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2017/03/21

マンドリンの名演奏が彩る映画音楽集 / 『マンドリン・プレイズ・シネマ・ミュージック』ナポリ・マンドリン・オーケストラ(Album Review)

 これまでにも、カンツォーネやオペラといった、いかにもイタリアらしいテーマでアルバムを発表してきたナポリ・マンドリン・オーケストラが、映画音楽集を作り上げた。わかりやすい題材で企画されただけあって、老若男女問わず楽しめるアルバムに仕上がっている。

 イタリアといえば、昔からフランスと並ぶ映画大国として知られている。そのため、誰もが認める名作は無数に存在するし、それにともなう素晴らしいサウンドトラックも山ほど生まれてきた。特に、エンニオ・モリコーネやニーノ・ロータといった巨匠による不朽のメロディは、日本でもファンが多い。

 そんなイタリアの名曲群から厳選されたテーマを、マンドリンを、メインにしたアンサンブルで綴っていく。「海の上のピアニスト」や「ニュー・シネマ・パラダイス」といった定番となった名曲を筆頭に、「ライフ・イズ・ビューティフル」や「フェリーニのアマルコルド」といった珠玉の傑作が、いずれも気をてらうことなく旋律や楽器の響きを重視しながらアレンジされていく。メランコリックなメロディを情感豊かに演奏していくが、どこかイタリアらしい陽気さをほのかに残しているのも味わい深い。

 さらに往年の映画マニアには、「鉄道員」や「ブーベの恋人」などのカルロ・ルスティケリ作品をつないだメドレーや、モリコーネによるマカロニ・ウェスタンの隠れた傑作をセレクトしているのも嬉しい。いずれにせよ、マンドリンという楽器が、映像的な音楽を演奏することに長けているという事実にあらためて実感させられるのだ。

 まるで、古くからの職人が極上の素材で作り上げた伝統工芸のような名演奏。マンドリンという楽器が好きな方はもちろんだが、映画ファンにもぜひ手に取ってもらいたい一枚だ。

 

Text: 栗本 斉

◎リリース情報
『マンドリン・プレイズ・シネマ・ミュージック』
ナポリ・マンドリン・オーケストラ
2017/03/22 RELEASE
2,700円(plus tax)

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