2017/02/06
全国15か所を回るモーモールルギャバン活動休止後初の全国ワンマンツアー【襲来 ~Let's go UTOPIA~】のファイナル公演が、2月4日 赤坂BLITZで開催された。
メンバーはアニメーター・すしおワールド全開のいでたちで登場。ゲイリー・ビッチェ(dr,vo)は1曲目の「イグノアの娘」から気合い入りまくりのドラミングを展開する。モーモールルギャバンのワンマンツアーは2014年以来、約3年ぶり。T-マルガリータ(b)とユコ=カティ(key,vo)も負けじと燃え上がるような緊張感のあるひりついた演奏で応戦し、アンサンブルはまさしくデッドヒートだ。会場がたちまち3人の作るアグレッシブでハッピーかつ、センチメンタルな空気に支配されていった。
ゲイリーがこの日、重大発表をする旨を告知していたことに触れ、5月に11曲入りフルアルバムをリリースすることを発表。初披露の「異邦人」と「夢ならば」、今回のツアーで全公演のセットリストに組み込まれていた「AKABANEの屍」の計3曲の新曲を披露した。特に「AKABANEの屍」は既に曲が育ってきている様子。あとの2曲も音色づかいや展開、フレージングなど、モーモールルギャバンの新たなロックでポップな表情を見せるものだった。
そのあとは新旧織り交ぜたベストアルバム的選曲の8曲を立て続けに演奏する。激突して爆発するような3人の音もじょじょに調和を見せ、特にミディアム・ナンバー「ナイトメアダンス」はバンドが一丸となって優雅で繊細で壮大な楽曲の世界をより大きく描く。ゲイリーが突き動かされるかのように立ち上がってドラムを叩くシーンも多く、魂を燃やす戦士のような姿に思わず見入った。「シャラララ・ラブレター」ではゲイリーがハンドマイクでステージ前まで出てきたついでに観客からタオルなどを奪い自分のパンティーへとしまい込むといういたずらっぷりを発揮し、「僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ」は真摯な気持ちが伝わるあたたかいサウンドスケープで包み込んだ。
ゲイリーのとりとめのないトークが炸裂した2回目のMCタイムを挟んだあとも、3人は集中力もスタミナも切らさずグルーヴを高め、「さらば人類」「ユキちゃん」など代表曲を畳みかける。「裸族」のスリリングなキーボード・ソロは圧巻、「サノバビッチェ」のテクニカルなドラムと、暴れ馬な楽曲の分厚い基盤を作る大蛇のようなベースにあらためて感服。ゲイリーによる“J-POPの限界”パフォーマンスと、フロアからパンティーコールが起こる「サイケな恋人」では、ゲイリーが「あなたたちがものすごく無邪気に楽しそうにパンティーと言ってくれるから生きていけます」と素直に感謝を伝えた。
アンコールで「パンティー泥棒の唄」と「バイララ」の2曲を演奏し盛大なフィナーレを迎えるも、観客は客電がついたのにもかかわらずWアンコールを求め続ける。3人は5分にわたり鳴り止まなかったパンティーコールに応えるかたちで、急遽予定になかった「細胞9」を披露し、全26曲のセットリストでワンマンツアーを締めくくった。
これまでのモーモールルギャバン(特にゲイリー)は自分たちの美学にストイックに、そして観客に喜んでもらいたいという意識が強かったように思う。だがこの日は観客とともに楽しんでステージを展開していく様子が印象的だった。「パンティーよりほんの少しだけ好きなものがある。それはてめえらの笑顔だよ!」と叫ぶゲイリーの清々しい笑顔が、ワンマンツアーの充実を物語っていた。
◎セットリスト
【モーモールルギャバン 全国ワンマンツアー『襲来 ~Let’s go UTOPIA~』】
2017年2月4日(土) 赤坂BLITZ
01. イグノアの娘
02. 美しい思い出だけじゃないけど
03. Hello!Mr Coke-High
04. POP!ウーロンハイ
05. ユキちゃんの遺伝子
06. 異邦人(新曲)
07. 夢ならば(新曲)
08. AKABANEの屍(新曲)
09. ハイヒールブルース
10. Dr.PANTY
11. シャンペイン
12. コンタクト
13. ナイトメアダンス
14. シャラララ・ラブレター
15. モスコミュールメルシー
16. 僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ
17. さらば人類
18. 裸族
19. サノバビッチェ
20. ユキちゃん
21. なにもかも忘れたよ
22. スシェンコトロブリスキー
23. サイケな恋人
En1.パンティー泥棒の唄
En2.バイララ
En3.細胞9
◎リリース情報
NEW ALBUM 2017年5月リリース決定!
全11曲入りフルアルバム
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