2016/11/07
5月5日 東京 EX THEATER ROPPONGIにて開催された【SuG LIVE「VIRGIN」】で「やります、日本武道館!」と宣言、来年10周年に同所でワンマンライブを開催するべく奮闘しているSuGが、11月2日に2ndミニアルバム『SHUDDUP』をリリースした。
このタイミングでフロントマンである武瑠(vo)が、前述の宣言の真相や現状、そして新作で提示したかったものについて言及。限界と希望の両方を抱えながら絶え間なく語ってくれたインタビューの模様を連載形式でお届けする。いまだかつて誰も突き進んだ事のない荊の道、その途上でボロボロになりながらも戦い続ける姿勢。まさしく今作『SHUDDUP』のアートワークでも示された、折られても折れない生き様を感じ取ってほしい。
<共に戦ってきたマネージャーとの別離「その場でSuGを辞めようと思った」>
--ツイッター見てるだけでも相変わらずのワーカホリックぶりですが、今、本人的にはSuGに対してどんなモードなの?
武瑠:ひたすら支えてる感じですね。5,6年にわたってSuGを支えてくれたマネージャーが辞めてしまったので、今はセルフマネージメント的な動きもするようになっていて。
--SuG活動休止~復活というSuGのターニングポイントも共に戦ってきたマネージャーが自分たちのもとを離れる。普通のバンドとマネージャーの関係値ではなかったと思うのですが、彼が離れてしまうのはどんな感覚だったんですか?
武瑠:すごく大きな出来事でした。その場でSuGを辞めようと思ったぐらい。インディーズ時代に1回ドラムがチェンジしてるんですけど、「次にメンバーが辞めたら解散だな」と思っていて、そのマネージャーはメンバーに近い存在だったから、終わりにするかどうか悩みました。俺らと等しく仕事を超えたレベルでSuGに関わってくれて、おそらく精神的にも肉体的にも身を削りながらやってくれていて、そんな彼が辞めてしまったのは俺らに責任があって……スタッフにはクリエーションの感動とかより数字の面で返せないと続けられないと思うので、そういう意味では幸せに出来なかったから離れちゃったのかな? とか、いろいろ感じるところはありましたね。悔しいなともたくさん思ったし。ただ、それでも「止まらない」という選択肢を選んで。ということは、自分がやることが相当増えるだろうなとその時点で思ったんですけど、でもやるしかない。で、結果その通りになりました。リリースが減った理由もそれだと思う。今のSuGの構造上、その中でシングルを次々出すのは難しいと思ったし、そこは無理してやるべきじゃないなって。薄まるんで。
--それでも今は相当無理してるんじゃないですか?
武瑠:いやぁー、事務的なことが苦手というか……苦手なことも出てきたんで。多分、俺、プロデュースは得意だけど、人への連絡とか苦手なんで(笑)。そういうのが苦手でやりたくないからこの仕事選んだのに、結果的にやりたいことをやる為に苦手なこともやらきゃいけないんだなっていう……そこの決心がすぐにはつかなかった。「出来るかな?」みたいな。それこそデビュー1年目とか2年目の覚悟だったら辞めてたと思います。「これ以上、裏方仕事が増えるんだったら」って。裏方ってみんな分かんないかもしれないけど、俺が今までやってきた裏方ってクリエーションメインで、復活後からだんだんマネージメント的な細かい仕事も増えてきて、いわゆるクリエーションじゃない企画とかもやらきゃいけなくなってきて、そこが増えてきたから……今9年。来年で10年目を迎える時間の中で蓄積された覚悟、地層になってる覚悟があるから、そんな状況になっても「やろう」と思ったんだと思う。
--なるほど。
武瑠:で、そのフラグは今年のツアー(http://bit.ly/2fcnTBD)で立ってたんですよ。もうマネージャーが辞めることも知ってたし、いろんな意味で「やります、日本武道館!」って言わないと終わってたんです。だからあれは言いたいから言ったというよりは、言わなきゃいけなかった。包み隠さず言えば……もう言っていい時期だと思うんですけど、武道館が挑戦であることには変わりないんですけど、武道館がその先の“希望”になるのか、ただの“延命”で終わるのか、もうどっちかなんですよ。おそらくその危機感はファンに伝わってない。俺らって変に大丈夫そうに見えるみたいで。でも普通に“希望”か“延命”のどっちかしかない。そういう覚悟であの日「やります、日本武道館」って言ったんです。で、多分あれがなかったらそのままやんわりと終わっていた可能性もあった。
<ヴィジュアル系は、外に対して入口を持てるバンドの方が生きづらい>
--とは言え、よくあの場で判断して宣言できましたね。当日決めたって言ってたじゃないですか。
武瑠:前の日、寝れなかったんですよ。寝ようとしても何度も起きちゃって「もう言わなくちゃムリだな」って。自分の気持ちも続かないし、もう限界だなと思ったんです。それで「言うしかないな」と思って、当日にスタッフとメンバーに話して。それまで「武道館やろうか、どうしようか」ってずっとふんわりしてて、みんなやっぱり勇気を持って「やる」っていう選択肢を選べずにいたんですけど、今までなんとなく目を逸らしてきたんですけど、あの日、みんな「言うしかない」ってなった。元々は復活の日に言いたかったんですよ。代々木競技場第二体育館での復活ライブ(http://bit.ly/1f2nTBh)で「1年後に武道館やります」って言いたかったんです。これまでちょこちょこ言ってたと思うんですけど、「復活したけど、まだ復活できる条件をクリアーできてない」って。それは武道館だったんですよ。復活するからには武道館はやらなきゃいけないと思っていて。実際には復活してから3年で武道館ということになるから、その意味は薄れてるかもしれないけど、3年やって本当に“復活できるかどうか”のジャッジがやってくる……ということなのかもしれない。だから“希望”になるのか“延命”になるのか。
--“延命”というのは、武道館で終わる。その可能性もあるということですよね。
武瑠:そうですね。それはもう言ったときから覚悟していた。でもそうするかそうならないかは自分たちがどう在れるかだと思う。二択とは言え、もちろん“希望”を獲りたいから挑戦する訳で、いわゆるダサい“延命”だったらちっちゃいハコでやりまくった方がいい。でもそういうことじゃなくて……やっぱりすべては挑戦である、ということだと思う。“希望”にできるかどうかの挑戦をするっていう。
--あの日、武瑠くんは「去年、今年とツアー中に仲が良かったバンドがどんどんどんどん解散してって、俺たちが音楽を続けるってこんなに難しいことなんだなって」「こんな逆境だからこそ、逆境だからこそ! 来年10周年に……挑戦します」そう言って例の宣言をした訳ですけど、解散していったバンドの想いも背負うことで、何とか前に向かおうとしたところもあったんじゃないですか?
武瑠:たしかにそれもありますし、実際に決心する要因でもあったんですよ。ヴィジュアル系のシーンで一緒に戦ってきた人たちの想いを……全員に対しては思ってないですけどね。普通に「ダッサ!」って思っていた人たちもいるんで。でもその中でも格好良い人たちはいたんで。シーンとして周りから良く見えないことも分かるんですけど、正当な評価を受けてないバンドもたくさん見てきたんで、そういう意味でも悔しい気持ちはあったし、今のSuGはそういう人たちと戦ってきて出来たバンドだから、そういう認め合える人たちがいなくなっていくのはデカかったですね。
--なんでそうなってしまったと分析してますか?
武瑠:ヴィジュアル系は、外に対して入口を持てるバンドの方が生きづらかったのかな。やっぱりコアな雰囲気に特化しているバンドの方が受け入れられやすい。大きな視野を持っている人の方が活動しづらい。アイドルブームじゃないときのアイドルに近いかもしれないですね。外に間口を広げると、その分コア層がただ減るだけ。で、外からも結局「アイドルってなんかイヤだな」って思われて終わり。まさにそれが今のヴィジュアル系。
--SuGなんて誰よりも外に間口を広げまくってきたじゃないですか(笑)。ヴィジュアル系じゃないバンドともアイドルともジャンルレスで対バンしてきましたよね。
武瑠:だから俺らって実は一番孤独な戦い方をしてるなって思うんですよ(笑)。キャッチーだ、ポップだって言われるけど、本当に一番難しいやり方をしてきてるなって思いますね。よくその挑戦……振り返ってみると、自分たちだけでは無理だったと本当に思います。その無謀な挑戦に対しての後押しをしてくれる媒体の人が多かっただけなんです。こんなに小さな規模で、こんなにいろんなところに出ていけたのって俺らだけだと思うんで。
--それだけ面白がってくれる人が多かったんでしょうね。とは言え、外への入口を開けば開くだけ、それに比例して出口もどんどん開いていく訳ですよね。
武瑠:そうなんですよ。風通しが良くて(笑)。
--SuGなんてとんでもない数開いてるからほとんどオープンテラスというか、自由に出入りし放題になってる訳じゃないですか。
武瑠:どんどん入ってきてどんどん出ていく。本当にそれを体感しましたね。それは良くも悪くもライバルがいないってことで、それは相当難しいと思います。ジャンルとかカルチャーという意味では。ライバルがいないってここまで大変なのかって、それはこの3年で痛感しましたね。復活してからより刺激し合える相手がいなくなった。マジで孤軍奮闘。ただ、それも分かった上で復活したんで、意地もあるし。あと、こういう作りとかこういう立ち位置に対して今は風が吹いてないなとも思うので、だから本当は自分たちが出来ることをじっくりやらなきゃいけないタイミングなのかもしれない。で、10周年で武道館に挑戦して、もしそれを“希望”に変えられるんだったら、その後はとにかく“SuGとは何か”SuGにしか出来ない事を突き詰めて伸ばしていく戦い方になるんだろうなって思ってます。それはある種もう挑戦ではなくて、より磨くというか、絶対的にSuGにしか出来ない事を磨いていくフェーズに変わるんだろうなって。
<骨折させられてるんだけど、「いや、折れてないし」みたいな>
--そこへ行きたいですよね。その為のこれまでの活動だろうし。
武瑠:そうですね。それの為の挑戦だし、それの為に“希望”を掴みに行こうと思っているので。だから武道館は博打。ここからは、その権利を勝ち取りにいく期間になるんだろうなと思ってます。今回「KILL KILL」(AL『SHUDDUP』収録曲)のPV(https://youtu.be/dXCcJ0mbM4M)でやったことは「絶対的にSuGにしか出来ないよな、これは」っていう実感があって。だからこれの刺さり具合は気になる。これはもう後から「ここが良くて、ここがこうで」って説明する気になれない。手離しで「もうコレでしかないでしょ?」「コレ刺さんなかったらもうダメでしょ?」ぐらいの納得感とか充実感を持った上で発信していて。でももしかしたらこういう作り方に今スポットライトは当たってなくて、「もっとシンプルに音楽性を」「音楽は音楽であるべき」っていう時代なのかなともちょっと思ってて。バンドというものにスポットは当たってるけど、クリエーションというよりは「音楽で」「ライブで」っていうのが主流になってきてるじゃないですか。俺たちはそれに反したやり方をしていて、もっと作り込んでいったり、クリエーションに拘ったり、アイコン的なことをしようとしているので、そこは今の世の中と噛み合ってないなとは思います。ただ、それは最大の個性だと思っているので、そこを伸ばし続けていく、磨き続けていくしかないなって。
--今回のアルバム『SHUDDUP』も完全にそうですもんね。
武瑠:うん。作り方がインディーっぽいなって思ってます。でも物凄く分かりやすい。折れてる中指を立ててるアイコンも含め。自分の中で「折られても、折れるな」っていうフレーズがキャッチコピーとして出てきて、今は逆境で、スポット当たってない状況で、もうボコボコにされてて肋骨とかも折れてるんだけど、それでも折れない。「マインドで折れてなければ折れてない」みたいな。骨折させられてるんだけど、「いや、折れてないし」みたいな。
--ジャイアンにボコボコにされても、のび太は最後まで「負けた」と言わなかったから勝った的な話ですね。
武瑠:みたいなマインドです(笑)。完全に。
取材&テキスト:平賀哲雄
第2回へつづく
◎ミニアルバム『SHUDDUP』
2016/11/02 RELEASE
[LIMITED EDITION(CD+DVD)]PCCA-04440 3,000円
[STANDARD EDITION(CD only)]PCCA-04441 2,000円
収録曲:
01.ANARCHY IN THE REAL
02.KILL KILL
03.FLY WYVERNS
04.WORLD FAMOUS
05.BLOODY MARY
06.ZIG ZAG
07.SCREAM IT LOUDER
※LIMITED EDITION特典DVD収録内容:
・「KILL KILL」Music Video
・「KILL KILL」Music Video -Band Ver.-
・「KILL KILL」Music Video -Shooting OFFSHOT-
・「絶対にビビってはいけない心霊ビルディング」
※STANDARD EDITION初回封入特典:
SuG VersuS 2016 EXTRAバックステージ招待応募券
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