10月8日、9日、10日の3日間、大阪・ミナミ一帯で開催された【Play Station Music presents FM802 MINAMI WHEEL 2016】。大阪の20会場以上で、これからの日本の音楽シーンを担う新人・中堅アーティストを中心に、ジャンルを問わず400組以上のアーティストが出演した。イベントの模様の一部をお届けする。
ミナホレポート第四弾はBillboard Live STAFF!
[DAY1 / 10.8]
■ミツメ@心斎橋JANUS
MINAMI WHEELE 2016 イーストエリア心斎橋JANUS のトップバッターを飾ったのはミツメ。東京都内を中心に活動する4人組バンドで、アンニュイなサウンドでインディーズシーンをリードしている。そんな活動を聞きつけた関西のファンが会場を埋め尽くしていた。彼らの楽曲で多いシンセサイザーの音色と各々のパートが見事にグルーヴしていく。ほぼMCがないまま彼らの世界観に飲み込まれるが、たまに見せる素の姿も癖になる。
■モノブライト@OSAKA MUSE
4年ぶりの出演でOSAKA MUSEに登場したのは、モノブライト。前回、前々回は重大発表など何かと騒がせていた彼ら。3人体制となってからは初めての出演となる。10月12日に発売されるセルフカバーアルバム『VerSus』を中心に組まれたセットリストは、来月から始まるツアーの初日といっていいほどの大満足のステージ。セルフカバーされた「踊る脳」はスカ調となっており、オリジナル同様かなりの盛り上がりを見せ、一皮むけた彼らの活動に期待したい。
■Anly@Pangea
MINAMI WHEELE は二度目の登場のAnly 。FM802『on-air with TACTY IN THE MORNING』で月一回生演奏を披露し、802リスナーには馴染みの深い彼女。沖縄出身那覇市内で弾き語りによるライブ活動をスタートさせ、昨年シンガーソングライターmiwaがアコギ1本で全国をまわるツアーで募集した沖縄公演でのフロントアクトに抜擢され、その類まれなライブパフォーマンスで注目を浴びている。一曲目から彼女のデビュー曲、「太陽に笑え」を披露。力強さの中にある彼女自身の丸み。ギター1本で奏でられていく時間にぐっと引き込まれる。二曲目にはロックの帝王、Led Zeppelinの「Stairway to Heaven」をカヴァー、彼女の奥に秘められるルーツ・ミュージックの広さを垣間見た。MCでは新曲「カラノココロ」がナルトの主題歌に決定したことを発表。残念ながら披露はできなかったものの、活躍がますます期待できる。オーディエンスとコミュニケーションをとりながら、19歳とは思えない堂々としたステージをみせた。
[DAY2 / 10.9]
■ADM at@心斎橋DROP
ひたすら踊って笑えるバンドADM at。実は固定メンバーがいないらしい。ミナホの特徴でもある色んなジャンルのライブが観れる、この醍醐味の一つに、普段はあまり観に行かないインストバンドを見た!という人も多いのではないのだろうか。近年盛り上がりを見せているインストシーン。その波はミナホにも押し寄せているのか心斎橋DROPは超満員。メンバーが登場し、入口につめてもらって入場"自主"規制かけたい、なんてMCもしていたが、正真正銘の入場規制のかかったADM atのライブは、爆笑トークで笑いに厳しい大阪のファンをしっかりつかんでから始まった。1曲目ピアノのイントロが入ると、空気感はガラッと変わり、会場はタテノリとハンズクラップで盛り上がる。一気に火のついた会場を休ませる事なく矢継ぎ早に2曲目へ。曲間にはギターでのニルバーナのフレーズを入れたり、どこか懐かしい和のフレーズが入ったり遊び心も満載だ。曲と同じくテンポのいい告知をいれつつのMCでまた爆笑をとると、躍動感と緊張感あふれるサウンドを奏で、まるでジェットコースターに乗っているかの様にオーディエンス翻弄する。ただ面白いだけでなくボサノヴァ、ジャズ、テクノ、スカなどの要素を取り込み、固定されていないというメンバーそれぞれの演奏力もたまらない。あっという間の35分。地下から上がってきた観客は一様にニコニコしてしまっているのを見てわかるように、こんなインストバンドは唯一無二といわれる所以だろう。来年にはNEWアルバムも出し、全国を周るだろう、彼らのライブはきっと日常のイヤな事もすっかり忘れさせてくれるはず。是非一度観てほしいバンドだ。
■Rei@ Fanj twice
切なげなブルージーなSEから彼女がギターを持ってステージに現れる。FANJ twiceのステージが広く見えるくらいのドラムと華奢な彼女とギターだけのシンプルなセット。会場は超満員だったようだ。のっけからその可愛らしい容貌からは想像できない、いきなりエッジの効かせたギタープレイを披露し1曲目、「JUMP」を披露。歌いだすとまるで海外のライブハウスのような雰囲気になるのは幼少期をニューヨークで過ごした彼女ならではだろうか。また想像以上に何をやってもギターが上手い、上手すぎる。加えて彼女の歌唱力と表現力、独特のリズム感と圧倒的なパワーが感じられるパフォーマンスをオーディエンスは食い入る様に魅入っていたが、時折、彼女のギタープレイが炸裂するとロックフェスのように歓声があがる。今年9月にリリースされたMini Album 『ORB』から「COCOA」を披露するあたりでは完全に会場は彼女のペースに取り込まれ、畳み掛けるように続けた「ROUTE246」で会場全体が縦揺れ&ハンズクラップに包まれた。最後は「大阪ーー!!」と叫びながら締めたあたりはライブが圧倒的だっただけに、若干23歳の女の子ぽいところが垣間見て、妙に微笑ましかった。以前どこかで彼女を観た時はアコースティックで彼女一人のショーだったが今回のドラムとの掛け合いも非常に面白かった。12月16日心斎橋 Pangeaでのワンマンはどのようなセットでの披露されるのか楽しみではある。
■Nulbarich@大阪 RUIDO
日も落ち、少し暗くなり、2日目もそろそろ終えようという雰囲気が流れ始めたミナミエリアから少し外れた心斎橋商店街にある大阪 RUIDO。そんな雰囲気とは裏腹に続々と入場の列に加わるホイラー達。彼らの目当ては謎多きバンドとして話題沸騰中のNulbarich。バンド名と音源以外全く公開されていなく、どんなライブするかも全く知られていないが、ラジオから流れる彼らの曲に魅了されたファンも多かったのではないだろうか。このレポートも彼らのそんな仕掛けに乗っかって書こうと思う。そんな彼らが初めて大阪のステージにあがる、期待を膨らませたファンに、まずは挨拶代わりに1曲「Hometown」「TOKYO」と立て続けに披露する。面白い日本語詩と英語詞が織り交ざった独特のリリックと繊細な歌声がクオリティーの高いバンドサウンドと合間ってグルーヴィな空間を作る。JQが「すごい、こんなに多くの人が集まってくれるとは思わなかった。正体見たからっていなくなんないでね」なんて笑いもまぜつつ、少し辛口のMCもあの渋い声で言われると心地よい。「どんなのを想像していた?もっとシュッとしてると思った?すげーもんね。バス重い、重い!」とバンドメンバーをいじりながらも「でも僕がずっとこいつらといつかやりてぇと思ってたメンバーです。」とメンバーへの思いを語り、「この曲で知った人もいるんじゃないかな」と「NEW ERA」を演奏する。JQの声と心地よくもかっこいいメロディが満員の大阪 RUIDOを包むと、まるで深夜になったかのような空気感、少し強目のお酒なんか注文したくなる。「必ずまた大阪へ帰ってきます」 ラストは「LIFE」甘くメロウなバラードでステージを締めた。もっと観たいなと思える6曲披露したステージ、彼らは10月5日に1stフル・アルバム『Guess Who?』リリースし、12月26日(月)にはビルボードライブ大阪でのLUCKY TAPESとの2マンが決定している。
[DAY3 / 10.10]
■中島孝@南堀江knave
最終日、ウェストエリア南堀江knaveのトップバッターとして登場したのは中島孝。昨年デビュー・シングル『drop with ikkubaru』をリリース。九州、東京のTOWER RECORDS限定で販売され、売り切れ店舗が続出し話題を集めている彼。初出演となる今回は、Hi-Fi City を引き連れてのバンドセット。前半は2nd EPから「INAZUMA」など披露。ロックの中にも浮遊感があり、シンセサイザーの音色でポップな要素も引き出される。新曲「URI」もエレクトロなロックとハード・エッジが混ざり合う注目の一曲である。彼の独特な音楽センスは関西の音楽シーンでは見逃せない。
■シャムキャッツ@心斎橋JANUS
「(セットリストに)ヒット曲が入ってないから、今やりますね」とリハーサルから「GIRL AT THE BUS STOP」をしっかりと演奏したシャムキャッツ。自主レーベル設立や、木村カエラ最新アルバムで参加するなど何かと話題の彼ら。ポップの中にも夏目知幸(Vo&Gt)のちょっとしたシャウトがアクセント。そんなサウンドでのラブソング「マイガール」はやはりキュンとさせられてしまう。11月よりツアーが開始され、ますます期待が高まる。
■iri@Fanj twice
16時台、Fanj twiceにはiriが登場。神奈川県は逗子在住のシンガーソングライターで、2014年に雑誌NYLONとSony Musicが主催するオーディションでグランプリを獲得し、今年のSUMMER SONICではオープニングアクトを務めるなど、注目を浴びている彼女。「久しぶりに大阪に来れて嬉しいです」と10月26日に発売されるデビューアルバム『Goove it』を中心に披露してくれた。彼女のハスキーな歌声と、ヒップホップな要素とサーフミュージックが融合した新しいサウンドがたまらなくカッコいい。ヒットへと導くリード曲「rhythm」のド直球な歌詞は、心に響く。
■Easycome@南堀江knave
南堀江knaveにはEasycomeが初登場。大阪を中心に活動し、1年目の新人バンドながら、今年7月に「夏福2016」、9月には「りんご音楽祭」に出演するなど実力を発揮している。「こんなに人がいるとは!」と会場を埋め尽くしているオーディエンスをみて、喜びを隠せないちーかま(Vo&Gt)の笑顔がなんとも愛らしい。キャッチーな中に、どこか懐かしさもあるメロディーは歌謡曲ぽい。9月に発売した「風の便りをおしえて」ではしっかりとしたグルーヴ感を見せ、こころ暖まるステージとなった。
◎イベント概要
【Play Station Music presents FM802 MINAMI WHEEL 2016】
開催日:2016年10月8日(土)・10月9日(日)・10月10日(月・祝)
会場: knave / club vijon / hills パン工場 / AtlantiQs / KINGCOBRA / DROP / americamura FANJ twice / BIG CAT / SUN HALL / BRONZE / CLAPPER / Pangea / VARON / OSAKA RUIDO / OSAKA MUSE /CONPASS /FootRock&BEERS / FANJ / JANUS / soma
主催:FM802 / MINAMI WHEEL2016 事務局
(事務局構成団体 = FM802 / 大阪ウドー音楽事務所 / キョードー大阪 / GREENS CORPORATION / サウンドクリエーター / 清水音泉 / スマッシュウエスト / ソーゴー大阪 / ページ・ワン / 夢番地)
イベントHP:
http://minamiwheel.jp/Twitter:@minamiwheel(#ミナホ #MW16)
Facebook:
https://www.facebook.com/minami.wheel/お問い合わせ(一般):FM802 リスナーセンター info@funky802.com