2017/01/27
1月21日からスタートした【ガンズ・アンド・ローゼズ ジャパン・ツアー2017】。1月25日、同ツアー3公演目となる横浜アリーナ公演がおこなわれた。
全5公演が予定されているジャパン・ツアーの折り返し地点となるこの日も、オープニング・アクトを務めたBABYMETALの熱狂は凄まじいものだった。オーディエンスの半数以上が彼女たち目当てなのでは?と疑ってしまうほどの一体感に包まれた会場は、ほどよい熱気を保ちながらリラックス・ムードで真打ちの登場を待っていた。およそ40分。それはガンズのファンにとって、決して長い時間ではなかっただろう。
目の前にスラッシュ(g)、ダフ・マッケイガン(b)、そしてアクセル・ローズ(vo)が揃う瞬間がついにやってきた。これまでの公演同様、オープニング・ナンバーは「イッツ・ソー・イージー」。スラッシュ&ダフの復帰アナウンスから早1年。すでに40以上の公演をおこなってきただけあり、ステージ上では阿吽の呼吸でパフォーマンスが進行していく。矢継ぎ早に飛び出す初期名曲の演奏自体はもちろんのこと、ステージ上の花道の使い方や各メンバーの動きなど、すべてにおいて微塵もバンドとしてのブランクを感じさせない。もちろん、彼らはこの十数年間つねに第一線で活躍し続け、それぞれガンズ初期名曲も披露していたのだから、当然と言えば当然なのだが。2016年、ガンズのみならずAC/DCのフロントマンという“二足のわらじ”状態で精力的にツアーをこなしてきたアクセル。大きなステージを縦横無尽に駆け回る彼のスタミナには心底驚かされたし、持ち味の高音シャウトも衰えるどころか凄味を増している。そして、スラッシュが繰り出す数々の名リフは、もはや時代を超越した無形の芸術品といっても過言ではないし、ダフはバンドに絶対的な安定感と華やかさを与えている。しかし、それら個々のパフォーマンス力やカリスマ性以上に、完璧なコンビネーションと計算し尽くされたショー構成に度肝を抜かれたというのが正直な感想である。また、今回のセットリストは改めて初期楽曲の完成度の高さを実感するだけでなく、彼らがこれまでに演じてきたカバーの選曲やアレンジの秀逸さを改めて際立たせるものだった。当時は“ロック界随一の問題児”などというレッテルによって見失われがちになっていた、彼らのロックンロールに対する敬意をストレートに感じ取らせてくれるのも、現在のガンズならではの魅力かもしれない。
この日のショーを観る限り、80年代当時のような危うさや脆さといったものは一切感じられなかった。彼らにこの言葉を使うのはいささか迷いもあるが、高低差のあるセットや映像を駆使したダイナミックなステージングはライブ・エンターテイメントそのものであり、まるで半世紀にわたってシーンを転がり続けてきたロック・レジェンドのような威厳と風格すら漂っていた。ステージバックに大きく投影されたおなじみのバンド・ロゴが映し出されては消える光景を横目に、改めてワールドツアーのタイトルである【NOT IN THIS LIFETIME】=“生きているうちは起こり得ない”という言葉に思いを馳せる。本人たちはもちろん、すべての人がそう考えていた瞬間が、目の前で起きたのだ。
1月21日のジャパン・ツアー開始以降、タイムラインに流れてくる興奮の声やレポートに後ろ髪をひかれているリスナーも多いだろう。現在、バンドも頻繁にSNSを更新しており、横浜アリーナ公演終了後には「横浜素晴らしい」「横浜はまさにパラダイスシティだー!」と日本語でツイート、約1分間のダイジェスト・ムービーも公開している。ガンズ・アンド・ローゼズは、1月28日、29日にさいたまスーパーアリーナ公演をおこない、日本を後にする。この奇跡がいつまで続くかは誰にも分からない。まだ間に合う。訪れたチャンスを逃す手はないだろう。
Photo: 堀田芳香
◎公演情報
2017年1月21日(土)京セラドーム大阪 ※終了
2017年1月22日(日)神戸ワールド記念ホール ※終了
2017年1月25日(水)横浜アリーナ ※終了
2017年1月28日(土)さいたまスーパーアリーナ
2017年1月29日(日)さいたまスーパーアリーナ
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