2016/12/28 18:00
2016年もまた、多くのレジェンドがこの世を去った。その一方で、若手顔負けのスケジュールで世界各地を飛び回ったり、コンスタントに新作を発表し続けている大御所もいる。ニール・ヤングもその一人だ。
現在71歳のニール・ヤングは、今年だけで2枚のニューアルバムを発表している。1枚は6月にリリースされた実験的ライブ盤『アース』。同作は、自身の最新ライブ音源に、昆虫、熊、鳥、カエル、馬、牛など、地球上のあらゆる生命体の「音」を挿入、神秘的なまでに融和させた芸術性の高い作品。一方、先日リリースされた最新作『ピース・トレイル』は、盟友ジム・ケルトナーとポール・ブシュネルとのトリオ編成によるスタジオ作品となっている。昨年発表の『ザ・モンサント・イヤーズ』では、遺伝子操作の表示義務に反対しているモンサント社への抗議がテーマとなっていたが、この『ピース・トレイル』では、以前から抗議活動をおこなっていた石油パイプライン建設問題を取りあげている。どちらの作品も、ニール・ヤングが熱心に取り組んできた現代社会における諸問題とその根源をあぶり出し、怒り、憂いた作品だ。ヤングはこれらの問題を自身の作品を通して訴えるだけでなく、実際に現場に出向いて継続的に抗議活動もおこなっている。
そして、もちろん今年もウィリー・ネルソンの息子たちによるバンド、プロミス・オブ・ザ・リアルとともに精力的にライブ活動を展開してきた。春先にアメリカ国内で数本のライブをおこない、5月には【ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテージ・フェスティバル】に出演。そして6~7月にかけて欧州で20公演以上におよぶツアーをおこない、続く9~10月には全米ツアーも敢行。さらに、その合間には【ファーム・エイド 2016】や【デザート・トリップ】などのフェスにも出演している。ロックの象徴6組が集結したことで話題となった【デザート・トリップ】では、ポール・マッカートニーのステージに飛び入り、ビートルズの「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」で共演を果たした。2人による同曲のセッションははじめてではないが、途中でジョン・レノンの「平和を我等に」へと楽曲が移り変わっていく展開は、往年のファンにとってあまりにも嬉しすぎるサプライズとなった。さらに、10月には自身が主催する救済コンサートでは、メタリカとの共演もおこなっている。
また、ニール・ヤングといえば、近年、Apple MusicやSpotifyなどのストリーミングサービスの音質に異議を唱え、自ら高音質音楽サービス「Pono Music」を立ち上げ、従来のサービスから自身の音源を引き上げるなど徹底した対決姿勢をみせていた。しかし今年、従来のストリーミングサービスにおいて、ニール・ヤング楽曲がふたたび提供されることになった。「Pono Music」は現在サービス停止中、展開に暗雲が立ちこめているとも噂されるだけに、ファンは喜んでいいのやら悲しんでいいのやら、微妙なところではあるが…当然、彼にも考えがあってのことだろう。実際に「Pono Music」において、高音質ストリーミングサービスの計画が進んでいるという情報も。次なる一手に期待したい。
さて、ここへきて2017年に予定されていたすべてのツアーをキャンセルするという、少し残念なニュースも飛び込んできた。日本のファンの間では、来日公演への淡い期待も高まっていたのだが…体調面も心配されたが、どうやら理由はほかに優先すべきことがある、ということらしい。ニール・ヤングは最新作でも“Can't stop workin’”と繰り返し歌っている。頑固オヤジは2017年も闘い続ける。ファンはそれを見守るだけだ。
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