2016/04/28 09:00
未だ冷めやらない、プリンスの訃報。その偉大な足跡を辿ると、プリンスを敬愛するアーティストたちによるカバー曲も秀逸で、全米No.1獲得曲から、意外なアーティストによるカバーも評価されている。数あるカバー曲の中でも、特に印象深い10曲を厳選して紹介する。
◎「I Wanna Be Your Lover」
2ndアルバム『プリンス』(1979年)より
プリンス初期の代表曲を、サザン・ソウルの女王、ミリー・ジャクソンが、1986年リリースのアルバム『アン・イミテーション・オブ・ラヴ』でカバー。原曲よりもハードな、ミネアポリス流ファンクがさく裂する。プリンスはファルセットでソフトに歌い上げているが、ミリー・バージョンでは、ドスの効いたパワー・ヴォーカルで仕上げている。
◎「I Feel for You」
2ndアルバム『プリンス』(1979年)より
チャカ・カーンのソロ5作目『フィール・フォー・ユー』(1984年)からカットされ、自身最大のヒット曲となったナンバー。グランドマスター・メリーメルのラップを起用した、1984年当初としては最新の、斬新なアレンジに仕上がっている。チャカ・カーンは、この他にも「サイン・オブ・ザ・タイムズ」のカバーや、『カム・2・マイ・ハウス』を共作したりと、プリンスとの交流が深い。
◎「Do Me Baby」
4thアルバム『コントラヴァーシー』(1981年)より
メアリー・J・ブライジが崇拝する、元祖ヒップホップ・ソウルの女王、メリサ・モーガンの、デビュー作『ドゥ・ミー・ベイビー』(1986年)からタイトル曲としてカットし、R&Bチャート首位を記録した大ヒット曲。ハッシュ・サウンドに焼き直したサウンドが曲の良さを際立て、メリサの硬軟自由なヴォーカルワークが、見事に活かされている。
◎「When Doves Cry」
6thアルバム『パープル・レイン』(1984年)より
90年代を代表するR&Bシンガー、ジニュワインのデビュー作『ジニュワイン…ザ・バチェラー』(1996年)から、デビュー曲「ポニー」に続きヒットした、アルバムからの3rdシングル。原曲はロック調だが、こちらはR&Bをベースに、アダルティな雰囲気漂う「エロい」仕上がりになっている。プリンスの知名度からか、UKチャートでは10位にランクインした。
◎「Raspberry Beret」
7thアルバム『アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ』(1985年)より
自身も大ファンだと公言するジョン・メイヤーが、2010年にシンシナティで行ったライブで披露したナンバー。原曲よりもカントリーっぽい仕上がりになっていて、ジョンの泥臭い男歌が映える。残念ながらCD化はされていないが、今後リリースが期待される、プリンスのトリビュート盤には、ジョン・メイヤーにも是非参加していただきたい。
◎「Girls & Boys」
8thアルバム『パレード』(1986年)より
マーカス・ミラーが2005年にリリースしたアルバム『シルバー・レイン』に収録されている、メイシー・グレイとのデュエット曲。原曲でプリンスが歌うフックを、マーカスはベースでプレイするという、斬新なカバー・スタイルも話題に。メイシー・グレイの独特なヴォーカルもこの曲にピッタリで、原曲に勝るとも劣らない完成度だ。
◎「If I Was Your Girlfriend」
9thアルバム『サイン・オブ・ザ・タイムズ』(1987年)より
カバーではないが、ジェイ・Zの大ヒット作『ブループリント2』(2002年)に収録された「'03ボニー&クライド」でサンプリング・ソースとして使われているのが、『サイン・オブ・ザ・タイムズ』収録の「イフ・アイ・ウォズ・ユア・ガールフレンド」。サビを妻、ビヨンセが歌い上げ、プリンスを敬愛するカニエ・ウェストがプロデュースを務めている。
◎「How Come You Don’t Call Me Anymore」
ベストアルバム『ザ・ヒッツ&Bサイド・コレクション』(1993年)より
アリシア・キーズのデビュー作『ソングス・イン・A・マイナー』(2002年)の3曲目に収録された、自身の3rdシングル。原曲よりもジャジーなアレンジになっていて、アリシアの巧みなピアノの弾き語りに、ただ聞き惚れるばかり。この曲は、その他にもステファニー・ミルズやジャズ・サックス奏者のジョシュア・レッドマンがカバーしている。元は、1982年のシングル「1999」のB面であったナンバー。
◎「Nothing Compares 2 U」
ベストアルバム『ザ・ヒッツ&Bサイド・コレクション』(1993年)より
シネイド・オコナー、1990年の2ndアルバム『蒼い囁き』からカットされ、アメリカ、ヨーロッパ方面主要国で首位を獲得した、プリンスのカバーの中で最もヒットした曲。数あるカバー曲の中でも、最もプリンスの世界観を崩さないよう、丁寧に歌い上げている様が伺える。オコナーによるバージョンが原曲で、その後プリンスコンサートでセルフ・カヴァーし、『ザ・ヒッツ&Bサイド・コレクション』に収録された。
◎「Peach」
ベストアルバム『ザ・ヒッツ&Bサイド・コレクション』(1993年)より
プリンスも影響を受けた、ロッド・スチュワートの2001年のアルバム『ヒューマン』に収録された、プリンスの楽曲の中でもロック色の強いナンバー。ロッドの持ち歌にも聴こえるほど、まったく違和感なく、さすがと言わざるを得ないクオリティだ。そんなロッド・スチュワートも御年71歳、プリンスの早すぎる死をどう受け止めたのだろうか…。
Text: 本家 一成 / Photo: Kevin Mazur WireImage
◎偉大なるポップ・アイコンをカヴァーした10曲プレイリスト
http://bit.ly/235UABl
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