2016/01/19 10:30
朝、カーテンを開けると真っ白な世界。東京はこの冬初めての積雪。でも、そんな外の寒さとは正反対に、ステージでは熱いライブが展開された。そう、ダンス・ミュージックの麗しきクイーン、再び降臨――。
もう、嬉しくってしかたがない! なぜなら、ジョディ・ワトリーがキャリアを積んだグループ=シャラマーの楽曲を引っ提げて、ステージに戻って来たのだから! 歳を重ねても華やかなダンス・クイーンの雰囲気にはほんの少しの陰りもない。むしろ、先ほど来日したジャネットと同様、80年代からのダンス・ミュージックを牽引してきた存在感の大きさが増すばかり。常に現役で新しいサウンドに挑戦し、時代のダンス・サウンドを体得してきた生き様は、ダンスフロアに映える大輪の花のようにゴージャスそのもの。ソロになってからも数多くのヒット曲をチャートに送り込んできたジョディだが、そのルーツとなるシャラマー時代に再び焦点を絞り、華やかなステージを展開してくれるのだから、ダンス・ミュージック・ファンには堪らない! 当然、必見のライブになった。
2人のヴォーカリストを従え、冒頭からシャラマーのナンバーをメドレー仕立てで華麗に再現してくれるジョディ。「こんにちは!」「手拍子を取って!」「みんな盛り上がって!」と語りかけながら、煌びやかなシーンを矢継ぎ早に再現していく。キレのいいダンス・パフォーマンス、バック・バンドとの息の合ったやりとり、そしてしっかりアイ・コンタクトを観客と取りながらの熱唱――。そのどれもが気合に満ちていて、アメリカのショウ・ビジネスで鍛え抜かれた洗練と迫力を宿している。これほどダイナミックなステージをリアルに表現できるアーティストは、あまりいないだろう。考えてみれば、ジョディはいつだってクイーンだったし、いつだって革新者だった。15歳で『ソウル・トレイン』のダンサーに起用されて以来、彼女がいるダンスフロアはいつだって華やかだったし、誰もが見とれていたからだ。
1970年代の後半からシャラマーのリード・ヴォーカリストとしてハワード・ヒューイットと共に独自の世界観を築き上げた後に独立。87年にソロになってからは「リアルラブ」や「ルッキン・フォー・ニュー・ラブ」「セクシャリティ」、ラッパーのエリックB&ラキムをフィーチャーした名曲「フレンズ」など、ダンス・フリークの記憶に残るナンバーを放ってきた彼女。今回も披露されたそれらの楽曲は、今もクラブの現場でDJたちによって頻繁にスピンされている“定番曲”だ。
そして昨年。20年ぶりにシャラマーを復活させ、新曲の「スロウ・ダンス」をデジタル配信でリリースしたジョディ。今回の復活劇は決してノスタルジーではなく、彼女がシャラマーで築き上げた複数によるヴォーカル・ワークとダンス・パフォーマンスの世界観を21世紀の今に合わせて新たにクリエイトしたグループと捉えた方がいいだろう。
近年、タキシードやマーク・ロンソンなど、80年代のダンス・サウンドをベースにしたブギーやファンクがヒットしている状況の中で、ジョディが率いるシャラマーの復活は、まさに“主役”の登場と捉えても差し支えないだろう。
会場がダンスフロアに変貌したライブは、初っ端からハイ・テンションのビートで溢れ、オーティエンスはここぞとばかりに身体を激しく揺らしている。みんな「聴きに」来たのではなく、「踊りに」来たのだ。途中、観客をステージに上げ、一緒にダンスしたり、会場の隅々まで気を配って手を振り、一体感の強いライブが会場を熱くしていく。ディスコ世代には「ア・ナイト・トゥ・リメンバー」や「ナイトライフ」など耳に残っているシャラマーのメロディが心地好く、ヒップホップ世代には躍動的なリズムが高揚感をもたらしていく。これぞ、ダンスフロアの醍醐味――。
みんな心地好い汗をかきながら、ジョディと共に踊り、歌う。ジョディも楽曲ごとに観客に話しかけてくる。こんなに楽しいショウは、なかなか体験できない。僕は今まで、何度も彼女のライブを観てきたが、今回ほどエキサイティングなショウを堪能したことはなかった。
年の初めから、こんなに躍動感溢れるダイナミックなステージを体験できるのだから、僕たちは本当にラッキーだね。東京は今日も、そして大阪では21日にライブがあるから、ぜひとも駆けつけたい。真冬の寒さに縮こまった身体と心を、シャラマーのダイナミズム溢れるナンバーに委ねて、元気をもらおう! そうすれば、きっと今年も「いい年」になるはずだから。
みんな準備はできたかい? 今宵はジョディが率いるシャラマーの艶やかなダンス・サウンドに乗ってGO !!!!!!!
◎公演情報
【ジョディー・ワトリー 「シャラマー」RELOADED ~DISCO NIGHTS~】
2016年1月18日(月)・19日(火) ビルボードライブ東京
公演詳細>
2016年1月21日(木) ビルボードライブ大阪
公演詳細>
Photo: jun2
Text: 安斎明定(あんざい・あきさだ) 編集者/ライター
東京生まれ、東京育ちの音楽フリーク。雪もチラつく寒い真冬。こんなときには、ボリューム感のあるしっかりした赤ワインをジビエ料理と合わせて楽しみたい。ヨーロッパでは貴族の冬の楽しみであるジビエには、南仏・ローヌ地方のシラーを主体としたワインを、ぜひ。コート・ロティの『ギガル』やエルミタージュの『シャプティエ』などは間違いのない組み合わせ。他にもクローズ・エルミタージュやコルナス、サンジョセフといったAOC(アペラシオン)のワインに注目してみて。心も身体もホッコリ温まるような食事を堪能できるから。
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