2017/01/02 12:00
西海岸のサイケロックバンドThe Growlersがキュレーターの今年で5回目となるミュージックフェスティバル。会場はカリフォルニアのサンタ・アナにあるミュージックヴェニューThe Observatoryと、ヴェニューの隣接した駐車場がアウトドアステージとなっており。屋内外合計4つのステージ構成。
小規模ながらラインナップにThe Growlerが選出するバラエティに富んだラインナップと、ロサンゼルスからさほど遠くないこともあり、年々動員数が増えて規模も大きくなっている。会場内には、パーティーフォトグラファーのCobrasnakeことマーク・ハンターのがLAで経営している古着屋も出店していた。
今年はヘッドライナーにBon IverとJustice、キュレターのThe Growlersは両日出演、初日のホストにコメディアンのエリック・アンドレと合計58組が出演した。
また出演者以外のアーティスト(ビースティー・ボーイズのマイクD、プロスケートボーダーのトニー・ホーク、ハリウッド女優のクリステン・リッターなど)やハリウッドスターなどがフェスティバルに遊びに来ていた。
- DAY 1 -
Leftöver Crack
ニューヨークのパンクロックバンド。
早い時間帯の出演にもかかわらずベテランの彼らを観に多くのファンが集まったがノリがいまいち。Alexの早く激しいベースビートにStzaのシャウトする。同時にフロアではサークルモッシュが始まった。彼らのクラックロックステディは観客の眠気を覚ますのに十分だった。
HINDS
スペインの陽気な彼女たちはがカリフォルニアサンシャインの下でフェス出演者の中で一番キュートなステージ。
アナは始終ご機嫌でフックを迸らせながら、身を躍らせるようにプレイする。ステージ後アルバート・ハモンド・ジュニアの楽屋を訪れビールで乾杯していた。
Rupaul’s Drag Race
世界中のドラァグクィーンの中心的存在でトップに君臨するル・ポールが司会進行を務める
アメリカの大人気リアリティ番組『ル・ポールのドラァグレース』
この番組に出演するドラァグクィーン達がBeach Gothのステージに出演!
彼女達の人気は性別年齢の垣根を超え、ここミュージックフェスでも絶大な人気だ。
トップバッターのAdore Delanoは人気ナンバーワンの歌姫でその歌唱力はアメリカンアイドルでトップ16までいったほどの歌唱力の持ち主。スレンダーなボディにヘソ出しルックで自慢のロングヘアを振り乱し、自信の曲『I Adore You』を歌った。
Albert Hammond Jr.
The Strokesのギタリスト アルバートのソロプロジェクト。
ソロとしてLAでの人気はNYを凌ぐほどで、ステージには入りきらない多くの観客を集めた。
。ロックビートがかっこいい『Caught by My Shadow』ではアルバートジャンプが炸裂する。観客はのっけからクラウドサーフに大合唱。始終ご機嫌なアルバート。ツアーが一段落するアルバートは来年リリース予定のニューアルバムに向けてレコーディングに入るとのこと。
The Faint
オマハ出身のインディロックバンド。ダンスロック・ムーブメントの先駆け的存在でもあり、今年新曲を含むベストアルバムを発表した。
トッドの電子音的ボーカルにジェイコブのエネルギッシュなギター。1曲目の『Southern Belles in London Sing』からラストの『Glass Danse』まで瞬たりとも止まらない躍動感あふれるステージで唯一無二の存在感を見せつけ観客の心を鷲掴みにした。
彼らのステージを見たら踊らずには
TLC
スーパースターの登場を今か今かと待ち構える。予定時刻になっても現れないスターを待って不安になる観客。そこへとびきりキュートな笑顔でT-ボズ&チリが飛び跳ねるようにステージに登場した。
『Baby Baby Baby』『Red Light Special』『Digging’ on You』『Creep』などヒットチューン満載のセットにT-ボズ&チリの衰えないダンス。時代が90年代にトリップしたかと思うほど。T-ボズが「まだ終わらないよ!」と観客を煽り『Ain’t 2 Proud 2 Beg』でダンサー達とバトルを広げる。会場が瞬く間にパーティー会場へと変身した。
Patti Smith
パンクの桂冠詩人で、今や若い世代にも絶大的な人気を誇るPatti Smith
彼女のステージを一目見ようと朝から待っていたのは観客だけでなく、多くのアーティストもバックステージで彼女の登場を待っていた。
ステージセッティングが雨の影響で遅れている中ずぶ濡れで待っているファンを見かねてパティが早々にステージに登場し「早く雨が止むように!」と 叫ぶ。観客は拳を上げて雄叫びをあげ、ショウがようやくスタートした。この正気でない観客の轟にパティは合わせたのか、『Redondo Beach』は、いつもよりアップテンポの演奏に。
途中彼女は観客に「携帯で撮ってばかりではだめ」と促した。そしてThe Whoの『My Generation』をカバーした。彼女の群衆に訴える圧倒的な存在感に、69歳とは思えないほど始終躍動的でパンクなステージを繰り広げた。
若かりしパティを撮り続けてたフォトグラファーのロバート・メイプルソープが「パティ、僕らみたいに世界を見る奴なんていないんだ」と言っていた1974年から42年の月日が経った現在、彼女と同じ視点で世界を見てる人は、この場所に大勢いたのだ。
Melanie Martinez
アメリカのオーディション番組The Voiceに出演したことがきっかけでデビューしたシンガーソングライター。
ティーンエイジャーを中心に女の子に絶大な人気で、彼女のヘアスタイルやロリータファッションを真似た多くのファンもいるほど。容姿、衣装、ステージセットと全てがおとぎの国のようで可愛らしい。
ステージ上の巨大ケーキの中から登場したキュートなメラニー。ヒット曲『Cry Baby』では「雨よファッキン降らないで」と替え歌も披露し観客を沸かせた。
King Krule
少年のように童顔でスキニーなアーチー・マーシャルがステージに上がりギターを構えマイクから歌声を発すると、そこには熟練したブルースミュージシャンがいるかと錯覚してしまう。この日アーチーとバンドは新曲を演奏。アーチー節のラウドとスモーキーヴォイスとサックスがカリフォルニアサウンドのようなメロディーに不規則に疾走するアップテンポで爽快感溢れる感じの曲だった。「ニューアルバムはもうすぐだ」と彼は群衆に告げた。
James Blake
まるで憂鬱な夢のシーケンスのようなステージ。電子音とダークなコード進行にもかかわらず彼の音楽は群衆をうならし踊らせることができるのだ。真っ赤なステージライトがそれに拍車をかけるようセットと観客を照らす。その光景はスーパーノーヴァのようでBeyonceとのフィーチャリング『Forward』はこの日いちばんののハイライトで、夜露が降りる紺桔梗のような空の下、ジェイムズのウィルヘルムスクリームは観客を深海へと引き摺り込んでしまった。
The Growers
アメリカンインディロックバンド。今年発売したニューアルバム『City Club』はThe Strokesのジュリアン・カサブランカスプロデュースによるもの。
地元出身の彼らが群衆を満員にするのはたやすいこととは容易に想像ついたが、まさかこれほどまでに人気だとは意外だった。充満する熱気に圧倒されそうなほどで、観客は新旧ほとんどの曲を大合唱。新曲『I’ll Be Around』ではフックの聞いた70年代のサイケデリックな曲調にフロントマンのブルックス・ニールセンが、マイケル・ジャクソンのスリラーのミュージックビデオに出てくるゾンビのように上半身を硬直させたり、左右に行き来しては観客を手招きする。観客にも同じ動きで会場全体で即席スリラーの出来上がりだ。ブルックスは真のエンターテイナーで観客が何を求めているかを熟知しているようだ。誰もが笑顔で楽しんでいた。
Photo & Report:ERINA UEMURA
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