張の面持ちながら、レコーディングが始まると、つんく♂はパソコンやスマホを使い、また時には大きなジェスチャーで、積極的にコミュニケーションを取っていく。松本とともにクミコの歌唱の細部まで指示をする様子は、初めて組むとは思えない息の合い様で、驚くクミコもその情熱に応えるように、何度も歌を録り直し、楽曲を完成させた。
なお、4月3日には、松本が生まれ育ち、“風街”の原点となった街・青山にある教会にて、第2弾シングル『砂時計』の発売を記念した【クミコ with 風街レビューライブ ~松本 隆の世界を歌う~】の開催が決定。あわせてこのライブに、つんく♂と松本隆も登壇することがわかった。なお、同日4月3日より「砂時計」の先行配信のスタートも発表されている。
◎松本隆 コメント全文
≪初タッグについて≫
つんく♂さんと初めて作品作りをしたが、とても相性がいいと思う。メロディーはいい意味で歌謡曲の雰囲気もあり、冨田さんがクールなサウンドをつくってくれたから、温度と湿度の割合が丁度良い感じにできたと思う。また機会があれば、一緒に作品作りをしたいね。
≪クミコについて≫
この詞は数年前に書き未発表になっていた作品でしたが、クミコさんならきっと、この歌の世界を表現出来るだろうと思っていたが、結果的には、僕が今まで彼女に書いた詞の中で、一番等身大のクミコさんが出来たかなと思う。日本では、声を張り上げるみたいな解りやすい歌い方の巧さが評価されやすいが、今回は、久しぶりに “語り歌”な感じ。クミコさんの歌唱法にもピッタリだね。高度な歌唱をしてくれたと思う。新しい日本の音楽文化が、この作品から見えてくればいいと思う。
≪「砂時計」作詞に込めた想いについて≫
僕は、意識的に歌詞に時間軸を入れることが多く、(第1弾シングルの)「さみしいときは恋歌を歌って」では、“3年後”という時間のキーワードを入れていたけど、この作品では、砂時計が刻む“30秒”というはかない時間の中に人生の残り火を重ね、より大人の歌にした。不倫を思わせる歌ではあるけど、この歌の主人公は、「誰かを不幸にしてまで幸せになりたくない」と思って、一歩手前でやめるんだよね。現実世界の恋愛は、色々な制約を受けることが多いけど、勧善懲悪的に恋愛の形を叩くのは僕は好きではない。だって、好きになってしまったものは、しょうがないからね。歌の中だけは自由な愛の形があっていいと思う。永遠のテーマだからね。この歌から“透明な哀しみ”を感じてもらえたら嬉しい。
≪カップリングのシューベルトの名曲「セレナーデ」ついて≫
彼の作品はほとんどが失恋の歌なんだけど、このセレナーデは、珍しく求愛の歌。まさにラブソング。シューベルト歌曲の中でも代表的な歌で、メロディーも有名。今回はポップスに編曲してあるけれど、Jポップからクラシックまで幅広いジャンルの歌を歌えるクミコさんだから、砂時計だけでなくセレナーデも、叙情的で説得力のある歌になったと思う。
◎つんく♂ コメント全文
クミコさんサイドから作曲の依頼がありました。「歌詞に対して曲をつける」というもの。松本隆先生が歌詞を書き、つんく♂が作曲するという話で、僕はとても嬉しく光栄に思いました。
数日後、 松本先生からの「砂時計」という歌詞をいただきました。そしてこの「砂時計」という歌詞を何度も読み返しました。最初の「人魚たち 泣いているみたい」というフレーズのインパクトが強く、タイトルの砂時計からは想像出来ないんですが、この泣いている人魚を思い浮かべると海中から空を見上げた時に見える光のような。 何かそういうキラキラした光をこの歌詞から感じました。一見、恨みつらみを思わせる歌詞なのですが、僕はその中にあるキラキラ感を大事にし、曲自体もマイナーな感じではなく、メジャー(長調)に仕上げました。ただ、単に明るいだけでなく、切なさかセンチメンタルな部分のあるメロディ。 クミコさんのあの声で歌うことを想像しながらの作曲。 少し時間はかかったけど、とても集中した楽しい時間でした。
普段なら自分で曲書いて、その後歌詞を乗せるので、少しハマりが悪かったらメロディを変えちゃうという技が使えるのですが、今回は歌詞が先。 少し長くなったかなぁ?とか、ここの言葉の乗っけ方は、こんな感じで合ってるかなぁ…とか、考えながら仕上げたわけですが、完成後提出。正直、最低2~3回の修正は覚悟してたんですが、一発OK!返事が来るまで、松本先生がどう思うんだろう…って学生の頃のテストの答案がかえって来る時のようなドキドキ感がありましたね。でも、松本先生の歌詞はすごくリズムを感じるので、メロディをつけるのが楽しいです。
そしてレコーディング。 僕も立ち会わせていただきました。なんと松本先生もいらっしゃって…正直、クミコさんもかなりのドキドキのご様子。まあ、そうでしょう。とはいえ、そこはプロ。 実際ブースに入ると、ささっと場の空気を変え、歌に集中してました。
実はこの曲一番苦労したのは、キー設定だったのかもしれません。歌手にとってキー設定って本当に苦労するんです。レコーディングの日、調子いいからってちょっと高い目のキーで設定して、レコーディングして。 で、いざ歌い込みの時期になると「ああ、高すぎた。声が枯れやすい~」みたいなことも往々にしてあるのでね。なので、僕もあんまり無理を言いたくなかったんですが、この曲のイメージはちょっと明るくて悲しいんです。なので、クミコさんが想定してたキーより全音高いキー設定で歌ってもらいました。その分、キラキラした様子がしっかり出て、いい歌になったと思います。
あ、あと、僕と松本先生で同じ意見だったのは、歌手にとって一番美味しいというか、気持ちよくなれる部分で、声を張り上げないという点。気持ちよ~く声を出して歌いたくなるんですが、そこは「我慢」。AH~と言うフェイクするあたりも一切張り上げずに我慢していただきました。 だからこそ、そこに魂が宿るんですね。この曲、世のOLさんや若いママさんたちにたくさん聞いていただき、そしてカラオケなんかででも歌ってほしいなぁとそう思います。
◎クミコ コメント全文
松本 隆さんの詞による「風街レビュー」のセカンドシングル。今回はつんく♂さんとのタッグになりました。このお二人は、年齢はもちろん、経て来た道筋も全く違う。はたして、どんなことになるのだろうと思っていました。ところが、レコーディング現場でのお二人のサジェスチョンが驚くほど似ていたのです。ここで盛り上がりたい、と思う箇所で、いやいや抑えて抑えて。気持ち良くならない所に悲しみがあるんです。驚きました。お二人には、悲しみや美しさに対する共通の地下水脈があるようなのです。
そうしてできあがった「砂時計」。泡となって消えて行った人魚姫が最後に見たような、一瞬ともいえる人生の悲しみを唄えればいいなあと思っています。そしてもう一曲の 「セレナーデ」。子供の頃から耳馴染みのあるシューベルトの名曲ですが、恋の歌だとは知りませんでした。夜に囁く愛の言葉。男性からの求愛になっているので、低めの声で歌いました。ソプラノの歌唱との違いを楽しんでいただければと思います。
◎リリース情報『砂時計』
2017/04/19 RELEASE
COCA-17273 1,300円(tax in)
◎イベント情報【クミコ with 風街レビューライブ ~松本 隆の世界を歌う~】
東京・南青山 ル・アンジェ教会
4月3日(月) OPEN14:30 OPEN START15:00
チケット料金:5000円 (税込・全席自由)
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