2016/05/18
5月15日、大阪・大阪城音楽堂にて FM802が主催するオムニバスロックイベント「Eggs presents FM802 Rockin'Radio!-OSAKAJOH YAON-」が開催された。出演はクリープハイプ、Keishi Tanaka、Suchmos、サンボマスター、SUPER BEAVER、cero、ドラマチックアラスカ、夜の本気ダンス、WANIMA、Brain the Sun(オープニングアクト)、Shout it Out(オープニングアクト)の計11組。4回目の開催となる今年もチケットはソールドアウトし、会場には約2400人のオーディエンスが集結。真夏日のような晴天の中、朝早くからゴキゲンな音楽を全身に浴び、思う存分に楽しんでいた。
開場とともにステージに登場したのは、大阪出身・平均年齢19歳の4人組バンドShout it Outだ。今年導入されたオープニングアクト枠として出場した彼らは、FM802の番組内での投票で出場が決定。続々と入場するオーディエンスらを前に「ただの前座で終わるわけにはいかない!!」と、気合いたっぷりのステージングで魅せてくれた。「光の唄」で始まったライブ、爽やかな楽曲の中にも力強いリ ズムで会場の熱を上げていく。7月6日にメジャーデビューが決定している彼ら。デビュー曲「青春のすべて」では、ストレートにぶつかっていく無骨なロックサウンド、真っすぐな思いが詰まったリリックで、観る者の心を繋いでいく。ラスト「17歳」、このステージに 立てた意義、そして軌跡を残すようにフルパワーで鳴らされる音楽。彼らの姿に心掴まれたオーディエンスらも拳を掲げて応戦し、4曲と短いながらもしっかりと爪跡を残すステージを披露してくれた。
続いて、2組目のオープニングアクト枠として登場したのが、Brain the Sunだ。「みんなのスタイルで聴いてください」と、1曲目「アレカラ」へ。憂いを残すような浮遊感のあるギターのメロがなんとも印象的だ。3曲目「神曲」では、臨場感あるサビへの盛り上がりに、最初こそは座ってのんびりと聴いていたオーディエンスも立ち上がって彼らの音に呼応するように体を揺らしていく。6月1日には今月のFM802 邦楽ヘビーローテーションナンバーでもある「HEROES」でメジャーデビューが決定している彼ら。「転んでも転んでも立ち上がる 愚直さを忘れなかった、そういう歌です。1人1人が自分自身のヒーローでありますように」と、デビュー曲に懸ける思いを語る。スト レートなロックサウンドに、夢へ馳せる思いを素直に言葉にした歌は誰しもの心に突き刺さるものがあるのだろう。メンバーが去った後も、大きな拍手が鳴り響いていた。
本編開始前には、FM802のDJ 土井コマキ、飯室大悟、鬼頭由芽の3人が登場。この日の公演は後日各番組内にてオンエアされるため、 歓声さえも録音されていることを観客に告げると、タイトルコールとともに大きな歓声が沸き上がる。そして、待ちに待った本編1組目は、WANIMA! 「日本で一番 FM802が好き!」とお馴染みの口上と共に、1 曲目 「ここから」からものすごいスピードで攻め込んでくる。満面の笑みを浮かべながらKENTA(Vo&B)が「目ぇ、覚めた~?」とオーディエンスに煽りを入れると、イントロからすでに強奏感たっぷりの「雨あがり」へ。その後も、いつもの自由すぎるMCやモノマネを挟みつつ、ステージ全てひっくるめてWANIMAワールドを楽しませてくれる。「Hey Lady」「つづくもの」と、ど真ん中に突き刺さるメロコアサウンドが続いていく。ちょっとエッチな「いいから」は野外のステージにも大ハマりだ♪FUJI(Dr&Cho)のパワードラム、KO-SHIN(Gt&Cho)の芯の強いメロが効いた「TRACE」では、バンドのブレのない軸の強さを改めて感じさせられる。MCでは出身地・熊本での震災に触れ、協力してくれた人への感謝、これからの活動を応援してほしいと真摯に語る。「また必ず会いましょう!」、力強い言葉の後に披露されたラスト曲は、2015年11月のFM802邦楽ヘビーローテーションナンバー「THANX」。誰もが持つ感情を言葉にしたシンプルな歌に感情がぐっと持って行かれた。全7曲、1番手らしいハイテンションでイベント開幕への祝砲を上げてくれた。
続いて2番手に登場したのは、SUPER BEAVER。1曲目「うるさい」で始まったステージ、ぐちゃぐちゃとした感情をそのまま歌詞にした 楽曲は、一度心に入り込むと、抜けだそうにも抜けだせない。渋谷龍太(Vo)が歌い叫ぶ姿から目が離せず、食い入るように見てしまう。「あなたが好きなものを全肯定しにきました!」。渋谷が思いを叫び、次に披露されたのが「らしさ」。自分そのものを音にしたような自己主張の塊のような歌詞、淡々と進んでいくバンドサウンドにオーディエンスらは夢中になって聴き入る。MCでは、「音が好きな人の前で歌えるのは幸せ。素敵に日にしましょう、素敵な日はあなたが作るんです」と、「青い春」「証明」へ。感情を弾ませる上杉研太(Ba)、 藤原"27 才"広明(Dr)のリズム、真っすぐな思いを昇華させる柳沢亮太(Gt)の力強いメロに、思わずペンを握る手にも力が入る。ラス ト曲「人として」、感情を恐れることなく曝け出した彼らの楽曲に心奪われたオーディエンスたちは拳を突き上げることすら忘れ、最後にはただ立ち尽くして彼らの楽曲に聴き入っていた。
太陽がより暑さを増して観客に熱射を浴びせる中、ドラマチックアラスカがこの日の限りの熱量高いステージングで楽しませてくれた。「1番、取りに行きます!」と宣言して始まったステージ、「無理無理無理」でのっけからアッパーなロックチューンをぶつけていく。「1チャンどころか、2、3チャンスを狙っていきますんで!!」と、「ニホンノカブキ」や「東京ワンダー」と、尖りまくったロックサウンド で会場の熱気を上げていく。ヒジカタナオト(Vo&Gt)、ニシバタアツシ(Dr)はもちろん、サポートであるロマンチック☆安田改め、ド ラマチック☆安田(form 爆弾ジョニー)、マイケル(from 夜の本気ダンス)、4人のビートのせめぎ合いがたまらなく体に刺さってくる。そしてラスト、「地元関西のバンドが地元のラジオ局に恩返しができたら」とスペシャルセッションメドレー「アラウミドスメドレー」へ。 この日バンドでの出演予定はないはずの三原健司(from フレデリック)、そして米田貴紀(from 夜の本気ダンス)が登場し、会場が大いに沸き立つ。全5曲はあっという間に突き進み、この日限りのスペシャルセッションに会場からは大きな歓声が送られた。
前半戦を締めくくる4番手、サンボマスターは最高のロックナンバーを携えオーディエンスを狂喜乱舞させた。「最強のライブやっていいですか!!」と「世界をかえさせておくれよ」で始まったステージは初っ端から歓声の大きさが違っていた。山口隆(Vo&Gt)が大声で叫び、吠え、歌う姿に鳥肌が立ち、涙すら出てしまう。3曲目「光のロック」、手加減一切なし、全力のマンパワーで繰り広げられるステージにシンガロングで応えるオーディエンスたち。近藤洋一(Ba&Cho)と木内泰史(Dr&Cho)、2人の強靭なリズムが柱となって、山口の荒々しいほどの叫びを支えていく。楽曲が披露されるたびに熱い思いが叫ばれ、まるで楽曲とMCが一繋ぎになっているように感じてくる。ラスト「できっこないをやらなくちゃ」まで全5曲、天井知らずの熱量はどこまでも高く昇りつめ、メンバーとともにオーディエンスらも悔いを残すことなく全力で向き合った時間はあっという間に終わりを迎えてしまった。
さきほどまでロックンロールの熱量高いステージが続いていたが、後半戦からは少し大人な雰囲気へ。湘南発の6人組ロックグループ・ Suchmosが大阪の野外音楽堂に、穏やかで涼しげな湘南の海の風を運んでくれた。「いい波持ってきたから、いい感じに揺れよう」と「Pacific」でライブがスタートし、甘くてメロウな楽曲がオーディエンスらの火照った体を癒していく。続く「YMM」、心地よいビートに乗せ、腰を揺らす観客たち。とろけるようなビート、色香の残る YONCE(Vo)の歌声が耳をくすぐっていく。ステージ後半「STAY TUNE」、短い時間ながらもバンドのグルーヴはしっかりと完成度を高めているようで、いつもよりテンポアップされた楽曲、腰に響くリズムラ インに感嘆の声が漏れ聞こえる。「すげー気持ちよかった、ありがとう。絶対(ここに)ワンマンやりにくるから!」と、野外でのステージに好感触を持ったメンバーたち。最終曲には、バンドの原点を表現したという「MINT」を披露し、余すことなく至福の時間を過ごさせてくれた。
サウンドチェックから心地よいグルーヴでオーディエンスを楽しませてくれたのは6番手、Keishi Tanaka だ!この日はホーンを含む7人でのバンド編成で登場。「Wonderful Seasons」から、ホーンが鳴り響くご機嫌なサウンドの中にも凛とした歌声を聴かせ、存在感をビシビシと感じさせる。Keishi Tanakaの音はまるで各地を旅する旅人のようで、楽曲のたびに季節や時間、表情すらも変わっていく。それでも一つ、彼の色をしっかりと残す芯が通っているので、安心して聴き入るができる。「Foggy Mountain」では、タバコの煙 をくゆらせるようにゆったりとした音の時間を描き、柔らかなコーラスの歌声さえ、いい塩梅の空気感を作り出している。ステージ後半、2016 年はたくさんの人とコラボをする年と語り、7月には第3弾コラボシングルを発表することをいち早く告知し、会場が沸き立った。そして、1月に発表したシングル「Hello,New Kicks」を披露。青空突き抜ける野外の会場にぴったりとハマる、開放感あるサウンドでオーディエンスを躍らせると、ラスト「Floatin'Gloove」へ。2015年3月の邦楽ヘビーローテーションナンバーだ。ステージを飛び 出し、客席を自由に行き来して歌い踊る彼につられ、観客はハンドクラップで楽曲に参加。全6曲、ご機嫌なステージが幕を閉じた。
イベントもいよいよ終わりが見えてくると、ceroがジャンルを越えた音楽で観客を大いに楽しませてくれた。「Summer Soul」から高城 晶平(Vo&Gt&Flute)のソウルフルな歌声が、昼間の太陽の熱で火照った体を落ち着かせてくれる。「Elephant Ghost」「わたしのすがた」と、じわじわと迫りくる音の波にただ感じるだけ、思考のいらない音だけの空間が続いていく。ストレートな音なのにドープ、不規則 なのに規則的、なんとも言葉にしがたい音が鳴り響く。MC では、高城がFM802内の番組でDJを担当していることもあり、ラジオとバンドとの繋がりについて、改めて感謝の言葉を述べる。そして7月10日にも同会場にてワンマンライブを予定している彼ら。「最高の予感がする♪」と期待の持てるコメントも。ステージ後半「Yellow Magus」では、絶妙な抜け感を持つサウンドが心地良く、ちょっと休憩を…なんて甘い考えを持ったオーディエンスらも極上のサウンドを目の当たりにし、気付けば体を揺らしてどっぷりと彼らの音に浸っている。ラスト「Orpans」、柔らかな感触の中にもバンドの核に触れるようなじわじわと昂る熱量に心打たれ、ステージが終わったあと も光悦の表情を浮かべるオーディエンスの姿が印象的だった。
残すステージもあと2組。「Rockn' Radio---!! 踊れる準備は出来てますか!!」。このセリフはもちろん、夜の本気ダンスの登場だ。「By My Side」からフルスロットルで駆け抜けていくメンバーたち。町田健人(Gt)のスタイリッシュなビート、安定感あるマイケル (Ba)のリズム、大胆なステージングとは裏腹に緻密に刻まれる鈴鹿秋斗(Dr)のドラミングに、野外音楽堂はダンスホールへと姿を変え、オーディエンスらは思い思いのステップを刻んでいく。「Fuckin'so tired」ではロックのビートをしっかりと刻みながら、米田貴紀(Vo&Gt)が華麗なステッピングで観客を操っていく。MCでは鈴鹿のギャグトークもそこそこに、ゲストとして須藤寿(from 髭)が登場。 "夜の髭ダンス"として、「ボニー&クライド」(髭)、「Dookie Man」を続けて披露することに。カオスなのに最高にクールなナンバーに、観客からは大きな歓声が沸く。ステージ後半からは観客だけでなく、FM802のDJ陣も巻き込んで大騒ぎ!「Crazy Dancer」まで攻めのビートで一気に駆け進み、全6曲狂騒のステージはあっという間に終わりを迎えた。
9時間にも及んだイベントもいよいよ最後。クリープハイプの登場が、前出の夜の本気ダンスの熱量をしっかりと抱きこんだ、圧巻のステージングで観客を魅了した。SEもなく薄暗い照明の中で登場したメンバー、「やりまーす」とシンプルに宣言し、1曲目「イノチミジカシコイセヨオトメ」へ。尾崎世界観(Vo&Gt)の耳に残るハイトーンボイスで紡がれる独特の詞世界、小川幸慈(Gt)の独創的な歪み のあるギター、シンプルなロックサウンドの中にも色彩豊かな表情を見ることができる。次曲「憂、燦々」、数時間前の熱気からぐっと冷え込んできた夜の空気に楽曲の雰囲気が上手く溶け込んでいる。MCではイベントのトリを務めることは珍しいこと、FM802との思い出話などゆるりとしたトークを展開していく。ステージ中盤、「二十九、三十」では、真っ正面から向かうのを拒否したくなるほどの人間臭さを音にした楽曲に思わず涙してしまう。「バンドのことは忘れてもいい。曲だけでも覚えていってほしい。…音楽で傷をつけられたら」と音楽に対する思いを切々と語り、最終曲「傷つける」へ。赤く暗い照明の中、静々と言葉を刻んでいく。痛いと感じるほどリ アルな楽曲、その一片の傷跡に音楽を擦り込んでいく。瘡蓋のように残った音だけが頭の中で反芻され、気付けば彼らの世界観にどっぷりと身を沈めていた…。本編終了後、ゆったりとした空間のままでライブは終わらず、アンコールへ。「イケますか?色んな意味でイキましょう!」と「HE IS MINE」へ。長谷川カオナシ(Ba)、小泉拓(Dr)の2人のリズムからは淫靡な空気さえ感じてしまう。全6曲、大トリとしてしかとイベントをまとめ上げ、全11組全てのステージが終了した。
一時も緩むことなく、9時間にも渡るステージが幕を閉じた。終演後、ステージにはFM802のDJ陣が大勢集まり、オーディエンスとともに記念撮影が行われた。「最初からもっぺんやってくれへんかなぁ」、DJの1人がポツリとつぶやいた言葉に共感の拍手が沸き起こるほど、充実した時間はあっという間に過ぎてしまった。本イベントの模様は、FM802各番組内にて録れたての音源とともにオンエアされている。20日、27日のFM802「ROCK KIDS 802 FRIDAY」では23時台「Eggs The Future In Our Hands」のコーナーで、「Rockin'Radio」のライブ音源特集コーナーも。携帯アプリ「radiko」使えば全国からも視聴可能で、ライブを体感 した人もライブに行けなかった人もリクエスト可能とのこと。今後も「ライブ」と「ラジオ」、「アーティスト」と「ラジオ」、互いに 生の熱量を感じられる関係は続いていくので、本イベント出演者はもちろん、FM802の今後の展開にも注目したい!
Text:黒田 奈保子
写真提供:FM802
撮影:渡邉一生、JP
このイベントのライ ブ音源はFM802各番組で随時オンエアしている。20日、27日の「ROCK KIDS 802 FRIDAY」では23時台「Eggs The Future In Our Hands」のコーナーでライブ音源の特集される。
◎イベント概要
■イベント名称:Eggs presents FM802 Rockin’Radio! -OSAKAJOH YAON-
■日程:2016年5月15日(日)11:00 開場/12:00 開演
■会場:大阪城音楽堂
■出演:Shout it Out/Brian the Sun(オープニングアクト)/クリープハイプ/KeishiTanaka/Suchmos/サンボマスター/ SUPER BEVER/cero/ドラマチックアラスカ/夜の本気ダンス/WANIMA
■MC:土井コマキ/飯室大吾/鬼頭由芽
■HP:http://funky802.com/rockin/
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