2017/02/23
ジェフ・ミルズが東京フィルハーモニー交響楽団とコラボレーションする来日公演【爆クラ!presents クラシック体感系Ⅱ -宇宙と時間編】が、2月22日に大阪・フェスティバルホールでスタートした。
同公演は2部に別れた構成で、第1部はアンドレア・バッティストーニが指揮する東京フィルハーモニー交響楽団の演奏。テクノとも通ずるミニマル・ミュージックの『Short Ride in a Fast Machine (ジョン・アダムス)』で幕を開ける。1曲目が終わると当公演のプロデューサー、湯山玲子が登場し、イベント趣旨や演奏曲目を解説。イタリアの若き鬼才、バッティストーニは大きな身体を揺らしながら攻撃的な指揮。特に長いリーチの腕から振り下ろされるタクトは凄まじいまでの破壊力。
第1部の白眉はリゲティの『ポエム・サンフォニック』。100台のメトロノームが演奏家の足元に置かれ、バッティストーニがタクトを振り下ろすと、ジリジリ、カチカチと音を出しながら一斉に動き出す怪作。この曲での楽器はメトロノーム。最後の1台の動きが止まるまで演奏が終わらない。昨年の公演では、演奏時間中、一切音を出さないジョン・ケージの『4分33秒』を披露。今や【爆クラ!】名物となった問題作コーナー。
そして第1部のラストでは、ステージ上手のブースにジェフ・ミルズが登場。オーケストラ・チャイムのベルの音で始まるテクノ・アンセム『The Bells』で遂に両者が共演。高揚感と緊張感がない交ぜとなって電子音と生音が見事に融合した力演だ。
第2部のセットリストは、ジェフが初めてオーケストラの為に書き下ろしたこの日リリースの新作「Planets」の全曲を披露。太陽系の8つの惑星、水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星をテーマにオーディエンスを60分の宇宙の旅に誘う。バッティストーニ率いる東京フィルハーモニー交響楽団とジェフ・ミルズが真正面からぶつかり合うエキサイティングなパフォーマンスがいよいよスタートした。
ジェフが繰り出す小刻みのビートをゆったり鷹揚に受け止めるオーケストラ。時には寄り添い、時には大きく乖離しながら両者が作り出すグルーヴが本公演の真骨頂。クラシック音楽は譜面に沿って演奏するのが常。しかしバッティストーニは事前に決めておいたいくつかのフレーズを随所に即興で盛り込み、ジェフのDJに応酬。なんともスリリングな瞬間でフェスティバルホールが巨大なフロアに転じる。中盤からはジェフの電子音か、オーケストラの生音かすら判別つかない程に両者が渾然一体となって溶け込む。60分の圧巻のパフォーマンスは、オーディエンスも茫然自失させる程、圧倒し続けた。くしくもこの日、NASAが7つの新たな地球サイズ惑星の発見を発表した。ジェフの次作はこの新惑星を取り上げるのか。
ジェフ・ミルズ×東京フィルハーモニー交響楽団のコラボ公演、次回は2月25日に東京・Bunkamura オーチャードホールで行われる。
◎公演情報
【爆クラ!presents
ジェフ・ミルズ×東京フィルハーモニー交響楽団×バッティストーニ クラシック体感系Ⅱ -宇宙と時間編】
2017年2月25日(土)OPEN17:30/START18:00
Bunkamura オーチャードホール
出演:DJ:ジェフ・ミルズ
指揮:アンドレア・バッティストーニ
オーケストラ:東京フィルハーモニー交響楽団
ナビゲーター:湯山玲子
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