2016/10/23 20:36
今年エイベックスからメジャーデビューを飾り、楽器を持たないパンクバンドとして日本中で人気沸騰中のBiSH。様々なジャンルの若者から愛され、ひとつのポップアイコン/ロックアイコンになりつつある彼女たちが、10月15日 CLUB CITTA'川崎にて開催された【SET YOU FREE SUMMER FESTA 2016】へ出演した。
<【SET YOU FREE】異例の楽器を弾かないガールズグループとして初参戦>
BiSHは、10月8日 日比谷野外大音楽堂にてワンマンライブ(http://bit.ly/2ejogMa)を開催し、伝説化されるであろう凄まじい気迫のアクトを繰り広げ、そこより公開されたライブ映像(https://youtu.be/O13MtmA-16g)も「泣ける」と話題になっている。そんな大きな軌跡を残したちょうど1週間後、BiSHの6人はパンク/ロックシーンに同じくいくつもの伝説を刻んでいるイベント【SET YOU FREE】へ初参戦。同イベントを有名にした立役者と言える銀杏BOYZが10年ぶりに登場、同じく立役者であるガガガSPやSTANCE PUNKS、セックスマシーン、メガマサヒデ、そんな彼らの背中を見て育った四星球やTHE BOYS&GIRLSといった次世代の顔も多数出演する中で、異例の楽器を弾かないガールズグループとして登場することになった。
<「私たちがBiSHだぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」パンクの聖地に鳴り響くシャウト>
18時頃、セックスマシーンとガガガSPに挟まれての出番となったBiSH。彼女たちのファン(総称:清掃員)は出番と同時に最前へ詰め掛けるものの、そもそもの【SET YOU FREE】オーディエンス、前述した強烈なバンドたちのファンの多くは様子見。当然だ。彼らからすれば、ここは可愛らしい女の子たちとオタクの溜まり場ではない。面白くない感情を抱いていた者だっていただろうし、事実、彼女たちがステージに現れても座り込んだままの観客だっていた。しかし、BiSHもこれで怯んだりするタマじゃない。デビュー当時だったら6人が6人とも「あ、これ、ヤバいな」と露骨に表情に出していたかもしれないが、休むことなく次々と開催される全国ツアーで鍛えに鍛えられ、そして野音で我々を圧倒し、感涙させてみせた6人はこの程度のアウェイ感で怖気づいたりはしない。「私たちがBiSHだぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
初っ端から百戦錬磨の代表曲「BiSH -星が瞬く夜に-」投下。アイナが何やらどデカい声で叫んでいるが、気持ちが溢れすぎてしまって何を言ってるのか一切聞き取れない。楽器は持たないが、パンクバンドらしく迫力あるヘドバンにシンガロング、そしてとりあえず爆音。さらには、普段は可愛らしい声のチッチがドスの利いた声で「おまえら、ナメんじゃねぇぞぉぉぉぉ!」とシャウト。その直後、浅野いにおや忘れらんねえよ柴田隆浩など錚々たる面々も絶賛している、野音で多くの涙を誘った「オーケストラ」熱唱! あまりにドラマティックでノスタルジーなメロディー、自ずとエモーションと熱量を増していく歌声でもって会場を飲み込んでいく。その後も「DEADMAN」でひたすた喚き散らしたり、「スパーク」では清掃員にはないちもんめを興じさせたり、フックだらけでのライブパフォーマンスを展開。
最終的には、客席の後方や両端で様子見していた者たちも、もちろん全員とは言わないまでも徐々にその世界へ引き込まれていく。そして最後の「ALL YOU NEED IS LOVE」では、6人が全力で創造した青春爆発感に我慢できなくなり清掃員の群れに突っ込んでいく者も見受けられた。どのバンドのファンも誰彼関係なく、共に肩を組んだり、歌い叫んだり、飛び跳ねたりする光景はいつ見ても気持ち良いものだ。「以上、私たち、BiSHでした! ありがとうございましたー!」
<四星球やTHE BOYS&GIRLSのステージにも登場! 銀杏BOYZと記念撮影も>
なお、この日は、ガガガSPのコザック前田が酩酊しながら「これからも同じような曲ばかり歌ってくからな!」と客席のど真ん中で歌い、銀杏BOYZの峯田和伸が「○ャブやっても何やってもいいから生き延びろ!」と無音の中でダイブし、次世代の四星球やTHE BOYS&GIRLSが一矢報いる為に出せるもんを全部出し、新しい【SET YOU FREE】を創り上げた日とも言える内容だったのだが、明らかにマイノリティで余所者だと思われたBiSHが、気付けばとんでもない曲者たちの潤滑油になっていたのも面白かった。
四星球のステージに乱入し、北島康雄(vo)いわく「150個買った」ビーチボールを客席に次々と投げ込み、チッチはイルカの浮き輪に乗って大暴れ(推しメンであるモモコグミカンパニーに「良いとおもいます!」と言われ、モリスマン(dr)が青春丸出しで走り出す場面も)。また、初めてトリを務めたTHE BOYS&GIRLSのワタナベシンゴ(vo)がもはや泣いてんのか笑ってんのか分かんない顔で「俺がSET YOU FREEのど真ん中だ!」と叫び、最後に全出演者をステージに呼び込んでいく場面でも「BiSH、力を貸してくれ!」と頼られ、バックステージではちゃっかり銀杏BOYZの峯田和伸と記念撮影(http://bit.ly/2f4WxA2)までしてしまうという、見事なエンジョイぶり。
<パンクシーンの怪物たちとも渡り合い、お茶の間にも存在感示すBiSH>
もちろん6人が紅一点のガールズグループだったこともあったと思うが、楽器を持たないパンクバンドとして「やるじゃねぇか」「面白いじゃん」と認められた結果とも言えるだろう。こうして日本パンクシーンの怪物たちとも渡り合える存在になったBiSH。その一方、最近は地上波のテレビ番組で目にする日も増え、お茶の間にもその存在感を示している流れもあり、いよいよ「新時代のポップアイコン/ロックアイコン」という半ば強引に付けてみたキャッチもあながち間違いじゃなくなりそうな匂いがしてきた。
まだまだ新たな世界へと踏み込んでいくであろうBiSHの動向、これからも決してお見逃しなく。
取材&テキスト:平賀哲雄
撮影:Jumpei Yamada
関連記事
最新News
関連商品
アクセスランキング
インタビュー・タイムマシン
注目の画像