2016/03/02 12:30
2015年9月から5か月に及ぶ全国15か所44公演の全国ツアー【namie amuro LIVEGENIC 2015-2016】を開催し、残すはアジアツアーのみとなった安室奈美恵。同ツアーの模様を収録したLIVE DVD&Blu-rayが3月2日にリリースされる。
<2015年のデヴィッド・ゲッタと1997年の小室哲哉を体現できる存在>
これまでの全国ツアーでも、アスリート級のパフォーマンスと多幸感溢れるエンターテインメント、そして常に攻撃的でポジティブな構成やセットリストでもって日本中を扇情してきた安室奈美恵だが、今回のツアーは驚きとトキメキを畳み掛けるように与え続けながら、空間全体をスパンコールのように輝かせる。過去最大に“光”を体感させる内容であった。
同ツアーにおける国内最後の公演となった2月10日(水)千葉幕張イベントホールでは、真紅のドレス姿で登場するなりスーパースターに相応しい大歓声を浴びながら、近年のEDMムーヴメントの火付け役である音楽プロデューサー、デヴィッド・ゲッタとのコラボ曲「What I Did For Love」を披露し、ここが日本であることを忘れさせるムードとグルーヴを創造。改めて安室奈美恵がワールドスタンダードな存在であることを知らしめたかと思えば、続くナンバーはなんと「Close your eyes, Close to you」。1997年にダブルミリオンを達成した、小室哲哉プロデュース時代の名盤『Concentration 20』の収録曲を先のゲッタ楽曲と並べることで、彼女がどれだけ早い時期から先鋭的なダンスミュージックを体現し、目まぐるしく変化する音楽シーンの中でトップアスリートとして歌い踊ってきたのかを物語る。
そもそも、2015年のデヴィッド・ゲッタと1997年の小室哲哉、この2大音楽プロデューサーの楽曲を時代も国境も超えてワンプレートメニューとして美味しくお届けできる存在なんて他に有り得ない訳で、この事実をライブという形で体感できるだけでも今回のツアーは歴史的にも音楽的にも価値の高いものと言えた。
<光を大フィーチャーした演出と、その眩さを超える安室奈美恵の笑顔>
そんな安室奈美恵の生き様による功績も輝かしいものだが、今回のツアーは何もかもが眩いほどに光り輝いていた。パフォーマンスしている本人同様、ステージ全体がまるでスパンコールのドレス姿で歌い踊るように躍動的に煌き、スクリーンに映し出されるグラフィックもすべてがまるで宝石のように描かれており、終盤では安室奈美恵やダンサーたちの足元がSF映画のように上昇し、かの世界的モンスターロックバンド・KISSも驚くであろうレベルの電飾で「GENIC」の文字が輝きを放つ。彼女のライブはいつだって美しく輝いていたが、今回は明らかに“光”による演出を大フィーチャーしており、その光の渦の中心に立つヒロインの存在感も凄まじかった。
もちろん、安室奈美恵はいつどこにいたって尋常じゃない存在感を放つ。が、今回のツアーにおける笑顔の爆発力は、前述したあらゆる光の演出を上回る威力だった。客席を指差しながらランウェイをスキップし、こちらに満面の笑みで近づいてくれば誰もが顔を赤らめながら大歓声を上げる。また、彼女は1曲1曲パフォーマンスを終える度、急に大勢のファンに観られているのが恥ずかしくなってしまうのか、それが単純に嬉しくて仕方なくなってしまうのか、かなりの頻度で照れ笑いをするのだが、そのポップ&キュートぶりたるや“世界を救える笑顔”……という表現は前回のツアー記事(http://bit.ly/1B0oGcv)でも書いたと思うが、今回はこうしてまた大好きなみんなと出逢えたことへの喜びが溢れてしまっていたのだろう。彼女はたしかによく笑っていた。あの屈託のない、子供のような笑顔を何度も何度も覗かせてくれた。
<DOUBLE/平井堅/Crystal Kayとのコラボ曲連発に感じた粋(いき)>
その人柄は選曲にも表れており、本編後半では「BLACK DIAMOND」(DOUBLEとのコラボ曲)「グロテスク」(平井堅とのコラボ曲)「REVOLUTION」(Crystal Kayとのコラボ曲)と、音楽で繋がった盟友たちと歌ってきた楽曲を連発。昨年12月15日の国立代々木競技場第一体育館公演では、実際にCrystal Kayがサプライズ出演し、2人並んで“革命”を歌い叫ぶ姿は神々しくさえ映ったが、最高の楽曲を提供してくれたアーティストに対しては、そのリリース期間だけでなく“歌い踊り続ける”ことで敬意を払うスタイルもまた彼女の魅力である。また、これらのコラボ曲と、行き先の予想できないストーリーが聴く者の未来に力を与える衝撃的なダンスミュージック組曲「Dr.」や、今回のツアーのリード曲と言っても過言ではない最新シングル曲「Red Carpet」を並べるあたりにも彼女の人間味が感じ取れた。MCがないからこそ楽曲やその並びで語る、いわゆる粋(いき)を感じ取れると彼女のライブはより楽しくなる。
<先の見えない未来であっても突き進んでいけるよう手を取ってみせる>
そんな語らずとも安室奈美恵の人間性が溢れ出ていた同ツアーだが、それに伴って我々の心を強く打ちぬいた“歌”についても特筆しておきたい。まるで何かと戦うように激しく踊り倒す場面も多かった彼女のライブだが、今回はそれよりも愛とぬくもりを振り撒くかのように、優しく歌い踊る姿が目立っていた。ゆえに強く響いた。「傷つくために 生まれてきたんじゃない」(Get Myself Back)という言葉も「君の代わりはいない 忘れないで We fight together」(Fight Together)という言葉も、英語詞中心の最新アルバム『_genic』に込められたメッセージさえも、我々を鼓舞し、癒し、先の見えない未来であっても突き進んでいけるよう手を取ってみせる。そして最後にまたあの笑顔。
「今日はどうもありがとうございましたぁー! また遊びに来てねぇー! バイバーイ!」何度も何度も手を振りながら、去り際には投げキッス。この大団円に至るまでの安室奈美恵のすべてが“LIVEGENIC”だった同ツアー。どこをどう切り取ってもエモーショナルでありながらスタイリッシュ、そして愛らしい。こんなにも敬愛できる彼女とまたこうして再会できたこと、この先も唯一無二の存在として日本中を熱狂させてくれるに違いないアーティストがいてくれること、心から嬉しく思う。
<日本が世界に誇れるポップスターの今を記録>
そんな“光”そのものと言っても過言ではなかった、最新の安室奈美恵を体感させてくれた【namie amuro LIVEGENIC 2015-2016】は、3月2日にLIVE DVD&Blu-rayとしてリリースされる。ハッキリ言ってこの映像を観ないのは損。日本が世界に誇れるポップスターの今、是非ともチェックしてほしい。
取材&テキスト:平賀哲雄
◎ライブ【namie amuro LIVEGENIC 2015-2016】
02月10日(水)千葉幕張イベントホール SET LIST:
01.What I Did For Love
02.Close your eyes, Close to you
03.Fly
04.Photogenic
05.NAKED
06.Time Has Come
07.Space Invader
08.BRIGHTER DAY
09.It
10.B Who I Want 2 B
11.Sit! Stay! Wait! Down!
12.Say the word
13.SWEET KISSES
14.Golden Touch
15.Get Myself Back
16.BLACK DIAMOND
17.グロテスク
18.REVOLUTION
19.Dr.
20.Red Carpet
21.TSUKI
22.Black Make Up
23.Every Woman
24.Stranger
25.Scream
26.Fashionista
En1.Birthday
En2.Anything
En3.Fight Together
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