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2016/04/19

ついに2位に浮上!ブルックリン発新星ラッパー=デザイナーの「パンダ」全米大ヒットのヒミツとは?(Song Review)

 2016年の新人の中では、米ビルボード・ソング・チャートで最も早くTOP10入りを果たし、最新チャート(4月30日付)で、ついに2位まで上昇している、新星ラッパー、デザイナーのデビュー曲「パンダ」。昨年末、2015年12月15日にリリースされ、登場たった7週でTOP10入りを果たし、オーディオ・ビデオの視聴回数は、すでに5600万回を突破する大ヒットに至っている。

 一気に飛躍した理由は、2月11日にマディソン・スクエア・ガーデンで開催された、カニエ・ウエストのブランド「イージー・シーズン・スリー(YEEZY SEASON 3)」のショーに登場し、カニエも所属する<G.O.O.D. Music>と契約を交わしたと発表したことで、注目が集まったからだ。

 また、米ビルボード・アルバム・チャート史上初の、ストリーミングのみでNo.1を獲得した、カニエの新作、『ザ・ライフ・オブ・パブロ』収録の「ファーザー・ストレッチ・マイ・ハンズ・パート2」に、リリースしたばかりのこの「パンダ」が、すでにサンプリングされているというのだから、カニエの仕事の早さには驚かされるが、それもヒットの要因といえるだろう。

 デザイナーは、ニューヨーク、ブルックリン出身の18歳。ミックステープや配信シングルのリリースは無く、この「パンダ」が実質上のデビュー曲となる。楽曲は自身が手掛けていて、その他にはアドナン・カーンという人物がクレジットされているか、彼の情報などは特にあがっていない。どこかのレーベルが注目したわけでもなく、大きなプロモーションを行ったわけでもない。カニエ・ウェストがたまたま耳にし、注目しただけで、数ヶ月後には全米TOP10入りしてしまうのだから、まさにラップ・シーンのシンデレラボーイだ。

 可愛いパンダのジャケット・アートとは対照的に、トラックはずっしり重く、「パンダ…パンダ…」とリフレインするブリッジが印象的。白いBMW(車)がパンダに見えたという発想から生まれたこの曲は、ドラッグや金、暴力など、かなり攻撃的なリリックもヒップホップらしく、若いリスナーを中心に中毒者が増殖中。現在、首位を独走中のリアーナの「ワーク」に迫る勢いで、デビュー曲にして、初のNo.1獲得も目前といったところだ。この「パンダ」の大ヒットを受けて、今年中にデビュー・アルバムのリリースも予定されている。

 2016年のラップシーン、もっとも注目を浴びている、デザイナー。ポップな要素は一切なく、日本人の耳には馴染み難いかもしれないが、繰り返される「パンダ…パンダ…」に、いつのまにかハマってしまったという声もあがっていて、全米のみならず、ヨーロッパ方面やアジアでも、今後ブレイクが期待される。まずは、リアーナを追い越し、ソング・チャート首位に到達できるか、注目したい。

Text: 本家 一成

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